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窃盗事件の上告審の刑事弁護活動
窃盗事件の上告審の刑事弁護活動
窃盗事件の上告審の刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県半田市に住むAさんは、窃盗事件を起こし、愛知県半田警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されました。
その後、Aさんは窃盗罪で起訴され、第一審判決では懲役1年6月の判決を言い渡されました。
Aさんは第一審の判決に不服があり、名古屋高等裁判所に控訴しました。
しかし、控訴審で選任した弁護士から、控訴棄却が言い渡される可能性が高いと言われています。
Aさんはそのような控訴審の判決がされた場合、不服申立てをしたいと考えており、もし実刑判決が覆らなくても、刑務所に服役するまでの時間が欲しいと考えています。
(フィクションです。)
【上告とは】
上告とは、最高裁判所への不服申立てのことを意味します。
上告を提起することができる期間は、判決が宣告された日から14日間です(刑事訴訟法358条、刑事訴訟法373条、刑事訴訟法414条)。
刑事事件例では、刑事弁護士は、上告申立書を作成し、上告の申立てをすることができます。
【上告理由とは】
上告の申立てをするには上告理由が必要です(刑事訴訟法405条柱書)。
上告理由は刑事訴訟法405条各号に規定されています。
具体的な上告理由は以下の通りです。
・憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること
・最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと
・最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと
上述した上告理由がない場合であっても、法令の解釈に関する重大な事項を含む場合には、上告受理申立てができます(刑事訴訟法406条)。
また、上述した上告理由がない場合であっても、職権破棄事由の主張ができます(刑事訴訟法411条)。
上告理由は、刑事弁護士が作成する上告趣意書に記載します。
上告審は書面審査であり、審判の対象は上告趣意書に記載された上告理由の有無であるため、刑事弁護士が作成する上告趣意書がいかに説得的であるかという点が重要になります。
刑事事件例でも、刑事弁護士が上告趣意書を作成し、上告理由があることと主張することができます。
【上告審でできること】
上告審においても保釈の請求をすることができます。
保釈の請求は、刑事弁護士が作成する保釈請求書を提出することにより行います。
もし保釈が許可され保釈金の納付ができれば、被告人の方の身体拘束は解かれることになります。
ここで、上告には判決の確定時期を延ばす効果があるため、もし保釈により被告人の方の身体拘束が解かれれば、刑務所に入る前の準備などに時間を確保することができます。
刑事事件例では、Aさんはもし控訴審の実刑判決が覆らなくても、刑務所に服役するまでの時間が欲しいと考えています。
刑事弁護士の刑事弁護活動としては、判決の確定時期を延ばすべく、まず刑事弁護士により上告の申立てを行うことが考えられるでしょう。
その上告の申立てをした上で、被告人の方の身体拘束を解くために刑事弁護士により保釈請求を行うことになるでしょう。
この刑事弁護士による保釈請求が許可された場合、Aさんは身体拘束を解かれ、刑務所に入る前の準備などに時間を費やすことができるようになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件の上告審の刑事弁護活動でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件
暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件
暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県岩倉市に住むAさんは、愛知県岩倉市議会議員であるVさんの自宅の敷地内に侵入し、Vさんの車3台の窓ガラスをハンマーなどを使用して破壊したり、塗料のようなものをまいたりしました。
Aさんは愛知県江南警察署の警察官により、暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で逮捕されました。
(2020年11月11日にテレビ朝日NEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【暴力行為処罰等に関する法律違反とは】
Aさんが違反したとみられる暴力行為処罰等に関する法律とはどのような法律なのでしょうか。
以下では、Aさんが違反したとみられる暴力行為処罰等に関する法律第1条を見ていきます。
団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法第208条(暴行罪)、第222条(脅迫罪)又は第261条(器物損壊罪)の罪を犯したる者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す(暴力行為処罰等に関する法律第1条)。
暴力行為処罰等に関する法律は、労働運動や学生運動、暴力団による暴力行為等を処罰することを目的として作られた法律です。
暴力行為処罰等に関する法律第1条に「団体」・「多衆」・「数人で共同して」などといった表現が使用されていることも納得できます。
そして、労働運動や学生運動、暴力団による暴力行為等には、「兇器を示し」てなされることも多かったのでしょう。
そのため、暴力行為処罰等に関する法律第1条には、「兇器を示し」て行われる一定の犯罪を禁止しています。
上記一定の犯罪の中には、刑法第261条の器物損壊罪が含めれています。
つまり、「兇器を示し」器物損壊罪を犯した者は、暴力行為処罰等に関する法律違反の罪が成立することになるのです。
【暴力行為処罰等に関する法律違反の罪と器物損壊罪】
以下では、刑法261条の器物損壊罪を見ていきます。
前三条(注:刑法258条・259条・260条)に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪の「損壊」とは、広く物の効用を滅失させる行為を指すと考えられていますが、刑事事件例のAさんのように、物を物理的に破壊する行為は当然に、器物損壊罪の「損壊」に該当します。
このことから、Aさんには器物損壊罪が成立するところ、Aさんの器物損壊行為は「兇器を示し」てなされたものです。
上述のように、「兇器を示し」器物損壊罪を犯した者は、暴力行為処罰等に関する法律違反の罪が成立することになります。
よって、Aさんには、暴力行為処罰等に関する法律違反の罪が成立することになります。
【暴力行為処罰等に関する法律違反と示談】
暴力行為処罰等に関する法律違反事件を起こしてしまった場合、被害者の方と早期に示談交渉を開始し、示談を締結することが重要となります。
そして、示談交渉には刑事事件を数多く取り扱った経験から得られる交渉力が必要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
暴力行為処罰等に関する法律違反事件を起こした方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
ストーカー規制法違反事件で逮捕された
ストーカー規制法違反事件で逮捕された
ストーカー規制法違反事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市中川区に住む元交際相手のVさんの自宅に押し掛けました。
Aさんは、Vさんにより110番通報を受けた愛知県中川警察署の警察官により、ストーカー規制法違反の容疑で逮捕されました。
愛知県中川警察署の警察官によると、Vさんは警察に以前から「Aさんがしつこくつきまとってくる。Aさんと別れたい」などと相談をしており、警察からはAさんからの接触があった場合には110番通報するように伝えられていたといいます。
(2021年3月25日にSTVNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【ストーカー規制法違反の罪とは】
ストーカー規制法18条
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
「ストーカー行為」を行ったときにはストーカー規制法違反という犯罪が成立することになりますが、具体的に「ストーカー行為」とはどのような行為を指すのでしょうか。
ストーカー規制法2条3項では、ストーカー行為とは「つきまとい等」を反復して行うことを指すと規定しています。
そして、「つきまとい等」には、ストーカー規制法2条1項1号から8号に規定された8類型があります。
ストーカー規制法2条1項の「つきまとい等」に当たる8類型は以下の通りです。
①つきまとったり、待ち伏せしたり、進路に立ちふさがったり、住居等の付近において見張りをしたり、住居等に押し掛けたり、住居等の付近をみだりにうろついたりすること。
②行動を監視していることを告げること。
③面会、交際を行うことを要求すること。
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
⑤電話をかけて何も告げなかったり、拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけたり、ファックス・メールを送信したりすること。
⑥汚物等を送付すること。
⑦名誉を害する事項を告げること。
⑧性的羞恥心を害する事項を告げたり、性的羞恥心を害する文書や写真、データを送付・送信したりすること。
以上をまとめると、上記8類型の「つきまとい等」を反復して行った、すなわちストーカー行為を行った者には、ストーカー規制法違反の罪が成立するといえます。
刑事事件例では、Aさんが8類型の「つきまとい等」を反復して行ったといえる場合には、Aさんにはストーカー規制法違反の罪が成立します。
【禁止命令違反とは】
ストーカー規制法19条1項
禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。
ストーカー規制法違反事件では、「禁止命令違反」という言葉をよく耳にしますが、ストーカー規制法違反の「禁止命令違反」とはどのような行為を指すのでしょうか。
ストーカー規制法5条1項は、都道府県公安委員会は、つきまとい等をして不安を覚えさせる行為があった場合、その行為者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるとき、「更に反復して当該行為をしてはならないこと」及び「更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項」を命ずることができる旨を規定しています。
要約すると、ストーカー規制法の「禁止命令違反」とは、一度つきまとい等を行った者が更に反復して行わないよう命じられたにもかかわらず、再度ストーカー行為等を行った場合に成立する犯罪であるといえます。
ストーカー行為の態様が悪質であると評価できるときに成立するといえます。
刑事事件例では、Aさんがすでにストーカー規制法による禁止命令を受けていた場合には、Aさんにはストーカー規制法違反(禁止命令違反)の罪が成立します。
【ストーカー規制法違反事件で逮捕されたら】
ストーカー規制法違反事件で逮捕された場合、被害者の方とすみやかに示談交渉を開始し、示談を締結することが重要です。
そして、刑事事件例のように被害者の方が元交際相手である場合、被害者の方の処罰感情にも十分考慮しつつ、被害者の方が真摯に反省していることや、今後被害者の方には接触しないと約束することなどを伝えることが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ストーカー規制法違反事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された
未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された
未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県知多市に住むAさんは、会員制交流サイト(SNS)において、女子中学生のVさん(15歳、愛知県知多市内在住)が「家出したい」と書き込んでいるのを見つけました。
そこで、Aさんは「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込みました。
後日、Vさんから事情を聞いたVさんの母親は事態を重く見て、愛知県知多警察署に未成年者誘拐罪の告訴をしました。
その結果、Aさんは、愛知県知多警察署の警察官により、未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
(2021年2月3日に中日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【未成年者誘拐罪とは】
刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
未成年者誘拐罪は、「未成年者」を「誘拐」した者に成立する犯罪です。
未成年者誘拐罪の「未成年者」とは、「20歳未満の者」(民法4条)をいいます。
例えば、刑事事件例のVさんは15歳であるため、20歳未満の者であるとして、未成年者誘拐罪の「未成年者」に当たります。
また、未成年者誘拐罪の「誘拐」とは、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移すことをいいます。
刑事事件例では、Aさんは、「家出したい」と書き込んだVさんに対して、「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送っています。
このAさんの行為は、誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)行為に当たると考えられます。
そして、Aさんは上記誘惑行為を手段として、Vさんを自宅に連れ込んでいます。
このAさんの行為は、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為に当たると考えられます。
よって、AさんによるVさんに「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込むという行為は、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為として、未成年者誘拐罪の「誘拐」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。
【未成年者誘拐事件の刑事弁護活動】
刑法229条
第224条の罪…は、…告訴がなければ公訴を提起することができない。
未成年者誘拐罪は、被害者の方の名誉を保護するという観点から、「告訴がなければ公訴を提起することができない」親告罪であるとされています。
告訴とは、検察官または警察官に対して、犯罪事実を親告して、被疑者の方の処罰を求める意思表示のことをいいます。
また、告訴は、被害者の方(刑事訴訟法230条)またはその法定代理人(刑事訴訟法231条)がすることができると規定されています。
刑事事件例でいえば、未成年者誘拐事件を担当する検察官がAさんを未成年者誘拐罪で起訴するためには、Vさんかそのご両親の方が告訴をしている必要があるといえます。
ここで、刑事事件例では、既にVさんの母親が未成年者誘拐事件の告訴をしていますが、刑事訴訟法237条では「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定されているため、Vさんの母親は未成年者誘拐事件の告訴を取り消すこともできます。
そこで、刑事弁護士としては、被害者の方の母親と連絡を取り、正式な謝罪と相当な被害弁償をするので未成年者誘拐事件の告訴を取り下げてもらえないかと交渉することができると考えられます。
刑事弁護士による示談交渉により、未成年者誘拐事件の告訴を取り下げてもらうことができれば、Aさんは未成年者誘拐罪で起訴されることはなくなると考えられます。
未成年者誘拐罪のような親告罪では、刑事事件(特に示談交渉)に強い弁護士を選任することにより、円滑に示談を進めていくことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県高浜市に住むAさんは窃盗罪の容疑で逮捕され、その後勾留をされました。
その後、窃盗罪の容疑で起訴され、保釈されました。
Aさんは第一審では国選弁護人を選任していましたが、国選弁護人からは「おそらく実刑になるだろう」と言われています。
Aさんは金銭的な理由で被害者の方との示談を行っていませんでしたが、保釈後、両親を説得し、金銭的な協力が得られる見込みが立っています。
しかし、第一審の判決期日は一週間後を予定しており、Aさんは実刑になった場合控訴をすることができないかと考えています。
また、その際、Aさんは刑事弁護士を国選弁護人から私選弁護士に切り替えたいと考えています。
(フィクションです。)
【控訴とは】
控訴とは、高等裁判所への不服の申立てをいいます。
控訴を提起することができる期間は、判決が宣告された日から14日間です(刑事訴訟法358条、刑事訴訟法373条)。
控訴を申し立てることができる期間はとても短く、控訴提起期間が過ぎてしまうと判決が確定してしまうため、すみやかに控訴の申立てを行う必要があります。
【控訴理由について】
控訴を申し立てるためには、控訴理由が必要です(刑事訴訟法384条)。
控訴理由は、刑事訴訟法377条から刑事訴訟法382条に規定されています。
具体的な控訴理由は以下の通りです
・重大な訴訟手続の法令違反があること(刑事訴訟法377条・刑事訴訟法378条)
・その他訴訟手続に法令の違反があってその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法379条)
・法令適用に誤があってその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法380条)
・刑の量刑が不当であること(刑事訴訟法381条)
・事実の誤認があって、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法382条)
刑事事件例においては、刑事弁護士により刑の量刑が不当であるとして、控訴を申し立てることができると考えられます。
具体的には、控訴の申立ては、刑事弁護士が作成する控訴申立書の提出により行います。
また、刑事弁護士が作成する控訴趣意書により、控訴理由を示します。
【控訴審でできること】
控訴審では、事実の取調べを請求することができます(刑事訴訟法393条1項柱書)。
控訴審における「事実の取調べ」とは、第一審の証拠調べと同じことであると考えて差支えありません。
また、控訴理由として刑の量刑が不当であること(刑事訴訟法381条)、又は事実の誤認があって、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法382条)を主張する場合には、一定の要件(やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調べの請求をできなかったこと、控訴理由を証明するために欠くことができないこと)を満たせば、必ず事実の取調べをすることができることになります(刑事訴訟法393条1項但書)。
さらに、上述の要件が満たされなくとも、控訴裁判所の職権により、情状の取調べが認められることがあります(刑事訴訟法393条2項)。
例えば、原判決後の被告人の方の反省を示すために、控訴審における被告人質問の実施を請求することができます。
刑事事件例では、第一審判決後に、刑事弁護士により窃盗事件の被害者の方との示談交渉を行い、示談を締結できる可能性があります。
そこで、第一審の判決後に示談が成立した場合には、控訴審において示談の成立を情状として主張するために事実取調べの請求をすることができると考えられます。
このように、控訴審において、示談の締結とその事実取調べを行うことができれば、第一審で宣告される刑が軽くなる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県豊山町に住むAさんは、知人のBさんと愛知県豊山町内の歩道を歩いていたところ、Vさんに因縁を付けられたため、Vさんに対して暴行を加えました。
その際、BさんはAさんに加勢もせず、ただAさんによる暴行を見ているだけでした。
その後、Aさんは現場から立ち去りましたが、その場に残っていたBさんが倒れこんでいたVさんに殴る蹴るなどの暴行を加えました。
その結果、Vさんは全治2週間の怪我(傷害)を負ったとして、愛知県西枇杷島警察署の警察官に傷害事件の被害を訴えました。
Aさんは愛知県西枇杷島警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
Vさんの怪我(傷害)はAさんとBさんのどちらの暴行によるものなのかは分からないとのことです。
(2019年10月4日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【傷害罪とは】
傷害罪や暴行罪といった犯罪は、刑事事件のニュースや新聞でよく耳(目)にする犯罪ですが、傷害罪と暴行罪の違いは何でしょうか。
傷害罪については、刑法204条が以下のように規定しています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の「傷害」(刑法204条)とは、人の生理機能を害することをいうと考えられています。
例えば、切り傷、打撲傷、骨折などはいずれも人の生理機能を害する傷害罪の「傷害」(刑法204条)にあたるといえます。
これに対して、暴行罪については、刑法208条が以下のように規定しています。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪のいう「暴行」(刑法208条)とは、人の身体に対する有形力(物理力)の行使をいいますが、刑法208条に規定されている通り、暴行罪は、「暴行」を加えたが、その結果「傷害」が生じなかった場合に成立することになります。
ところで、刑事事件例では、Vさんは怪我(傷害)を負っていますが、AさんとBさんのどちらの暴行行為により怪我(傷害)が生じているのか判明していません。
このような場合、Aさんには傷害罪と暴行罪のどちらが成立するのでしょうか。
【同時傷害の特例とは】
刑法207条
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくとも、共犯の例による。
刑法207条の同時傷害の特例は、以下のような場合を想定して規定された条文です。
加害者が二人いて、彼らは意思疎通(共謀)をすることなく被害者の方に暴行を加え、被害者の方は怪我(傷害)を負った。
しかし、被害者の方の怪我(傷害)が、加害者のうちどちらにより生じたのかが分からない。
暴行行為と怪我(傷害)に因果関係があるか分からないのであれば、加害者たちにはそれぞれ傷害罪ではなく、暴行罪が成立するのではないか。
刑法207条の同時傷害の特例は、以上のような場合を想定し、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと「推定」するものです。
この刑法207条の同時傷害の特例により、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと推定されると、推定が破られない限り、加害者たちにはそれぞれ傷害罪が成立することになります。
ここで刑事事件例をみてみると、加害者はAさんとBさんの二人であり、AさんとBさんは意思疎通(共謀)をすることなくVさんに暴行を加え、Vさんは怪我(傷害)を負いました。
しかし、Vさんの怪我(傷害)が、AさんとBさんの暴行のうちどちらにより生じたのか分かっていません。
そこで、刑法207条の同時傷害の特例が適用され、Aさんの暴行とVさんの怪我(傷害)の因果関係が推定され、推定が破られない限り、Aさんには傷害罪が成立することになります。
これはBさんにも同じことがいえ、Bさんにも傷害罪が成立することになります。
このように刑法207条の同時傷害の推定が働いた場合において、それでも傷害罪の成立を否定したいときは、自身の暴行と怪我(傷害)の間に因果関係がないことを立証していくことになります。
例えば、自分の暴行は被害者の方に怪我(傷害)を与える程度のものではないと主張・立証することになります。
傷害事件という名前だけ聞くと単純な刑事事件のように思えても、詳細な事情を専門的に細かく検討しなければならないこともあります。
だからこそ、弁護士への相談・依頼が重要なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県田原市の承諾殺人事件
愛知県田原市の承諾殺人事件
愛知県田原市の承諾殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県田原市内にある公園内において、交際相手のV1さん(40歳)とその子供のV2さん(15歳)から承諾を得て、V1さんとV2さんを刺殺しました。
V1さん・V2さんは当時貧困状態にあり、V1さんはAさんに「私を殺してほしい」、V2さんもAさんに「私もお母さんと一緒に殺してほしい」と言ったといいます。
Aさんは愛知県田原警察署の警察官により承諾殺人罪の容疑で逮捕されました。
(2020年8月5日に日本経済新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【承諾殺人罪とは】
刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
承諾殺人罪は、刑法202条にいう殺人への「承諾」が死の意味を理解した上でなされた場合にのみ成立します。
例えば、死の意味を理解しない幼児や精神障害者の承諾は無効であり、承諾殺人罪は成立しません。
殺人への承諾が無効である場合は、刑法202条の承諾殺人罪ではなく、刑法199条の殺人罪が成立すると考えられています。
刑事事件例では、V1さん(40歳)とその子供のV2さん(15歳)はAさんによる殺人に承諾しているところ、二人の承諾は死の意味を理解した上でなされた有効なものであると考えられます。
そして、AさんはV1さんとV2さんの承諾を認識して、二人を刺殺しています。
よって、Aさんには承諾殺人罪が成立すると考えられます。
【承諾殺人罪と刑罰】
刑法45条は「確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする」としています。
そして、刑法47条は「併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする」としています。
刑事事件例では、V1さんの生命侵害とV2さんの生命侵害という2つの承諾殺人罪が成立しており、これら2つの承諾殺人罪は併合罪であると考えられます。
そのため、承諾殺人罪の法定刑は6月以上7年以下の懲役又は禁錮ですが、その刑の長期にその2分の1を加えた10年6月が本件刑事事件例における処断刑の長期となります。
このようにして複数の承諾殺人罪が処理された例として、母子ら4人の承諾を得て殺害した承諾殺人事件において懲役8年が言い渡された判決があります(2020年8月5日に日本経済新聞に掲載された福島地裁いわき支部判決を参照ください)。
刑事弁護士としては、刑事裁判において被疑者・被告人の方にとって有利になるような事情を主張し、6月以上10年6月という処断刑の長期内でより被疑者・被告人の方に有利な判決を獲得できるよう裁判対応をしていくことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県田原市の承諾殺人事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
準強制わいせつ事件で早期釈放を目指す
準強制わいせつ事件で早期釈放を目指す
準強制わいせつ事件で早期釈放を目指すケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
タクシー運転手をしているAさんは、愛知県東海市内の公園の駐車場に止めたタクシーの車内で、Vさん(20歳・女性)の胸や下半身を触るなどのわいせつな行為をしました。
このとき、Aさんは勤務中で、酒に酔っていたVさんに「送っていくよ」などと声をかけ、車に招き入れていれたといいます。
Vさんが愛知県東海警察署に被害を届け出たことにより、Aさんは準強制わいせつ罪の容疑で逮捕されました。
Aさんが準強制わいせつ罪の容疑で逮捕されたと知ったAさんの妻は、Aさんが早期に釈放されるようにしてほしいと考えています。
(2020年11月11日にFNNプライムオンラインに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【性犯罪と準強制わいせつ罪】
いわゆる強姦である強制性交等罪や強制わいせつ罪、公然わいせつ罪などは、ニュース報道などでよく耳にする性犯罪であると思います。
しかし、Aさんは準強制わいせつ罪という、よく目にする強制わいせつ罪とは違った耳慣れない犯罪の嫌疑がかけられています。
以下では、準強制わいせつ罪について解説します。
【準強制わいせつ罪とは】
準強制わいせつ罪は、刑法第178条第1項に規定された性犯罪です。
刑法第178条第1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
参考までに、強制わいせつ罪を規定した刑法第176条を引用します。
刑法第176条
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
この強制わいせつ罪を規定した刑法第176条から分かるように、13歳未満の男女に対してわいせつな行為をした場合は、強制わいせつ罪が適用されます。
例えば、13歳未満の男女に対して、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、」わいせつな行為をしても、準強制わいせつ罪ではなく、強制わいせつ罪が成立します。
したがって、準強制わいせつ罪とは、13歳以上の男女に対して、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、」わいせつな行為をした者に成立する犯罪であるといえます。
それでは、準強制わいせつ罪の手段である「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせ」る行為とは、どのようなことを指すのでしょうか。
準強制わいせつ罪の「心神喪失」とは、失神や泥酔状態にあること等により正常な判断力を失った状態をいいます。
また、準強制わいせつ罪の「抗拒不能」とは、心理的又は物理的に抵抗ができない又は著しく困難な状態をいいます。
刑事事件例のVさんは事件当時酒に酔っていました。
このVさんの状態は、泥酔により正常な判断力を失っていたといえ、準強制わいせつ罪の「心神喪失」にあったと考えられます。
そして、刑事事件例にAさんはこのVさんの心神喪失状態を利用して、Vさんに対してわいせつな行為をしています。
よって、Aさんは準強制わいせつ罪が成立すると考えられます。
【準強制わいせつ事件と早期に釈放】
Aさんが準強制わいせつ罪の容疑で逮捕されたと知ったAさんの妻は、Aさんが早期に釈放されるようにしてほしいと考えています。
例えば、Aさんが準強制わいせつ罪の容疑で逮捕・勾留として長期間身体拘束がされた場合、無断欠勤を理由に勤務先から解雇されてしまうかもしれません。
加えて、もしAさんが一家の大黒柱であり、Aさんの収入にのみ頼っている場合には、Aさんの停職や失職によっては、Aさんのみならず、Aさんの家族も大きな不利益を被ることになります。
Aさんに小さなお子さんがいるのであれば、長期間Aさんとお子さんが会えないことは子育てや教育上大きな問題となります。
このような事情を踏まえ、刑事弁護士としては、Aさんが準強制わいせつ罪の容疑での勾留する必要がないことや、Aさんの準強制わいせつ罪の容疑での勾留は相当ではないことなどを主張し、Aさんが早期に釈放されるよう刑事弁護活動をしていくことになると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県東海市の準強制わいせつ事件で釈放したい場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検
暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検
暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県知立市に住むAさんは、自身の娘(Vさん)と学業をめぐって口論となり、Vさんに対して包丁を突き付けるなどして、Vさんに全治1週間の怪我をさせました。
Aさんは愛知県安城警察署の警察官により、暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で書類送検されました。
(2020年11月6日に岐阜新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【暴力行為等処罰に関する法律違反とは】
暴力行為等処罰に関する法律第1条の2は、「銃砲又は刀剣類を用ひて人の身体を傷害したる者は1年以上15年以下の懲役に処す。」と規定しています。
ここで、刑法に定められた傷害罪の規定を見ると、刑法第204条1項は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
刑法204条1項の傷害罪ではなく、暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が適用されるのは、人の身体を傷害する手段として「銃砲又は刀剣類を用」いられている場合です。
刑事事件例のAさんはVさんに対して包丁を突き付けるなどして、Vさんに全治1週間の怪我をさせました。
暴力行為等処罰に関する法律の規定する「銃砲又は刀剣類」を用いてVさんの身体を傷害したといえ、Aさんには暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が成立すると考えられます。
【暴力行為等処罰に関する法律違反の罪と刑罰】
暴力行為等に関する法律第1条の2に定められた刑は「1年以上15年以下の懲役」であるのに対して、刑法第204条1項の傷害罪に定められた刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
つまり、暴力行為等に関する法律違反(第1条の2違反)となった場合は1年以上15年以下の刑事施設への拘置及び刑務作業(懲役)が科せられることになります。
これに対して、傷害罪を犯した場合は1月以上15年以下の刑事施設への拘置及び刑務作業(刑法12条1項)か、50万円以下の罰金が科せられることになります。
選択刑として罰金刑が設けられており、罰金が科せられる場合、略式手続という非公開手続により事件が終局する可能性があります。
また、執行猶予付き判決を獲得することができなかったとしても刑事施設に収容される恐れもありません。
よって、暴力行為等に関する法律違反事件を起こし書類送検された場合には、傷害事件を起こした場合と比較して、正式起訴がなされる可能性や重い刑が科せられる恐れがあることに注意しなければなりません。
刑事弁護士としては、書類送検後に正式起訴がなされた場合、執行猶予付き判決の獲得を目指し、裁判官に対して、犯行に至る経緯や犯行の態様、犯行を行った結果の軽重、犯行の危険性などの犯罪それ自体に対する事情(犯情)について、被告人に有利な事情を主張していくことになるでしょう。
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暴行事件の容疑を否認
暴行事件の容疑を否認
暴行事件の容疑を否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県愛知郡東郷町立B小学校の教頭であるAさんは、愛知県愛知郡東郷町内を走行する電車の中で、Vさん(女子中学生)に体液をかけました。
その後、Vさんが駅で泣いているところを見つけた駅員が110番通報し、事件が発覚しました。
Aさんは愛知県愛知警察署の警察官により暴行罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは「体液が出てしまったのは間違いないが、体液をかけるつもりはなかった。短パンだったのでかかってしまったのかもしれない。」と、暴行罪の容疑を否認しています。
暴行罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、一刻も早くAさんを釈放をしてほしいと考えています。
(2020年10月21日に東海テレビNEWに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【暴行罪の成立要件(構成要件)】
Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されていますので、以下ではAさんに暴行罪が成立するのかを検討します。
暴行罪は、刑法208条に規定されています。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する(刑法208条)。
暴行罪のいう「暴行」とは他人の身体に対する物理力の行使です。
「暴行」という言葉から連想される殴る、蹴る等の行為は当然に暴行罪のいう「暴行」に含まれます。
これに加えて、例えば被害者の耳元で拡声器を使い大声を発する行為のように音を使った物理力の行使というものなどもあります。
刑事事件のAさんのようにVさんに体液をかける行為も、他人の身体に対する物理力の行使として暴行罪のいう「暴行」に該当すると考えられます。
【暴行事件と否認】
刑事事件例では、Aさんは「体液が出てしまったのは間違いないが、体液をかけるつもりはなかった。短パンだったのでかかってしまったのかもしれない。」と、暴行罪の容疑を否認しています。
ところで、逮捕は、「逮捕の必要性」(刑事訴訟法199条2項)があるときになされる身体拘束です。
具体的には、被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重・態様その他諸般の事情を総合考慮し、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれの有無等によって判断されます。
また、逮捕に引き続く勾留も、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがある場合になされるものです(刑事訴訟法60条1項1号)。
ここで、例えば犯罪の容疑を認めている場合、あえて逃亡したり罪証隠滅をしたりする主観的可能性がないなど、一般に釈放される可能性が高まります。
これに対して、刑事事件例のAさんのように暴行罪を含む犯罪の容疑を否認している場合、逃亡したり罪証隠滅をしたりする主観的可能性があるとして、逮捕に引き続く勾留までなされる可能性が高まると考えられています。
しかし、だからといってやっていないにも関わらず容疑を認めることとなれば、それは冤罪となってしまいます。
容疑を否認する場合には、取調べへの対応なども重要になってきますから、逮捕・勾留による身体拘束についても取調べへの対応についても、早めに弁護士に相談し、対応を考えていくことが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県愛知郡東郷町の暴行事件の容疑を否認したいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。