おとり捜査で覚せい剤取締法違反に
~ケース~
名古屋市南区在住のAさんは、覚せい剤の販売を行っていた。
以前から愛知県警察南警察署の警察官がAさんをマークしていたが、有力な証拠を手に入れることが出来ていなかった。
そこで、愛知県警察南警察署の警察官Bは「お前が覚せい剤の売人だということをバラされたくなかったら、俺に安く覚せい剤を売れ」とAさんのSNSに書き込んだ。
その結果、AさんはBさんが指定した場所に覚せい剤を持ってきたため、、BさんはAさんが覚せい剤を取り出したところで、覚せい剤取締法違反の容疑でAさんを現行犯逮捕した。
Bさんに騙されるような形で逮捕されたことに納得がいかないAさんは、家族を通して刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼し、今回のおとり捜査は違法捜査ではないかと相談した。
(事実を基にしたフィクションです)
~おとり捜査が許される範囲~
おとり捜査とは、一般的に捜査機関またはその依頼を受けた者(おとり)がその身分や意図を相手方に隠して、犯罪を実行するように働きかけを行い、対象者がこれに応じて犯罪の実行に着手したところで現行犯逮捕等により検挙する捜査手法のことを言います。
しかし、おとり捜査は犯罪を取り締まるはずの警察官や検察が犯罪を誘発することになりますので、厳格な要件の下で規制されるべきだと考えられています。
上記のケースのような薬物事件におけるおとり捜査について、「直接被害者がいない薬物犯罪等の捜査において、通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うことは、刑訴法197条 1 項に基づく任意捜査として許容されるもの」とした最高裁判例があります。(最決平成16年 7 月12日刑集58巻 5 号333頁)
つまり、機会を提供すれば犯罪が行われると考えられ、捜査機関側の働きかけが相当である場合におとり捜査の適法性が認められるとされています。
ただし、上記のケースでは、Bは「バラされたくなかったら」と脅迫まがいの手段を取っているため、おとり捜査として相当な限度を超えている、違法な捜査と判断される可能性があります。
~違法捜査に対する弁護活動~
仮に、犯罪を犯してしまった場合でも、「法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 」と憲法第31条に規定されています。
したがって、違法な捜査に基づいて集められた違法な証拠によって罰せられるということは絶対に避けなければなりませんし、仮にその恐れがある場合には意義を唱えなければなりません。
その為には、被疑者・被告人の代弁者である弁護士の力が不可欠です。
弁護士は被疑者・被告人の味方として、違法な捜査に異議を唱え、適正な裁判と適正な処分を目指して活動します。
もし、違法な捜査であったと認められた場合、違法な捜査によって収集された証拠は「違法収集証拠」として証拠能力が否定される場合があります。
仮に、上記のケースで行われたおとり捜査が違法な捜査だと判断された場合、当該おとり捜査で押収された覚せい剤は証拠として採用されないため、被疑者・被告人にとって今後の展開が有利になる可能性があります。
その為、おとり捜査が違法なものではないかと感じた場合は、出来るだけ早く刑事事件に強い弁護士に依頼し、弁護活動を始めてもらうことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しております。
名古屋市南区内で覚せい剤取締法違反に問われてお困りの方、おとり捜査が違法捜査だったのではないかとお感じの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回接見サービス、初回無料相談の予約は、365日24時間承っております。
ますは、0120-631-881までお問い合わせください。
(愛知県警察南警察署への初回接見費用 36,000円)