弥冨市の境界損壊、不動産侵奪事件

弥冨市の境界損壊、不動産侵奪事件

~ケース~

弥冨市在住のAさんは先祖代々の土地で農園を営んでいた。
その土地には所有者不明の空き地が隣接していた。
Aさんは自分の農園を拡げたいと思い,その所有者不明の空き地に新しい農園を作ることにした。
Aさんは空き地を整備する際に土地の境目の目印と思われる石などをどかし,木杭などを全て引き抜いてしまった。
そのため,Aさんの土地とVさんが相続した土地の境界がわからなくなってしまっていた。
しばらくして,空き地の所有者Xが死亡し,相続のため相続人となったVさんおよび土地家屋調査士が空き地の測量に来たところ、Aが土地を農園として無断使用していること,及び境界を破壊していたことが発覚した。
(フィクションです)

~境界損壊罪~

Aさんは、自分の土地と他人の土地の境目である境界を損壊してしまっていますので、Aさんには境界損壊罪が成立します。
境界損壊罪は、刑法262条の2に「境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
境界とは、権利者を異にする土地の境界線を意味し,境界標とは,柱,杭などの境界を示す標識で自然石や立木といった自然物も含まれます。
条文の通り,境界の物理的損壊だけでなく,移動させたりすることによって境界を認識できなくした場合にも境界損壊罪は成立します。

他人の物を壊す器物損壊罪の場合は個人的法益の保護が目的となっていますので,加害者の処罰を被害者本人の意思に任せようという考えの基,親告罪となっています(刑法264条)。
一方で,境界損壊罪の場合,土地の権利者(および境界の設置者)の個人的法益と同時に土地の境界を区別するという国家的法益の保護が要請されていますので非親告罪となっています。
その為,AさんはVさんからの告訴がなくても境界損壊罪として起訴されてしまう可能性もあります。

~不動産侵奪罪~

また,AさんはXの土地を無断使用していたのですから刑法235条の2の不動産侵奪罪が成立する可能性もあります。
不動産侵奪罪における侵奪とは、不動産に対する他者占有を排除して,自己の事実上の占有を設定する行為をいいます。
他人の土地に畑を作ってしまう行為は事実上の占有を設定する行為といえるでしょう。
不動産侵奪罪も親告罪ではありませんので、告訴がなくても起訴されてしまう可能性があります。
不動産侵奪罪の法定刑は10年以下の懲役となっています。

~罪数~

Aさんは土地の境界を損壊し,Xの不動産を侵奪しています。
したがって、Xの土地を農園として使用する(=不動産を侵奪する)という行為の中に境界を損壊するという行為も含まれているといえます。
このように1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合にはその中の最も重い刑で処断すると定められています(刑法54条1項)。
今回のケースでは、不動産侵奪罪の方が境界損壊罪に比べて法定刑が重いため,Aさんは不動産侵奪罪として処罰されてしまうと考えられます。

~弁護活動~

不動産侵奪罪境界損壊罪の場合,特殊な事情がなければ捜査機関に事件が発覚する端緒が所有者からの被害届であることが多いでしょう。
そのため,土地の所有者の方との示談を成立させ,被害届を出さないようにすることが出来れば、そもそも刑事事件化しない可能性もあります。

不動産侵奪罪は「不動産に対する窃盗行為」という犯罪類型ですので、窃盗罪と同様に非親告罪です。
境界損壊罪は上述の様に国家的法益の保護の観点から非申告罪となっています。
しかし,境界損壊罪でも私有地であれば土地の権利者という個人の法益の保護の方が重要であると思われます。
そのため,事件が検察官に送致されていても被害者である土地所有者の方との示談が成立し,境界など再設置するなど原状回復に努めれば起訴猶予となる可能性も高くなります。

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