お金の貸し借りで詐欺罪に

2019-06-30

お金の貸し借りで詐欺罪に

 

~ケース~

愛西市在住のAさんは、知り合いであるVさんに「急に出費が重なってしまった。再来月に利息を1割つけて返すので10万円貸して欲しい。」と申し入れた。
Aさんが地元では名の知れた大企業に勤めていたこともあり、Vさんは特に疑うこともなくAさんに10万円を渡した。
ところが、Aさんは会社での転勤が決まっており県外に引っ越す予定であった。
AさんはVさんからお金を受け取った数週間後、転勤に伴い県外へ引っ越してしまった。
2か月後、Vさんが返済を受けるためにAさんの自宅へ行った際、Aさんは転勤で引っ越してしまった事を知った。
また,Aさんは同様に数人からお金を借りていたが,いずれも返していなかった。
Vさんは、Aさんが最初からお金を返す気がなく騙し取られたと思い,愛知県警察津島警察署に相談した。
(フィクションです)

~金銭の貸し借りと詐欺罪~

個人での金銭の貸し借りは民法上の金銭消費貸借契約であり,返さなかったといって詐欺罪が成立することは原則ありません。
借りたお金を返さないことは,民事上の債務不履行状態であり,犯罪行為ではありません。
また,警察は民事不介入が原則ですのでお金を返さなかったといって警察に呼び出されたりすることは基本的にありません。

しかし,お金の貸し借りにおいて民事上の問題だけではなく、何らかの刑事法上の問題がある場合には警察が介入する可能性はあります。
お金の貸し借りの場合,貸した側に出資法違反や利息制限法違反,貸金業法違反,借りた側に詐欺罪の成立が考えられます。
では、今回のケースでAさんは詐欺罪に問われてしまうのでしょうか。

◇詐欺罪◇

詐欺罪は刑法246条に「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。」と定められています。
詳しい構成要件としては

1.行為者の欺罔行為又は詐欺行為によって
2.相手方が錯誤に陥り
3.錯誤に陥った相手方が,その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること
4.財物の占有又は財産上の利益が行為者ないし第三者に移転すること
上記1~4の間に因果関係が認められ,また,行為者が行為時においてその故意及び不法領得の意思があったと認められること

となっています。

お金を返す意思がなく返すように装いお金を借り,結果的に返さなかった場合には詐欺罪が成立すると考えられます。
しかし,借りたお金を返す意思があったかどうかは借りた人の内面的な問題であり,返す意思がなかったと証明することは困難です。
逆に、返す意思が当初からなかったと客観的に証明できる場合には、詐欺罪に問われてしまう可能性は高くなります。

今回のケースでは,Aさんは転勤によって県外に引っ越すことがVさんからお金を借りる時点でわかっていました。
振込先などを知らない,すなわち金銭を直接やりとりするという場合においては、返す意思がなかったと推認される可能性があります。
隣県などの場合はそれほど問題となりませんが,遠方の場合,金銭を直接やりとりするのが困難となりますので,振込先を聞いておくなど,特段の事情がなかった場合,世間一般的に最初から返す気がなかったと考えられてしまいます。
加えてAさんは,数人から同様の手口でお金を借りており,そのいずれも弁済していないのですから最初からVさんにお金を返す気がなかったと認められ、詐欺罪が成立する可能性はあります。

~弁護活動~

個人間の金銭の貸し借りの場合,上述のように詐欺罪であると立証するのは困難です。
そのため、警察は基本的に介入したがらず詐欺罪とならない可能性が高いです。
万一,詐欺罪として立件されそうになったとしても,借りたお金を返すことによって起訴される可能性は低くなります。

今回のAさんの場合,数人から金銭を借りており,また,さまざまな事情を踏まえると、当初から返済の意思がなかったと考えられます。
そのため、Aさんは詐欺罪として立件されてしまう可能性は高いでしょう。
しかし,上述のようにVさんらに借りたお金を返済することによって、詐欺罪として起訴される可能性は低くなります。
まずはお近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件に強い法律事務所です。
金銭の貸し借りで詐欺罪等の刑事事件に問われそうになった方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。