情報を盗んで窃盗罪に

2019-03-28

情報を盗んで窃盗罪に

~ケース~

Aさんは名古屋市中村区にある大学で、ある研究チームに参加していた。
お金に困っていたAさんは、研究や実験データを製薬会社に売り渡すことが出来ないかと考え、AさんのUSBにデータを取り込んで持ち帰った。
しかし、後日Aさんが勝手にデータを持ち出したことが発覚し、Aさんは愛知県警察中村警察署の警察官によって、窃盗罪の容疑で逮捕された。
(このストーリーはフィクションです)

~情報を盗んでも窃盗罪が成立する~

上記のケースのように、企業や研究機関の営業秘密、研究・実験データなどを内部者が秘密裏に外部にもちだすことは、時としてありえますが、その態様によっては刑事処罰を受ける可能性があります。
今回は、どのような場合が刑事処罰の対象になるのかについて考えてみたいと思います。

まず内部者が、管理されている情報を文書や磁気ディスクなどの有形物に記録して、それを外部にもちだした場合には、窃盗罪が成立する可能性があります。

窃盗罪については、刑法235条において、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
本条にいう「財物」について、判例は「有体物である必要がなく、可動性と管理可能性を有し、これを所持し、所持を継続、移転することを得るものであればよい。」としています。(大判明36.5.21)
上記の財物の定義からすると、情報自体は「財物」に当たらないように思えますが、紙や磁気ディスクなどに財産的価値のある情報が記録された場合、それは「財物」に当たると考えられます。
そして、上記のケースでは、Aさんは研究や実験のデータを自分のUSBに記録して持ち帰っているので、窃盗罪が成立する可能性が高いです。

似たようなケースとして、国立予防衛生研究所の厚生技官が製薬会社の幹部と共謀し、上司が保管する新薬の審議用資料を無断でもちだして、その写しを作成しようと企て、上司の管理下にある新薬審理用資料ファイルを上司の戸棚からもちだした行為は、窃盗罪にあたるとされた裁判例があります。(東京地裁 昭和59年6月15日判決)。

また、情報媒体などの奪取や領得がなくても、その情報をそのまま流用して損害を与えた場合には背任罪(刑法247 条、5年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立することもあります。
実際に背任罪の成立が認められたケースとして、新会社を設立しようとした営業課長らが、会社の開発したオブジェクトプログラムを無断で使用し、それを記録したフロッピーディスクをもちだし、同プログラムを独自に販売するバソコンに入力し、その結果、会社に多額の損害を与えた行為は、背任罪にあたるとされた裁判例があります。(東京地裁 昭和60年3月6日判決)。

一方、営業秘密や機密情報の保持や管理に関与しない内部者が、盗み見してメモしたり、あるいは写真に撮ったり、また通信回線を利用してコンピュータの記憶装置にアクセスしたりして、秘密や情報を入手し、外部に漏えいした場合は、これまで処罰の対象にはなっていませんでした。
しかし、平成15年に不正競争防止法が改正され、悪質性が高いと思われるような行為については、以下の条文で規制されるようになりました。
①営業秘密不正取得後使用・開示罪(同法14条1項3号)
②営業秘密記録媒体等不正取得・複製罪(同法14条1項4号)
③営業秘密記録媒体等不法領得後使用・開示罪(同法14条1項5号)
④営業秘密正当取得後不正使用・開示罪(同法14条1項6号)

上記の行為は、窃盗罪や背任罪に比べると軽い法定刑が設けられており、3年以下の懲役または300万以下の罰金に処せられることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、窃盗罪等の刑事事件に強い弁護士が多数所属しております。
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愛知県警察中村警察署までの初回接見費用 34,700円)