強盗致死事件の弁護活動

2020-05-04

強盗致死事件の弁護活動

強盗致死事件の弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事件】

Aさんは深夜2時ごろ愛知県愛知郡所在のVさん宅に侵入し,宅内の金品を盗もうと考えました。
計画通りVさん宅に侵入したAさんは,高級腕時計や宝石類数点を得ました。
そして,AさんがVさん宅から立ち去ろうとしたところ,Vさんに発見されてしまいました。
Vさんは警察に通報しAさんを現場に取り押さえようとしたため,Aさんは近くにあった木刀でVさんを1回殴り逃走しようとしました。
暴行を受けたVさんは打ち所が悪く,搬送先の病院で死亡が確認されました。
Aさんは愛知警察署に住居侵入と強盗致死の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)

【事後強盗から強盗致死傷罪へ】

強盗致死傷罪が成立し得るバリエーションにはどのようなものがあるのか,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

今回のケースでAさんは強盗致死の疑いをかけられています。
強盗致死の事実については,強盗致死罪(刑法第240条後段)の成立が検討されます。

刑法第240条
強盗が,人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致死傷罪が成立するためには,行為者が「強盗」でなければなりません。
ここでの「強盗」には,強盗罪(刑法第236条)の犯人のみならず,事後強盗罪(刑法第238条)や昏酔強盗罪(239条)の犯人も含まれます。

刑法第236条
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

強盗罪の構成要件は,財物や財産上不法の利益を得るために相手の反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫を行い,よって財物や財産上不法の利益を得たことです。
Aさんは高級腕時計や宝石類といった財物を得るために暴行・脅迫を行っていません。
よって,Aさんの行為は刑法236条が定める強盗罪には当たらないと考えられます。

しかし,財物を得たAさんは,Vさんから逃れるためにVさんを木刀で殴り,死亡させています。
この事実によって,Aさんが財物を得,Vさんや警察から逮捕されることから逃れるためにVさんに暴行を加えた一連の行為全体が,事後強盗罪として捉えられる可能性があります。

刑法第238条
窃盗が,財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪跡を隠滅するために,暴行又は脅迫をしたときは,強盗として論ずる。

さらに,Vさんを木刀で殴ったことが原因で死亡結果が発生していますので,強盗致死罪が成立する可能性があるということになります。

以上のように,強盗致死傷罪が成立する流れには

・強盗罪⇒強盗致死傷罪

という基本類型だけではなく,

・昏酔強盗罪⇒強盗致死傷罪

・窃盗罪⇒事後強盗罪⇒強盗致死傷罪

といったように,様々なバリエーションが存在します。

強盗致死傷罪は,強盗と死傷結果との間に一定の関連性があれば,殺人や傷害の故意の有無にかかわらず成立するとされています。
今回のケースにおいて,AさんにVさんを殺害する意思があったかどうかは分かりませんが,いずれにせよ強盗致死罪(強盗殺人罪)は成立する可能性があります。
強盗致死罪あるいは強盗殺人罪の法定刑は死刑または無期懲役なので,起訴され有罪判決を受けた場合は必ず実刑判決となります。
そのため,強盗致死罪の成立が考えられるケースでは,弁護活動によって可能な限り懲役の期間を短くすることが目標となるでしょう。

【弁護活動】

強盗致死事件や強盗致傷事件の被疑者から依頼を受けた弁護士は,被害者側と示談交渉を行い,一刻も早く依頼者に有利な内容で示談を成立させることを目指します。
被害者が死亡したケースでは一般的に示談が困難ですが,それでも弁護士を通じて誠心誠意アプローチしたことが裁判で評価される可能性はありうるでしょう。

また,事案の内容によっては,被疑者に適用されるべき罪名が本当に強盗致死傷罪なのかを争うことも考えられます。
たとえば,死傷結果が強盗とは無関係だとして強盗罪の成立を主張する,暴行・脅迫がさほど強くなかったとして恐喝罪の成立を主張する,などが考えられます。
事案次第では無罪の主張もありうるところでしょう。
そのような場合,弁護士としては犯罪があったというために必要な証拠が十分ではないことを示したり,他に真犯人と呼ぶべき人物がいることなどを証拠によって示します。

強盗致死傷罪は重い刑が定められていることから,起訴された場合は一般人が裁判員として関与する裁判員裁判となるのが原則です。
もしそうなれば,裁判員に対して職業裁判官に対するものとはまた違った働きかけをしていく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を専門とする法律事務所で,裁判員裁判に関するノウハウも事務所内で共有されています。
強盗致死傷罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が愛知警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
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