未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された
未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県知多市に住むAさんは、会員制交流サイト(SNS)において、女子中学生のVさん(15歳、愛知県知多市内在住)が「家出したい」と書き込んでいるのを見つけました。
そこで、Aさんは「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込みました。
後日、Vさんから事情を聞いたVさんの母親は事態を重く見て、愛知県知多警察署に未成年者誘拐罪の告訴をしました。
その結果、Aさんは、愛知県知多警察署の警察官により、未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
(2021年2月3日に中日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【未成年者誘拐罪とは】
刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
未成年者誘拐罪は、「未成年者」を「誘拐」した者に成立する犯罪です。
未成年者誘拐罪の「未成年者」とは、「20歳未満の者」(民法4条)をいいます。
例えば、刑事事件例のVさんは15歳であるため、20歳未満の者であるとして、未成年者誘拐罪の「未成年者」に当たります。
また、未成年者誘拐罪の「誘拐」とは、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移すことをいいます。
刑事事件例では、Aさんは、「家出したい」と書き込んだVさんに対して、「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送っています。
このAさんの行為は、誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)行為に当たると考えられます。
そして、Aさんは上記誘惑行為を手段として、Vさんを自宅に連れ込んでいます。
このAさんの行為は、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為に当たると考えられます。
よって、AさんによるVさんに「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込むという行為は、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為として、未成年者誘拐罪の「誘拐」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。
【未成年者誘拐事件の刑事弁護活動】
刑法229条
第224条の罪…は、…告訴がなければ公訴を提起することができない。
未成年者誘拐罪は、被害者の方の名誉を保護するという観点から、「告訴がなければ公訴を提起することができない」親告罪であるとされています。
告訴とは、検察官または警察官に対して、犯罪事実を親告して、被疑者の方の処罰を求める意思表示のことをいいます。
また、告訴は、被害者の方(刑事訴訟法230条)またはその法定代理人(刑事訴訟法231条)がすることができると規定されています。
刑事事件例でいえば、未成年者誘拐事件を担当する検察官がAさんを未成年者誘拐罪で起訴するためには、Vさんかそのご両親の方が告訴をしている必要があるといえます。
ここで、刑事事件例では、既にVさんの母親が未成年者誘拐事件の告訴をしていますが、刑事訴訟法237条では「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定されているため、Vさんの母親は未成年者誘拐事件の告訴を取り消すこともできます。
そこで、刑事弁護士としては、被害者の方の母親と連絡を取り、正式な謝罪と相当な被害弁償をするので未成年者誘拐事件の告訴を取り下げてもらえないかと交渉することができると考えられます。
刑事弁護士による示談交渉により、未成年者誘拐事件の告訴を取り下げてもらうことができれば、Aさんは未成年者誘拐罪で起訴されることはなくなると考えられます。
未成年者誘拐罪のような親告罪では、刑事事件(特に示談交渉)に強い弁護士を選任することにより、円滑に示談を進めていくことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。