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児童ポルノで逮捕
児童買春・ポルノ禁止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさんは、SNSを通じて知り合った高校生Bさん(16歳)に対して、Bさんの裸体を撮影させたうえでその写真を送信させ、この写真を暴露すると言って脅し、さらに路上を全裸で歩く動画を撮影させて送信させたとして、中村警察署の警察官により児童買春・ポルノ禁止法違反(単純製造)及び強要罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
~児童買春・ポルノ禁止法~
児童買春・ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は、児童買春行為や児童ポルノの所持や提供、製造等の行為を禁じる法律です。
まず、児童買春・ポルノ禁止法における「児童」とは、18歳に満たない者をいい、男女を問いません。
上の事案におけるBさんは16歳ですので、男女のいかんを問わず、児童買春・ポルノ禁止法における「児童」に該当することになります。
次に、「児童ポルノ」とは、①児童を相手方とし、又は児童同士の性交や手淫・口淫など性交に類似した行為、②他人が児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触り、逆に児童が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮させ又は刺激するもの、③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態で、殊更にその性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出又は強調されており、性欲を興奮させ又は刺激するものといった児童の姿態を視覚で認識できる方法により描写したものをいいます。
上の事案においては、撮影された対象がBさんの裸体とBさんが全裸で路上を歩く姿であるため、③に該当する可能性があります。
これを写真や動画で撮影した場合には、この写真や動画を視覚で認識できる方法により描写したものであると考えられます。
これは、加害者が自ら撮影した場合のみならず、被害者本人に撮影させた場合についても同様です。
したがって、上の事案でAさんの指示により撮影されたBさんの写真や動画は「児童ポルノ」に当たると考えられます。
「児童ポルノ」については、自己性的目的所持、提供、提供目的製造等、不特定多数への提供、公然陳列等が禁止されています。
上の事案のAさんのように、撮影の対象であるBさん本人に自ら撮影させるるという行為は「製造」として禁止されています。
この場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられることがあります。
~強要罪~
Aさんは、児童買春・児童ポルノ禁止法違反のほか強要罪でも逮捕されています。
強要罪は、生命、身体、自由、名誉、若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又はその権利の行使を妨害した場合に成立します。
まず、強要罪における「脅迫」は、人を畏怖させるに足る害悪の告知をいい、脅迫罪のいう「脅迫」と同義であると考えられています。
ここでの「害悪」の内容は、強要罪の条文にも書かれていますが、相手方又はその親族の生命、自由、名誉、財産に対し害悪を加えることに限定されています。
上の事案では、AさんがBさんに対して、Bさんが全裸で路上を歩く動画を撮影して送信しなければBさんの全裸の写真を暴露するという旨の脅迫を加えています。
これは、Bさんの自由や名誉に対して向けられた「害悪の告知」であると考えられますので、Aさんの行為は強要罪における「脅迫」に当たると考えられます。
次に、「義務のないことを行わせ」るとは、行為者に何らその権利・権能がなく、したがって、相手方にも義務がないのに、相手方に作為・不作為又は認容を余儀なくさせることをいいます。
ここでいう義務の内容は、恐喝罪(刑法第249条)、強盗罪(刑法第236条)、逮捕・監禁罪(刑法第220条)、職務強要罪(刑法第95条第2項)などのように他の犯罪に該当しないものをいい、これらの犯罪が成立する場合には、別途強要罪は成立しません。
上の事案では、AさんはBさんに対して、全裸で路上を歩く姿を撮影させるという「義務のないこと」を行わせていますので、この点について強要罪が成立する可能性があります。
この場合、3年以下の懲役に処せられることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
脅迫罪と報道回避
脅迫罪と報道回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさん(20歳)は、Vさんのスマートフォン宛にLINEで「お前の親の車燃やしてやる」というメールを送りました。Aさんは脅迫罪の件で警察から呼び出しを受けたため、今後逮捕され、報道されてしまうのか不安になり刑事弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです)
~脅迫罪~
脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知(害悪の告知)して人を脅迫した場合に成立する犯罪です。
罰則は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
脅迫は、一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。ただし、本罪は危険犯と言われ、人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り、それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。例えば、下記の例が脅迫に当たります。
生命・・・「殺すぞ」
身体・・・「怪我させるぞ」
自由・・・「帰れなくするぞ」
名誉・・・「さらし者にするぞ」
財産・・・「家、車を燃やすぞ」
もちろん、このように端的に告知しなくても、脅迫が行われるまでの経緯・前後関係などから総合して脅迫とされることもあります。
脅迫罪の相手は、被害者本人(刑法222条1項)又はその親族(同条2項)です。
よって、友人や恋人に対する害悪の告知は脅迫とはいえません。ただし、別に、友人や恋人に対する脅迫罪が成立する可能性はあります。
脅迫の方法に制限はありません。文書・言語・態度・動作のいずれによってもよいとされています。最近は、SNSやインターネットを経由した脅迫が多いです。
~報道回避~
報道されればその人が有罪か無罪かに関係なく、「逮捕された事実」自体が大きくクローズアップされます。
この「有罪か無罪かに関係なく」というところがポイントで、逮捕段階では無罪推定の原則が働いており、まだ逮捕された人を犯人と決めつけることはできないのに、世間一般の人は、逮捕=その人が犯人だとの印象を抱く傾向にあります。
そのため報道されれば、職場や学校などに事実が知れ渡り、職場や学校にいずらくなって結果的に辞めざるをえなくなるかもしれません。また、インターネット等の情報化社会の今日、ネットなどに実名でニュースが記載され、あっという間に情報は拡散し、将来、それを削除することも困難になります。
他方、残念ながら一部の事件を除いては、逮捕後の犯人の状況などについてはほとんど報道されることはありません。
ですから、犯人がはたして逮捕された事実を行ったのか、無実であったのかが不明確なまま、逮捕された事実のみが先行して世間に広まる可能性があるのです。
このような実名報道による不利益を回避するためには、何よりもまず逮捕を避けることが必要です。
児童買春の場合、逮捕を避けるには被害者と示談交渉し、警察が逮捕に動き出す前に示談を成立させることが必要です。
また、児童の連絡先などを知らず、そもそも示談交渉できないという場合は出頭、自首することなども検討し、逮捕される場合にそなえて報道しないよう警察に働きかけを行っていく必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。脅迫罪で示談をお考えの方、その他でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
強制性交等罪
強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさんは、マッサージのため宿泊していたホテルの個室にマッサージ嬢Vさんを呼び込み、そこでVさんを羽交い絞めにして性交した件で警察署に強制性交等罪で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 強制性交等罪とは ~
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
刑法177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有機懲役に処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。
改正前の刑法177条は
13歳以上の「女子」を姦淫した者は
と規定されていました。しかし,改正後は13歳以上の「者」と改められ,男子も保護の対象となりました。したがって,女子による男子への,男子による男子への性交等も処罰の対象となります。
一般に,「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使,「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。そして,強制性交等罪の暴行・脅迫の程度は
相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度
であることが必要とされています。
具体的には,相手方を殴る,蹴る,叩く,武器を使用して殴る,叩く,馬乗りになる,羽交い絞めにする,縄などで縛るなどが「暴行」に当たるでしょうし,言う通りにしなければ「殺すぞ」,「裸の写真をばらまくぞ,ネットに流すぞ」,「家に火をつけるぞ」などという行為が「脅迫」に当たるでしょう。
性交の他に,肛門性交(アナルセックス),口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。性交とは膣内に陰茎を入れる行為,肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為,口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
行為者が自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内,肛門内,口腔内に入れる行為(加害者:男性,被害者:女性又は男性)だけでなく,自己又は第三者の膣内,肛門内,口腔内に被害者の陰茎を入れる行為(加害者:女性又は男性,被害者:男性)も含まれます。
~ 今後の流れ ~
強制性交等罪を疑われれば,逮捕,勾留される可能性が高いといえます。
また,起訴され,刑事裁判で「有罪」と認定されれば,高い確率で「実刑」となるおそれがあり,その裁判が確定した後は,刑務所に服役しなければならなくなります。執行猶予付き判決を受けるには,裁判で「3年以下の懲役」の言い渡しを受ける必要がある(刑法25条1項)ところ,強制性交等罪は最低が「懲役5年」だからです。
強制性交等罪の弁護活動としては,まず,上記の「罪証隠滅行為」や「逃亡」のおそれを払拭して身柄を拘束された方の釈放を目指します。
事実を認める場合は、上記に加え,被害者との示談交渉に入ります。
上記のとおり,強制性交等罪で起訴されると高い確率で「実刑」となりますから,起訴そのものを回避する弁護活動が必要です。
事実を認めない場合は,被害者の供述の信用性が争点となりますから,被害者の供述の信用性に疑いを挟む事実・証拠を収集するなどして,まずは処分を決める検察官に意見書などを
提出して不起訴獲得を目指します。仮に,裁判になった場合は,被害者の供述の信用性を争い,無罪獲得を目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
保護責任者遺棄致死罪で逮捕
保護責任者遺棄致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
60代男性のAさんは、瀬戸市内の自宅にて重病を抱えた妻Vさんの看護に疲れてしまい、面倒を全く見ることなく放置していました。
その結果、Vさんが亡くなってしまったため、Aさんは保護責任者遺棄致死罪の容疑で愛知県警察瀬戸警察署に逮捕されることになりました。
(フィクションです)
~保護責任者遺棄致死罪とは~
まず、保護責任者遺棄罪について説明したいと思います。
保護責任者遺棄罪とは、幼児や高齢者、身体障害者、病人を保護する責任がある人が、保護すべき者に対して、遺棄したり、生存に必要な保護をしなかったりすることをいいます。
ここで言う「遺棄」とは、保護を要する子どもや高齢者などを保護のない状態に置くことにより、その生命・身体を危険にさらすことを指しています。
また、保護すべき人を場所的に移動させる行為(移置)だけでなく、置き去りのように危険な場所に放置する行為も含んでいます。
そしてさらに、保護すべき者に対して、生存に必要な保護をしない行為(不保護)もまた、保護責任者遺棄罪には含まれています。
今回の上記事例のAさんのように、「重病の妻Vさんの面倒を見ることなく放置する行為」は、保護すべき者に対して生存に必要な保護をしなかったという「不保護」に当てはまると考えられ、保護責任者遺棄罪に問われる可能性は高いでしょう。
そして、Aさんの「不保護」の結果、妻のVさんは亡くなっていますので、保護責任者遺棄致死罪が成立する可能性も十分に考えられるのです。
~殺人罪~
なお、犯行態様や故意(殺意)しだいでは刑法199条の殺人罪が成立する可能性があります。
殺意があるかどうかは、客観的・具体的な事実を基に判断されますが、長期的に食べ物を与えていない等の事実があれば、殺意があると判断されることもあるでしょう。
保護責任者遺棄致死罪の法定刑は、3年以上の懲役であり、起訴された場合にはこのような刑が科される場合があります。
また、殺人罪が成立する可能性もあるので、逮捕された場合には刑事事件に強い弁護士に無料法律相談や初回接見の依頼をすることをお勧めします。
弁護活動の内容によっては、逮捕・勾留に伴う身体拘束から解放されたり、執行猶予付の判決が認められたりする場合もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、弊所の無料法律相談、初回接見サービスのご利用をご検討ください。
緊急逮捕
緊急逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさんは、会社の飲み会で大量にお酒を飲み、泥酔した状態で自宅の最寄り駅に着きました。そして、Aさんが駅の近くにあったVさん管理の自動販売機でペットボトル入りの水を買おうとしたところ、自動販売機が故障しており、お金を入れてボタンを押してもペットボトルが出てきませんでした。そのことに腹を立てたAさんは、右足で自動販売機の飲料の取り出し口を思いっきり蹴って取り出し口を壊し、周囲に「ガン」という大きな音を響かせました。その後、Aさんは自宅に向かって歩いていたところ警察官の職務質問を受け、通報内容と背格好、服装が似ていることなどから器物損壊罪で緊急逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの家族は、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ 緊急逮捕とは ~
緊急逮捕とは、重大な犯罪を犯したと疑うに足りる充分な理由がある場合に逮捕状なしで逮捕し、逮捕後に裁判官の発する逮捕状を必要とする手続のことをいいます(刑事訴訟法210条)。「重大な犯罪」とは、
死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪
のことで、たとえば、
・殺人罪
・傷害罪
・強盗罪
・窃盗罪
・強制性交等罪
・強制わいせつ罪
・詐欺罪
・恐喝罪
・横領罪
・公務執行妨害罪
・住居侵入罪
・名誉毀損罪
などの罪がこれにあたります。
ちなみに、器物損壊罪は、法定刑が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」ですから、「長期3年以上」に当たり(3年以下は3年以上に含まれます)、やはり緊急逮捕の対象となります。
他方、
・暴行罪
・脅迫罪
などは「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」に当たらず緊急逮捕の対象ではありません。
~ 告訴取消し、不起訴 ~
器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない罪で、これを「親告罪」と言います。
ですから、Aさんが公訴を提起されず、裁判を受けずに済むため(不起訴を獲得するため)には、Vさんに告訴を取消してもらう必要があります。
刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
Vさんに告訴を取り消してもらうためには、まずはVさんに対し真摯に謝罪し、速やかに示談交渉に移る必要があるでしょう。
しかし、当事者間での示談交渉は感情のもつれなどもあって非常に困難を伴いますから、被害者との示談交渉はに弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士であれば適切な内容で示談を成立させることが可能であり、その結果、Vさんに告訴を取消していただき、不起訴という刑事処分を獲得できる可能性も上がります。
また、この場合、Aさんに前科も付きません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
息子が万引きで逮捕
万引きと留置場での接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市中川区に住む大学生のA君はスーパーで万引きしたとして保安員に現行犯逮捕され、その後身柄を中川警察署の警察官に引き渡されました。Aさんは警察官とともに警察署へ行き、留置場へ収容されてしまいました。他方、A君の母親は警察署刑事課の警察官から「A君を万引きで逮捕した。」という連絡を受けました。逮捕の連絡に驚いたA君の母親でしたが、息子が元気でいるか確かめたいと思い、警察官に「息子と接見(面会)したい」と申し出たところ、断られてしまいました。そこでA君の母親は今すぐA君と接見してくれる万引き・刑事事件に詳しい弁護士にA君との接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 万引きと窃盗 ~
万引きは窃盗罪に当たります。
窃盗罪は刑法235条に規定されており、罰則は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています。
万引きが発覚すれば逮捕される可能性は大いにあります。
なお、法律上、現行犯逮捕に限り私人(警察官などの司法関係者以外の者)でも可能です。
今回、A君は保安員により現行犯逮捕されています。
現行犯逮捕されるとその場から警察署に連行され、警察署内の留置場に収容されてしまいます。
~ 留置場とは ~
留置場は、全国の各都道府県警察署内に設けられた、主に被疑者の逃走、罪証隠滅行為を防止するための施設です。一定の場合(運動、診断、入浴等)を除き、8畳ほどの簡素な居室の中で生活することになります。規則正しい生活を強いられ、場合によっては共同で狭い居室の中で生活しなければなりません。また、食事は出ますが、警察署内に調理する場所はなく、専ら外注した弁当を配膳されます。当然、好きなもの、食べたいものが配膳されるわけではありませんし、冷めていて温めることもできません。入浴は、夏場は週に2回、冬場は週に1回とされていることが多いようです。
このよな生活であることから、留置された方にとっては相当な負担となることでしょう。
~ 逮捕後の接見(面会)は可能? ~
では、逮捕直後、ご家族は逮捕された方と留置場で接見(面会)することは可能でしょうか?
この点、逮捕から勾留決定が出るまでの逮捕期間中は、法律上、弁護士以外の方が逮捕された方との接見を認める規定はありません。
つまり、権利としては認められていない、ということになります。
ただし、一度、警察官に接見したい旨を申し出てみる価値はあるでしょう。警察官の判断で接見を認めてもらえるかもしれません。
しかし、多くの場合は接見を認めてはくれないでしょう。
そんなとき、どうしても逮捕された方と接見して欲しいという場合は弁護士に接見をご依頼ください。
弁護士であれば日時に関係なく速やかに逮捕された方と接見することが可能です。
また、当番弁護士と異なり、接見後、必ずご依頼者様に接見の報告をさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、万引きをはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
傷害罪と示談
傷害罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します
名古屋市に住むAさんは、Vさんと口論となり、Vさんの顔面や腹部等を足蹴にするなどの暴行を加え、Vさんに加療約1か月間を要する傷害を負わせた傷害罪で久留米警察署に逮捕されてしまいました。逮捕後、Aさんは自分のしたことをひどく後悔し、Vさんに謝罪した上、示談したと考えています。
(フィクションです。)
~傷害罪~
傷害罪は刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
まず、傷害罪の規定から分かることは、傷害の対象者は「人」の身体だということです。つまり、「人」以外の動物などを傷害しても傷害罪に問われることはありません(この場合は、器物損壊罪(刑法261条)に問われることになります)。また、「傷害」の意義については諸説ありますが、判例、裁判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害説に立っているものと思われます。打撲、骨折、創傷が「傷害」に当たることは明らかですが、中毒症状を惹起し、めまい、嘔吐をさせる、病菌を感染させるなども「傷害」に当たるとされています。
次に、規定上は単に「人の身体を傷害した」と行為の結果しか書かれていませんが、その前提として、
1 暴行の故意+暴行行為
2 傷害の故意+傷害行為
が必要とされています。暴行とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなどがその典型といえるでしょう。暴行の故意とは、要は、怪我させるつもりはなかったという場合です。この、暴行の故意で暴行行為を働き、結果、傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われ得ることになります。他方、傷害の故意とは、傷害させるつもりだったという場合です。傷害の故意で傷害行為を働き、結果、傷害を発生させた場合は傷害罪に、傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われ得ることになります。
最後に、暴行行為、又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。よって、例えば、暴行行為により被害者に骨折を負わせたとされても、暴行行為の前に、被害者が別の原因で骨折していたということが判明した場合は、「その行為がなくても結果は発生していた」といえますから因果関係は否定されることになり、傷害罪は成立しないことになります。
本件では、幸いにもVさんの一命は取り留められたようですが、仮に、その後Vさんが死亡した場合、Aさんはどんな罪に問われるのでしょうか?
刑法205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
これは傷害致死罪と呼ばれる罪名の規定で、Vさんが死亡した場合、Aさんは傷害致死罪に問われる可能性が出てきます。有期懲役の上限は20年(刑法12条1項)ですから、傷害罪に比べると格段に刑は重くなっています。また、裁判員裁判対象事件であるため、起訴されれば一般人が裁判員としえ裁判に参加することになります。ただし、傷害致死罪の場合も、行為(暴行行為、傷害行為)と死亡との間に因果関係があることが必要です。したがって、Vさんの入院中に、医師の手術が原因でVさんが死亡したという場合は、傷害致死罪ではなく傷害罪が成立する可能性が高いでしょう。
~示談とは~
「示談」とは、裁判外(話し合い)で、紛争の当事者同士の合意によって事件を解決することをいいます。広い意味で和解といいます。
示談を成立させると、当事者は合意した内容に法的に拘束されます。
つまり、たとえば「BさんがAさんに対して金10万円を払う」という内容の合意をした場合は、AさんはBさんに10万円を支払う義務が生じます。そして、示談書を公正証書で作成した場合、仮にAさんがBさんに10万円を支払わなかった場合は、Aさんはこの示談書を基に財産を強制的に差押えられるなどの強制執行を受ける可能性もあるのです。他方で、上記内容は、「AさんがBさんから合意した金額以上の額を請求されることはない。」という意味も含まれています。
なお、傷害罪の示談金は10万円から50万円が相場ですが、被害者の怪我の程度などにより上記の金額以上となることもあります。
示談は紛争当事者話し合いによって解決するものですから、示談交渉は紛争の当事者同士(加害者、被害者)で進めていくことも可能です。
しかし、Aさんのように身柄を拘束されている場合は物理的に示談を行うことは不可能です。また、Aさんが釈放され物理的に示談が可能となった場合でも、法律の素人である当事者同士では、そもそも感情の縺れなどから示談交渉を進展させることが難しいでしょうし、仮に進展させることができたとしても、有効に示談が成立したかどうかも不明な場合もあります。これではのちのちのトラブルにも発展しかねません。
示談交渉を円滑、適切に進めていくためには弁護士の力を借りた方が無難でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、傷害罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。傷害罪などでご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどとお考えの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
殺人罪の故意の認定
殺人罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさんは、Vさんに加害することをストレス解消の手段として、日常的に暴行を加えるなどしていました。ある日、Aさんは、Vさんを名古屋市内を流れる川へ突き落としました。突き落とされたVさんは溺死してしまいました。愛知県東警察署から呼出しを受けたAさんは、殺意を否定したいと考えています。
(フィクションです)
~殺人罪~
犯罪が成立するためには、原則として故意が必要とされています。
殺人事件においては、殺人罪の故意の中核をなすものとして殺意の有無が大きな問題となり得ます。
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
殺意とは、人に死亡結果を発生させる危険性が高い行為をすることの認識と言うことができます。
殺意がなく殺人の故意が認められないとして殺人罪として処罰されなくとも、傷害致死罪など他の犯罪に問われる可能性はあります。
しかし、例えば傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役で、過失致死罪ともなると50万円以下の罰金と、科され得る刑がかなり軽くなります。
そのため、殺意の有無をどのように認定するのかはかなり重要です。
関連して、罪名のみならず量刑についても、殺意の強度が大きく影響する場合があります。
より強い殺意が認定されれば重い刑が、逆に殺意が弱ければ軽い刑が言い渡される可能性が高まります。
先ほど、殺意を人に死亡結果を発生させる危険性が高い行為をすることの認識のことと言いました。
認識というと結局は行為者の主観であって、行為者(被疑者)が「死んでしまうことを認識していなかった」などと言ってしまえば認識がないことにならないか、などと考える方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、殺意やその他の故意について、行為者あるいは被疑者がどのような発言をしたかはかなり重要な判断要素なのですが、殺意の有無や程度の判断ではその他にもいくつか考慮されることが考えられる要素があります。
裁判所が殺意を認定する上で考慮するものとして、
・凶器の有無
・凶器の危険性
・被害者の身体のどこにどの程度の傷を負わせたか
・犯行時の行為者と被害者の言動
・犯行前後の行為者の言動
・犯行時の行為者と被害者との関係性
・犯行動機
等が挙げられます。
裁判所はこれらの事項を総合的に考慮して、殺意の有無やその程度を認定します。
また、裁判所の判断に先立って、検察官が起訴するかどうかを判断する際も殺意の有無等が検討されます。
日本の刑事司法では起訴された事件の約99%が有罪となっていますので、起訴される前に殺意が無いことなどの主張を尽くせるかどうかが重要です。
Aさんのケースでは、Vさんが突き落とされた川の幅や深さ、当時の川の状況、どこから突き落としたのか、Vさんの死亡に影響を及ぼした持病等の有無、これらの事項をAさんがどの程度認識していたか等が殺意の有無について検討・考慮され得るものと考えられます。
Aさんは警察に呼び出されており、これから取調べが行われることが考えられますが、取調べでどのような供述や対応を行うかどうかも重要になります。
ここでの対応を誤ると一気に不利な状況に陥ってしまうこともあり得るので、取調べを受ける前など、可能な限り早い段階で刑事事件に強い弁護士に事件を相談・依頼することを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
失火罪で執行猶予
失火罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市守山区で飲食店を経営しているAさんは、営業時間が終了した後、その日の売上金を金庫に入れて店を後にしました。その際、Aさんは仕込みのために鍋を火にかけていたことをすっかり忘れていました。それから数時間後、消防車のサイレンの音で目を覚ましたAさんは、出火場所が自身の店であることを知って上記事実を思い出しました。火は幸いにも早期に消し止められ、守山警察署は失火罪の疑いがあると見て捜査を進めることにしました。Aさんから相談を受けた弁護士は、被害がさほど大きくないことから、裁判になっても執行猶予になる可能性があることを指摘しました。
(フィクションです。)
~失火罪について~
同罪の失火とは、過失によって出火させること、をいいます。
ここでいう「過失」とは、物を燃やす認識、認容がないまま、「不注意」によって一定の作為・不作為を行うことをいいます。そして、「不注意」とは、一定の行為をするべきではない、あるいはすべき義務があるにもかかわらず、その義務に違反すること、つまり注意義務違反のことをいいます。
これに対し放火とは、故意に目的物の焼損に原因力を与えることをいいます。ライターで紙などに火をつけ、これを目的物に投げ入れる行為がその典型です。
失火は「過失」により、放火は「故意」により、火を点けるということになります。
事例では、Aさんは、経営者として、あるいは店を最後に出る者としてコンロの火を消すべき義務があったといえます。
にもかわらず、コンロの火を消し忘れたまま店を後にしていることから、Aさんは過失を認めることができます。
なお、仮に、Aさんがコンロの火が消されてないことを認識しながら、あえてその状態を放置した場合は「放火」に当たる可能性があります。
失火罪の罰則は50万円以下の罰金です。
なお、事例の場所が飲食店であることやAさんが飲食店の経営者であることから、Aさんは失火罪ではなく業務上失火罪に問われる可能性もあります。
業務上失火罪の罰則は3年以下の禁錮または150万円以下の罰金です。
~執行猶予の可能性~
裁判で有罪となって刑罰が科されたとしても、その刑罰に執行猶予が付くことがあります。
以下では、多くの罪において見かける、刑の全部執行猶予について説明します。
執行猶予は、判決で、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金を言い渡す場合において付すことができるとされています。
なお、実務上、罰金を言い渡す場合に執行猶予がつくことはありません。
判決で、「懲役1年6月で執行猶予が3年」と言い渡された場合、ひとまず3年間は刑務所に行かなくて済みます。
更に、執行猶予が取り消されることなく一定期間が経過すれば、刑の言い渡しの効力を失われる、すなわち、刑務所に行かなくて済みます。
執行猶予を獲得するには、刑の執行を猶予するのが相当な程度に事件の重大性が低いことをきちんとアピールしなければなりません。
たとえば、犯行が悪質でないこと、きちんと反省していること、これまでの素行が良いこと、被害弁償がきちんとなされたこと、などを主張することが考えられます。
このような主張は様々な角度から行いうるものなので、もし執行猶予を目指すなら刑事事件を熟知した弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
住居侵入罪で勾留阻止
住居侵入罪と勾留阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県新城市のアパートに住むAさんは、最近になって隣の部屋に女性が引っ越してきたことを知りました。隣人の女性には、恋人がいるようで夜な夜な音が聞こえてきました。Aさんは、はじめは仕方がないと思い、我慢していましたが、途中からイライラを抑えることができなくなり、ある日の晩、「ベランダに侵入し、怖がらせてやろう、そうすればしばらくは夜静かになるだろう」と考え、いつものように夜になって音がし始めてから、ベランダ伝いに、隣の女性のベランダに侵入しました。Aさんとしては、女性に見られないつもりでしたが、街灯があったこともあり、暗い室内からAさんの様子はよく見えました。女性の恋人が警察に通報し、新城警察署の警察官が捜査に訪れ、Aさんはその場で、住居侵入罪の疑いで現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)
~ 住居侵入罪とは ~
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、(略)た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
「人の」とは、自己以外の他人のという意味です。よって、行為者(Aさん)が単独で居住する住居や、他の者と共同生活を営んでいる住居は、人の住居とは言えません。
次に、「住居」とは、日常生活に使用するため人が占有する場所をいい、起臥寝食に使用されていることを必要とすると解されています。「住居」である以上、居住者が常に居住していることを要しないとされており、一時旅行に出て家人不在の留守宅も「住居」です。また、ベランダも住居の一部です。ただし、空き家や建築中の家、オフシーズンの別荘は後記の「邸宅」あるいは「建造物」に当たります。
「侵入」とは、住居等の平穏を害する形で立ち入ること、すなわち、住居者・看守者の意思又は推定的意思に反して立ち入ることをいいます。
~勾留阻止に向けて~
住居侵入行為を被害者などに見つけられ、その後警察が到着し、住居侵入罪の疑いで現行犯逮捕されるというケースは少なくありません。
住居侵入罪で逮捕された場合、勾留阻止により逮捕後72時間以内の釈放を目指すことが考えられます。
勾留阻止を実現するための手段として弁護士が行う活動には、勾留請求をする検察官および勾留請求の当否を判断する裁判官との交渉が挙げられます。
弁護士が勾留前に被疑者と接見出来た場合には、被疑者の言い分はもちろん、被疑者を監督してくれる方がいる場合にはその方の誓約等をそろえ、被疑者を拘束する必要がないことを書面や口頭で検察官や裁判官に訴えていくことになります。
そのため、勾留阻止の可能性を少しでも高めるのであれば、やはり弁護士に事件を依頼するのが得策です。
また、仮に、身柄拘束が続いてしまったとしても、示談交渉などを行うことで終局処分を軽減するための活動も迅速に行うことができます。
早期釈放以外のメリットも豊富なので、一度は弁護士への依頼をご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、住居侵入罪などをはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。お困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受付を行っています。
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