Archive for the ‘刑事事件’ Category

公務執行妨害罪、公文書毀棄罪と釈放

2020-09-03

公務執行妨害罪、公文書毀棄罪と釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは自動車をを運転中、非常点滅表示灯が点滅していなかったことから、パトカーを運転する愛知県一宮警察署の警察官に停止を求められました。Aさんは道路わきに車を止め、車から降りて警察官の職務質問を受けました。Aさんは、素直に罪を認め、はやく手続を終わらせたいと考えていましたが、警察官の態度があまりにも横柄すぎると感じたことから、警察官Aから交付を受けた「交通反則切符」をその場で破り捨てました。そこで、Aさんは公務執行妨害罪、公文書毀棄罪で逮捕されてしまいました。Aさんは、妻と二人で痴ほう症の両親の面倒を看ています。そこで、逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、一刻も早く釈放されることを願って刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼しました。(フィクションです。)

 

~ 逮捕罪名について ~

 

まずは、Aさんの逮捕罪名である公務執行妨害罪、公文書毀棄罪から解説したいと思います。

 

= 公務執行妨害罪 =

 

本罪は、刑法95条1項に規定されています。

 

刑法95条1項

 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

 

* 破っただけで公妨? *

この記事をご覧になった方は、

 

・警察かに暴行、脅迫を加えてないのになぜ逮捕?

・切符破っただけで公妨?

 

などと疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?実は、公務執行妨害罪の「暴行」とは、

 

公務員の身体に対して直接加えられる有形力の行使(直接暴行)に限られず、公務員に対して向けられてはいるものの、直接公務員の身体に対して加えられたものではない有形力の行使(間接暴行)をも含む

 

とされています。これは公務執行妨害罪が公務の円滑な遂行を保護することを目的としているからと説明されています。判例では、

 

・覚せい剤液注射液入りアンプルを足で踏み付け破壊する行為

・収税官吏が差し押さえた密造酒入りのカメを破壊する行為

 

なども「暴行」に当たるとされています。

 

= 公文書毀棄罪 =

 

本罪は、刑法258条に規定されています。

 

刑法258条

 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

 

「公務所」とは、官公庁その他公務員が職務を行う所をいいます。「公務所の用に供する文書(公用文書)」とは、公務所で使用されるための文書をいいます。過去の裁判例(東京高裁昭和41年11月11日)では、交通切符をも「公用文書」に当たると判断されています。なお、犯人が署名する前など、文書として未完成のものであっても「公用文書」であることに変わりはないとされています。「毀棄」とは、共用文書等の本来の効用を害する一切の行為をいうとされています。破り捨てる行為も「毀棄」に当たるでしょう。

 

~ 本件と釈放 ~

本件の場合、犯罪を立証し得る直接証拠は犯行を現認した警察官Aの供述です。しかし、Aさんが釈放された場合、わざわざ警察署まで出向いてAさんを威迫し、自分に有利に供述を変遷させるなどの罪証隠滅行為に出ることは通常考え難いです。そもそも、Aさんとしては、Aさんの特定すらできないかもしれません。よって、本件の場合、罪証隠滅行為の現実的可能性は他の犯罪に比べ低いです。ですから、本罪では逃亡のおそれさえなくしてしまえば釈放される可能性はグンと高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、公務執行妨害罪、公文書毀棄罪などをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族の一日でも早い釈放をお望みの方は、土日・祝日、24時間受付中の弊所の初回接見サービスのご利用をご検討ください。

 

監禁罪と監禁致死傷罪

2020-09-01

監禁罪監禁致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市港区に住む会社員Aさんはある会社の社長ですが、同会社に勤務していたVさんが同会社の売上金を横領したものと疑い、Vさん方へ行きました。そして、AさんはVさんを呼び出し、Vさんに車さんをのトランクに入るよう命じましたがこれを拒否されたため、Vさんの胸倉をつかむなどし、「もっと痛い目にあいたいか。」などと言って、Vさんを無理やりトランクに入れ込みました。そして、Aさんは誰もいない山中へ向け車を走らせましたが、Vさんがトランクの中から110番通報し、愛知県港警察署のパトカーにこれを発見されたことから監禁罪の現行犯で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 監禁罪とは ~

監禁罪は刑法220条に規定されています。

刑法220条
 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

「監禁」とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすることをいいます。そして、監禁といえるためには、被監禁者の自由の拘束が完全なものであることを要しないとされています。したがって、一応、脱出の方法がないわけではないけれども、生命・身体の危険を冒すか、又は常軌を脱した非常手段を講じなければ脱出できないような場合であれば監禁といえます。また、監禁罪の監禁は「不法」であることが必要です。したがって、正当な監禁は違法ではなく処罰されません。不法かどうかは、社会通念に従って判断されます。

~ 監禁中に交通事故に遭ったら? ~

監禁中に交通事故に遭い、被害者に怪我を負わせたり、被害者を死亡させた場合は監禁致死傷罪が成立する可能性があります。

過去の判例では、自動車の後部トランクに人を監禁していた状態で、路上停車していたところ、たまたま後続の自動車が前方不注視で時速約60kmのまま追突したことが原因で、トランクに監禁されていた被害者が死亡した事案で、監禁致死罪の成立が認められています(最高裁決定平成18年3月27日)。

監禁致死傷罪は刑法221条に規定されています。

刑法221条
 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

つまり、監禁致死傷罪は、①監禁罪を犯すこと、②人を死傷させること、③①と②との間に因果関係が認められること、によって成立する犯罪です。
「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とは、致死罪の場合は「傷害致死罪」の例にならい「3年以上の有期懲役」、致傷罪の場合は、傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)と監禁罪とを比較した場合、上限は傷害罪が重く、下限は監禁罪の方が重いですから、「3月以上15年以下の懲役」に処せられる、ということです。

~ 取調べ対応なら弁護士に相談 ~

取調べは、プライバシー保護の観点からも第三者の目の届きにくい「密室」で行われます。取調べでは、取調官による怒号、威圧、人格を否定するかのような暴言、罵倒を浴びせるなどの行為が行われやすく、問題となることもしばしばあります。最近でこそ、取調べの録音録画といって、取調べの状況を録音録画し「取調べの可視化」への傾向は進みつつありますが、対象となる事件が一部に限られるなどまだまだ完全とは言えません。

このような中、ご相談者の中には、長時間の取調べ、繰り返される取調べによって精神的にまいってしまい、自分の意図したこととは違うことを話してしまったり、供述調書に書かれてしまったり、サインをしてしまったりする方もおられます。ただ、一度、供述調書にサインをしてしまうと、そこに書かれた内容を後で覆すことは大変な労力を必要とします。ですから、取調べ等に不安のある方は、一度、刑事事件の刑事弁護に優れた弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか??取調べに対するアドバイスはもちろん、正式な契約後は、警察に申入れを行ったり、場合によっては、実際に警察署まで付き添って取調べへの立会を要求したりします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、監禁罪監禁致死罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

強盗未遂の現行犯と身柄解放

2020-08-25

現行犯逮捕の身柄解放について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

~ケース~

名古屋市北区で一人暮らしをしているAさん(20歳・大学生)は,最近になってアルバイトの量が激減し生活に困窮するようになった。
Aさんは家賃の支払いや,両親に内緒で借りている消費者金融への返済ができなくなってしまった。
そこでAさんは何とかしてお金を工面しようと飲食店Vに強盗に入ることを考えた。
Aさんは午前2時に飲食店Vに果物ナイフを持ち強盗に入った。
Aさんが店員のXにナイフを突きつけ金を出すように要求したところ,たまたま来店したYによってAさんは取り押さえられた。
その後,通報により駆け付けた○○警察署の警察官にAさんは引き渡され,Aさんは強盗未遂の現行犯として逮捕された。
警察から息子が逮捕されたと連絡を受けたAさんの両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を依頼した。
(フィクションです)

~強盗未遂と身柄拘束~

刑法236条

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は刑法236条に定められており未遂も罰せられます(243条)。
刑事事件で逮捕された場合,特に身柄拘束が必要ないと考えられる場合を除いて逮捕から48時間以内に書類・証拠と共に検察官に身柄が送致されます。
送致を受けた検察官も同様に,身柄拘束が必要ないと考えられる場合を除き,送致を受けてから24時間以内に裁判官に勾留の請求をします。
勾留が認められた場合,原則として勾留の請求をされた日から10日間,やむを得ない事情がある場合に限り通算して10日を超えない限度で延長されます。

勾留が認められるには勾留の理由および勾留の必要性が存在しなければなりません。
勾留の理由とは,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,被疑者が住居不定であるとき,被疑者に罪証隠滅のおそれがあるとき,被疑者に逃亡のおそれがあるときのいずれかに該当することをいいます。
勾留の必要性とは,事案の軽重等の起訴の可能性,捜査の進展の程度,被疑者の個人的事情などから判断した勾留の相当性をいいます。
今回のケースではAさんが犯したのは強盗という重大な犯罪の未遂であること,およびAさんが一人暮らしであることから逃亡のおそれがあると判断され,勾留が認められてしまう可能性は高いでしょう。

~初回接見と身柄解放~

刑事事件の被疑者として逮捕された場合,ご家族の方などが面会できるのは勾留が決定されてからになります。
一方で,弁護士であれば逮捕直後であっても被疑者の方と面会することが可能です(弁護士人になろうとするものの接見)。
弁護士による初回接見では被疑者の方から事件の詳細などを聴き取り,今後の見通し,取調べ等に対する助言などをお伝えます。
そして依頼者であるご家族の方等にも聞き取った事件の詳細や今後の見通しなどをお伝えします。

今回のケースでは,Aさんは現行犯逮捕されていますので罪証隠滅のおそれは低いものの,一人暮らしであり,Aさんが逃亡しないように監視・監督できる者がいません。
そのため,Aさんには逃亡のおそれがあるとして勾留されてしまう可能性が高いでしょう。
しかし,Aさんの両親が自宅でAさんを監視・監督すればAさんが逃亡するおそれは低くなります。。
Aさんの両親がAさんを自宅で監視・監督する,捜査機関には必ず出頭させことを約束する上申書を裁判所に提出することによって勾留請求が却下される可能性もあります。
また,勾留が認められてしまった場合でも,同様に勾留決定に対する準抗告を申し立てることによって身柄が解放される可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族の方が事件を起こしてしまい逮捕されてしまったというような場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署などでの初回接見サービス・事務所での無料法律相談のご予約を24時間365日年中無休で受け付けています。

2度目の執行猶予はありうる?②

2020-04-14

2度目の執行猶予はありうる?②

執行猶予判決を2回受けることができるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】
Aさんは2018年3月に、コンビニでの常習的な万引きに関して、窃盗罪懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けていました。
しかし2020年4月、またもやコンビニで万引きをしてしまい、これを見つけた店員により通報、その後Aさんは逮捕・起訴されてしまいました。
Aさんは、実刑判決を避け、なんとしても執行猶予を付けて欲しいと考えています。
このような2回目の執行猶予は法律上可能なのでしょうか。
また可能とすると、どのような場合において可能なのでしょうか。
なお、現在期間中の執行猶予には保護観察はついていないものとします。
(このケースはフィクションです。)

~2度目の執行猶予~

前回は上記の事例について、刑法25条1項に基づいて執行猶予を得ることができるかについて解説いたしました。
2度目の執行猶予はありうる?①

今回は、25条2項に基づいて再度の執行猶予を得ることができるかについて解説いたします。
この条文は、まさに今回のAさんのような事例について定めてあります。

刑法25条2項
前に禁錮以上の刑に処されたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内にさらに罪を犯した者については、この限りではない。

読みづらい条文ですが、つまり、

①保護観察の付かない執行猶予期間中の者に対し、
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合で、
③情状に特に酌量すべきものがあるときは、

再度の執行猶予判決ができるということになります。

執行猶予中に罪を犯した者はさらなる執行猶予は受けられないことを原則としたうえで、犯した罪が軽く、また情状的にも強い猶予の理由がある場合にのみ限定的に、さらなる執行猶予を与える、という趣旨です。

なお①について、執行猶予の期間を、保護観察所の助言・指導などの監督を受けながら生活するという保護観察が付いている場合には、その期間中の犯罪について再度の執行猶予を付けることはできないことになります。
保護観察は、執行猶予を付けるケースの中では比較的悪質な犯罪のケースです。
このような保護観察のもとでもなお犯罪を犯した者には、もはやさらなる執行猶予は与えない、ということです。

~今回は執行猶予を付けられるか~

では今回のAさんは、執行猶予を受けられるのでしょうか。

Aさんには保護観察は付いていませんから、①保護観察の付かない執行猶予期間中の者という条件は満たします。

しかし、②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合という条件はどうでしょうか。
通常、再犯者には前回よりも重い判決が出されます。
Aさんは前回、懲役2年の判決を受けています。
そうすると特殊な事情がない限り、今回は2年以上の懲役判決が下される可能性が高いことになります。

また、②と重なる部分がありますが、③情状に特に酌量すべきものがあるときという条件についても、よほど特殊な事情がないと認めてもらえない可能性が高いでしょう。

以上により、Aさんが再度の執行猶予を得ることは、理論上は可能ですが、実際は厳しいところがあります。

~弁護士にご相談ください~

この状況で執行猶予を得るためには、適切かつ有効な弁護活動によって、まずは刑を1年以下に抑え、加えて特に酌量すべき情状があることを裁判官に認めてもらう必要があります。
ただ、このような弁護活動は、結果的に執行猶予とならなかったとしても、懲役の期間を短くすることにはつながる可能性があります。

ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

私たちの事務所では、刑事弁護を専門とする弁護士を取り揃えております。
執行猶予を得たいという場合かどうかにかかわらず、刑事事件に関して何かお困りのことがあれば、無料法律相談初回接見サービスをぜひご利用ください。

2度目の執行猶予はありうる?①

2020-04-13

2度目の執行猶予はありうる?①

執行猶予判決を2回受けることができるかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】
Aさんは2018年3月に、コンビニでの常習的な万引きに関して、窃盗罪懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けていました。
しかし2020年4月、またもやコンビニで万引きをしてしまい、これを見つけた店員により通報、その後Aさんは逮捕・起訴されてしまいました。
Aさんは、実刑判決を避け、なんとしても執行猶予を付けて欲しいと考えています。
このような2回目の執行猶予は法律上可能なのでしょうか。
また可能とすると、どのような場合において可能なのでしょうか。
なお、現在期間中の執行猶予には保護観察はついていないものとします。
(このケースはフィクションです。)

~執行猶予とは~

執行猶予とは、有罪判決がなされる場合に、情状を考慮して、刑の執行を猶予するという制度です。
根拠となる条文には刑法25条1項と同条2項があり、今回は1項について解説します。
2項についてはこちら→2度目の執行猶予はありうる?②
(なお、刑の一部の執行猶予という制度もありますが、ここでは刑の全部の執行猶予に焦点を当てて解説していきます。)

まずは条文を見てみましょう。

刑法25条1項
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することが出来る。
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者

つまり、25条1項により執行猶予を得るための要件は次の3つです。

①25条1項1号または2号にあてはまること
②今回、言い渡される判決が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金刑であること
③情状により猶予が相当であること

①についてさらに詳しく解説すると、25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」とは、禁錮以上の判決を言い渡されたことがないことを言います。

※ 「禁錮」という刑罰は、刑務所内で刑務作業をするかしないかは自由とされている他は懲役と同じです。「禁錮以上の刑」は、死刑・懲役・禁錮を指し、罰金などは含まれません。

純粋に前科がない者や、罰金しか受けたことのない者の他、前の裁判で懲役や禁錮の執行猶予判決を受けてその猶予期間を再犯せずに無事すごした場合も、判決言渡しの効果が消滅するので(刑法27条参照)、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に含まれます。

本ケースでのAさんは、2年前の裁判で懲役刑を言い渡されており、執行猶予期間の5年もすぎていないので、該当しません。

また、25条1項2号は、実際に懲役刑禁錮刑を受け、(ア)刑期満了による出所した時、(イ)仮釈放され残りの期間を無事過ごした時のいずれかの時点から5年間、再び禁錮以上の刑の言渡しを受けなかった場合などを指します。
しかし、今回のAさんはそもそも実際に懲役刑や禁錮刑を受けていないので、該当しません。

したがって、Aさんは25条1項を根拠として執行猶予を受けることはできないわけです。

長くなったので、25条2項による再度の執行猶予については次の記事で解説いたします。
→2度目の執行猶予はありうる?②

~お困りの方はご相談ください~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

 

違法な捜索・差押えをされたら

2020-04-08

違法な捜索・差押えをされたら

違法な捜索・差押えをされた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】
Aさんが愛知県名古屋市内の自宅でBさんと遊んでいると突然、愛知県千種警察署の警察官が、捜索差押令状をもって乗り込んできました。
この令状は、被疑事実を「覚せい剤使用」、捜索すべき場所を「○○マンション104号室(A宅)」・差し押さえるべきものを「覚せい剤、注射器、パイプ、覚せい剤の入手・保管に関する情報の記載された文書、同情報の保管された物件、その他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件」と記載されていました。
警察官は同令状に従いA宅を捜索しましたが何も出てきませんでした。
警察官は、A宅に居合わせていたBさんが捜索開始時からかばんを抱きかかえて離そうとしなかったことから不信を抱き、Bさんにカバンの提出を求めました。
Bさんが提出を拒むと警察官は令状の執行としてBさんから無理矢理カバンを奪い、その中を確認しました。
カバンの中からは覚せい剤やその使用に供したと思われる注射器が見つかり、押収され、Bさんは覚せい剤所持の罪で現行犯逮捕されました。
(このケースはフィクションです。)

~第三者の持ち物の捜索・差押え~

今回のケースでは、A宅の捜索・差押えの際に、偶然居合わせたBさんの持ち物の捜索・差押えがなされています。
このような、現場に居合わせた第三者の持ち物の捜索・差押えは適法なのでしょうか。

まず、捜査機関が捜索や差押えをするためには、裁判官に許可状(令状)を発行してもらう必要があります。
その令状には「捜索すべき場所、身体若しくは物」を記載しなければなりません(刑訴法219条1項)。
なぜなら、捜査機関が勝手に関係ないところを捜索して、国民の権利が害されることを防ぐ必要があるからです。
したがって、捜索は令状に記載された場所のみで行うことが出来ます。

今回のケースではA宅内のみを捜索することができるわけです。

ただ、A宅内とはいえ、たまたま居合わせた第三者の持ち物まで捜索してよいのでしょうか。

そもそも捜索は、事件に関係する証拠がある可能性が十分あるからこそ、裁判官が許可するわけです。しかし、偶然居合わせた第三者のカバンは、事件に関係する証拠は入っていないのが普通です。
そうすると裁判官も、居合わせた第三者の所持品まで捜索することは想定しておらず、許可を出していないといえます。

したがって、たとえその場に存在したとしても原則として捜索できないと考えられています。

~例外的に適法なケースも~

しかし、A宅に元々あった物をBさんが捜索時に持っていた場合には話が変わってきます。
例えばAさんとBさんが共犯者であり、BさんにとってもAさんの物が捜索・差押えされるのは不都合なので、警察の突入時にとっさに隠したような場合です。

もし第三者が適法に捜索・差押えできる物をカバンに隠した途端、捜索・差押えができなくなるとしたら、捜索・差押えの実効性が著しく損なわれます。
またこの場合、証拠が見つかる可能性が十分あるわけですから、令状を出した裁判官として捜索がなされることを想定していたといえます。

そこで、適法に捜索・差押えが可能な物をBさんが自分のカバンの中に隠したことが明らかな場合や、A宅にあったAさんのカバンをBさんが持っていたにすぎない場合などには、例外的に捜索・差押えが適法となる場合もあります。

~違法だった場合は?~

仮に原則通り、今回のBさんのカバンへの捜索・差押えが違法だった場合、押収された覚せい剤や注射器などの証拠は違法に収集された証拠であり、その証拠に基づいてなされた現行犯逮捕も違法ということになります。

この場合、見つかった証拠は裁判有罪とするために使うことが出来なくなったり、ただちに釈放しなければならなくなる可能性もあります。

ただ、違法であれば当然にそうなるというものではなく、その違法の内容や程度によってその結論は異なります。
その判断は難しいところですので、違法な捜査をされたのではと心配な方は、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
捜査の過程に違法な点がないかを検討し、早期釈放判決を軽くすることに向けて、弁護活動をしてまいります。

逮捕
されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

免許証を偽造して詐欺

2020-04-03

免許証を偽造して詐欺

免許証を偽造して詐欺をした場合ついて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんが在籍している株式会社Xでは,ある社員の退職に伴い,大型車両の運転免許を取得する意思のある者を募っていました。
社内で回覧されていた文書によると,大型車両の運転免許を取得することで給与が上がるだけでなく,教習に掛かる代金の負担という名目で30万円が交付されるようでした。
そのことを知ったAさんは,運転免許証を偽造し,会社から30万円を騙し取ろうと考えました。
そこで,大型免許を持っていないのに,取得済みであるかのような偽の免許証を作成したうえで,コピーを会社に提出して30万円の交付を受けました。
しかし,のちにAさんが免許を取得していないことが発覚し、会社から追及されたAさんは、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

【免許証の偽造は何罪に当たるか】

一般的に,免許証の偽造とは,免許証に似たものを作成したり,既に所持している免許証を加工するなどして内容に変更を加えたりすることを指すかと思います。
このような行為に及んだ場合,以下の犯罪が成立する可能性があります。

①公文書偽造罪
刑法(一部抜粋)
第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

公文書偽造罪は,公的機関が作成すべき文書を「偽造」した場合に成立する可能性のある罪です。
ここでの「偽造」とは,権限のない者が文書等を作成することを意味します。

運転免許証を作成する権限があるのは公安委員会であり,当然ながら一般人に運転免許証を作成する権限はありません。
したがって,偽の運転免許証を作成した場合には公文書偽造罪が成立すると考えられます。

罰則は1年以上10年以下の懲役となっており,罰金刑がないことから,もし起訴されれば簡易な手続で罰金刑にする略式裁判は利用できません。
したがって公開の法廷で通常の裁判を受け、無罪にならない限り、懲役刑の実刑判決執行猶予判決が下されることになるでしょう。

②偽造公文書行使罪
第百五十八条 第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

Aさんは偽造した免許証(155条に該当する文書)を会社に提出しているので、「第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し」た者として、虚偽公文書作成罪も成立してしまいます。

③詐欺罪
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

Aさんは、大型免許を取得しているかのように「人を欺いて」、30万円という「財物を交付させた者」にあたりますので、詐欺罪も成立してしまいます。

このように、Aさんには多くの犯罪が成立してしまいます。
なお、これらの罪で有罪判決を受ける場合、罰則は単純に各条文の罰則を足すのではなく、詐欺罪よりも重い公文書偽造・同行使罪を基準に、1年以上10年以下の懲役の範囲で処罰されることになります(牽連犯・刑法54条1項参照。なお執行猶予となる可能性はあります)。

【弁護士にご相談ください】

今回のような事件では、今後警察に被害届が出されてしまうおそれもあるため、すみやかに謝罪してお金を返すなどの対応が必要となってきます。
それで丸く収まればよいのですが、警察沙汰になってしまう場合もあるでしょうし、今後どのような展開になってしまうのか不安が強いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件に強い弁護士が,事件の軽重を問わず最善の結果を目指して弁護活動を行います。

逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

車上荒らしで不起訴を目指す

2020-01-11

車上荒らしで不起訴を目指す

車上荒らしの弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します

~ケース~

愛知県犬山市に住む大学生Aさんは駐車してある車の窓を破りロックを外し中の物品を盗むいわゆる車上荒らしをしていた。
Aさんが愛知県犬山市内の道路に駐車してある車の窓ガラスを破ったところ,車に設置してあった警報装置が鳴り響いた。
その音を偶然聞きつけたパトロール中の愛知県犬山警察署の警察官であるXにAさんは窃盗未遂罪および器物損壊罪の疑い現行犯逮捕された。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親はなんとかして前科が付かないようにできないかと弁護法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部に弁護を依頼した。
(フィクションです)

~車上荒らし~

車上荒らしはケースのAさんの犯行のように,窓ガラスなどを破り,ロックを外して車内の物品を盗む行為をいいます。
窓ガラスを割っていることから器物損壊罪(刑法261条)が,車内の金品を盗むことから窃盗罪(刑法235条)が成立します。

第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

第264条

第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

なお,器物損壊罪のいう前3条に規定する物とは,公用文書,私用文書,建造物のことをいいます。

~車上荒らしの弁護活動~

車上荒らしに限らず,窃盗罪器物損壊罪の場合,身柄拘束の回避,被害者の方との示談交渉が主な弁護活動となります。
窃盗罪器物損壊罪に限らず刑事事件を起こし逮捕され,勾留されてしまうと最長で23日間身柄を警察署などの留置施設に拘束されてしまうことになります。
また,勾留されてしまった場合には留満期とともに起訴されてしまう可能性が高く,被害者の方と示談交渉などをする時間的余裕も短くなってしまいます
一方,逮捕勾留されない在宅での捜査の場合には,勾留されてしまった場合に比べ起訴しなければならない期間が定められていませんので勾留されてしまった場合に比べ,示談交渉などをする時間的余裕が生まれます。

勾留回避のためには逮捕段階で刑事事件の弁護経験の豊富な弁護士に弁護を依頼することが重要です。
また,起訴される前の被疑者段階では勾留されなければ国選弁護人は選任されません
そのため,勾留そのものを回避するためには逮捕段階で弁護士に弁護を依頼する必要があります。
逮捕段階で依頼していただければ勾留決定の前に,裁判官に意見書の提出,弁護士が裁判官と直接面談などをして勾留決定をしないように働きかけます。

もし勾留されてしまった場合にも勾留決定に対する準抗告を申立て,準抗告が認められれば身柄解放されることになります。
しかし,勾留決定に対する準抗告が認容されるケースは勾留が却下されるケースに比べて少ないため,勾留前からの勾留回避活動が重要となります。

車上荒らしのような窃盗罪器物損壊罪に限らず,刑事事件を起こしてしまい示談をしようとしても被害者が赤の他人でり連絡先なども分からないことも多いでしょう。
その点,刑事事件の弁護の依頼を受けた弁護士であれば警察や検察官から被害者の方の連絡先を弁護士限りで取り次いで貰える場合もあります
被害者の方の連絡先を取り次いで貰えたら実際に被害者の方に連絡を取り示談交渉をすすめていきます。
示談交渉の際に加害者を許すという宥恕条項を示談書に盛り込んでもらうことで不起訴処分となる可能性が高くなります。

また,器物損壊罪は親告罪となっていますので,示談が成立し告訴をしない旨約束してもらえれば検察官は起訴することができず不起訴となります

車上荒らしのような窃盗器物損壊事件に限らず,刑事事件で不起訴処分となるためには示談交渉が非常に重要となります。
刑事事件を起こしてしまい前科を回避したいとお考えの方はできるだけ早く弁護士に相談されることをお勧めいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
示談が成立し,不起訴処分となった刑事事件も多数取り扱ってまいりました。
車上荒らしなどの刑事事件を起こしてしまい前科を避けたいとお考えの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談,警察署などでの初回接見のご予約を24時間年中無休で受け付けております。

万引きをしてしまったら

2019-12-07

万引きをしてしまったら

万引きをしてしまった場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋が解説します

~万引きの事例~

愛知県犬山市在住の主婦のAさんは日常生活のストレスをスーパーなどで商品を万引きすることで発散していた。
ある日,Aさんが育児のストレスからV店で商品の万引きを行ったところ警備員に見つかり,事務所に連れていかれた。
その後,Aさんは通報によりかけつけた愛知県犬山警察署の警察官に窃盗罪の疑いで事情を聞かれることになった。
(フィクションです)

~万引きと刑事手続き~

万引きは原則として刑法235条の窃盗罪に該当します。

第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

万引きをしてしまい発覚した場合でも,その場から逃げようとしたりしなければ逮捕されないことも多いです。
逆に,逃げようとしてしまった場合には逃亡のおそれがあると認められることになり逮捕されてしまう可能性が高くなってしまいます。
逮捕されてしまった場合には,勾留され,窃盗罪起訴された場合には初犯であれば罰金刑となることが多いです。
ただし,万引きの金額,余罪や前科などの事情によっては執行猶予付きの判決や実刑判決が出てしまう場合もあります。
なお,勾留された場合には,勾留請求から10日以内に起訴しなければならないと定められています(刑事訴訟法208条)ので,準抗告による釈放やむをえない事由により勾留延長がない限りは10日以内に起訴されることになります。

万引きをしてしまっても逮捕されなかった場合には釈放され,在宅で刑事手続きが進むことになります。
万引きに限らず在宅事件の場合,逮捕・勾留といった身柄拘束を受ける場合と異なり検察官に起訴するまでの期限が定められていません。
そのため,在宅事件であれば検察官が窃盗罪起訴するまでに勾留されてしまった場合に比べて時間的余裕があります。
検察官はその間に万引きの被害弁償などを行ったかどうかなどの情状によって最終的に窃盗罪で起訴するか起訴猶予の不起訴処分とするかを判断します。

~万引きの弁護活動~

万引きなどの窃盗事件で起訴された場合,被害金額が大きくなく,かつ初犯であれば刑事裁判が開かれない略式手続きによって罰金刑となることが多いです。
しかし,罰金刑であっても前科となってしまいますので可能な限り前科のつかない起訴猶予の不起訴処分を目指すことになるでしょう。

万引きに限らず窃盗罪起訴猶予の不起訴処分となるには被害者の方への被害弁償,示談の成立が重要です。
万引きに限らず窃盗罪では,被害者の方と示談が成立していれば起訴猶予の不起訴処分となる場合が多くなっています。
在宅事件であれば被害者の方と示談交渉をする時間的余裕がありますが,勾留されてしまっている場合には示談交渉をするための時間的余裕があまりありません。
そのため,不起訴処分を目指すには窃盗罪逮捕されてしまった段階で弁護士を依頼し身柄拘束の回避や迅速な被害者対応をすることが重要になります。
勾留されてしまった場合には準抗告を申立て,認められれば釈放され在宅事件となることもあります。

万引きなどの窃盗罪に限らず刑事事件では加害者が被害者の方と示談交渉などをするのは困難です。
被害者の方は加害者に対し不信感や警戒心など持っていますので直接示談をしたいと連絡したとしても応じてくれないことがほとんどでしょう。
弁護士が相手であれば窃盗の被害者の方も話を聞いていただける場合も多いでしょう。
また,万引きの場合,被害者である店舗は示談交渉などを受け入れてくれないことも多いですが,弁護士を間に入れることによって被害の弁償金だけでも受け取って頂ける場合もあります。
示談成立とまでいかなくとも万引きによる被害を弁償をすることは有利な情状となり,検察官が事件を不起訴処分とする可能性もあります。
万引きをしてしまった場合,まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
万引きによる窃盗事件示談をしたことで起訴猶予の不起訴処分となった事例も多数あります。
まずはフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談,警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間年中無休で受け付けています。

盗撮事件で前科を回避したい

2019-12-06

盗撮事件で前科を回避するためには

盗撮事件前科を回避したい場合を弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

~ケース~

名古屋市の大学に通うAさん(4回生)は名古屋駅にあるショッピングモールのエスカレーターで前に立っていたVさんのスカートの中をスマートフォンで盗撮した。
しかし,VさんはAさんが盗撮していることに気付き,Aさんは警備員に取り押さえられた。
その後,通報により駆け付けた愛知県中村警察署の警察官によってAさんは盗撮(愛知県迷惑行為防止条例違反)の疑いで事情を聞かれることになった。
Aさんはスマートフォンは没収されたものの逮捕勾留されることなく釈放され,連絡を受けたAさんの家族は,Aさんの将来のためにも前科が付かない方法がないか弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部に相談した。
(フィクションです)

盗撮が見つかってしまったら~

盗撮をして見つかってしまった場合,その場で警察に通報され,警察署で事情を聞かれることが多いでしょう。
このような場合に,その場から逃げようとせずに警察の指示に素直にしたがえば,逮捕されずにその日の内に釈放されるということもあります。
しかし,逃げようとしてしまうと,逃亡・証拠隠滅のおそれが高いと判断され,逮捕・勾留といった身柄拘束に繋がってしまう可能性が高くなります。
その為,盗撮が見つかってしまった場合には逃げようとせずに素直に警察の指示にしたがう事が身柄拘束をされないためには重要となります。

盗撮の場合の刑事手続き~

今回のAさんのように逮捕されなかった場合や,逮捕されてしまっても勾留されずに釈放された場合には在宅で事件の手続きが進むことになります。
警察が捜査を進め,検察官に事件の関係書類や証拠を送致します(この手続きを書類送検といいます)。
書類送検を受けた検察官は関係書類や証拠,事件後の情状などを考慮し,被疑者を起訴するかどうかを判断します。
起訴された場合には刑事裁判を受けることになりますが,100万円以下罰金刑の場合には刑事裁判が開かれずその場で罰金を納付する略式手続きが採られる場合もあります。
なお,在宅事件の場合には検察官は「何日以内に起訴しなければならない」という期限が定められていませんので比較的ゆっくりと手続きが進むことになります。

一方,逮捕・勾留されてしまった場合,検察官は被疑者の勾留を請求した日から10日以内(勾留延長があった場合には20日以内)に起訴しなければならないと定められています(刑事訴訟法208条)ので勾留されてしまった場合被害者の方と示談をする時間的余裕があまりありません
その為,検察官に勾留請求をしないように意見書を提出したり,勾留に対する準抗告申立などを依頼された弁護士は行うことになります。
検察官が勾留請求をしなかった場合や,準抗告申立が認められた場合には釈放され,在宅で事件の手続きが進むことになります。

なお,盗撮に限らず在宅事件の場合には起訴されるまでは国選弁護人を付けることは出来ませんので弁護士を付ける場合には私選の弁護士に依頼することになります。
私選の弁護士に依頼するメリットとして,起訴前に示談交渉などの弁護活動が行える点があります。
盗撮事件の場合,余罪のない1件のみで前科がないという場合には被害者の方と示談を成立させることができれば検察官は事件を起訴猶予の不起訴処分とすることが多いです。
一方で示談を成立させられなかった場合には起訴され略式手続きで罰金刑となることが多いようです。
罰金刑であっても前科となってしまいますので前科を回避するためには示談を成立させることが重要です。

盗撮の場合の示談交渉~

盗撮事件では示談を成立させることが出来れば検察官が事件を不起訴処分にすることが多いと書きましたが,事件を起こした本人が被害者の方と直接示談をするのはほぼ不可能でしょう。
というのも,盗撮に限らず刑事事件の被害者の情報を加害者は教えてもらう事は当然できません。
また,仮に何らかの方法で連絡が取れたとしても,盗撮などの被害者は不信感や恐怖心などにより会ってくれないことが多いでしょう。
逆に加害者が直接連絡を取ることで,却って被害者の方を怒らせてしまう可能性もあります。

刑事事件の弁護の依頼を受けた弁護士であれば,検察官から被害者の方の連絡先を取り次いでいただき連絡を取れる場合が多いです。
被害者の方も弁護士が相手であれば話を聞いてみようと考えて頂けることが多いようです。
被害者の方に話を聞いていただき示談を成立させることができれば今回のAさんのケースのような盗撮事件では不起訴処分となる可能性が高いでしょう。
また,示談を断られてしまった場合でも示談を試みたということは若干ではありますが有利な情状として扱ってもらえる場合もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
盗撮事件で示談を成立させ不起訴処分となった事件も数多く手掛けて参りました。
盗撮をしてしまい前科をつけたくない,不起訴処分を目指したいとお考えの方は0120-63-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談・警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間年中無休で受け付けています。

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