Archive for the ‘刑事事件’ Category
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県高浜市に住むAさんは窃盗罪の容疑で逮捕され、その後勾留をされました。
その後、窃盗罪の容疑で起訴され、保釈されました。
Aさんは第一審では国選弁護人を選任していましたが、国選弁護人からは「おそらく実刑になるだろう」と言われています。
Aさんは金銭的な理由で被害者の方との示談を行っていませんでしたが、保釈後、両親を説得し、金銭的な協力が得られる見込みが立っています。
しかし、第一審の判決期日は一週間後を予定しており、Aさんは実刑になった場合控訴をすることができないかと考えています。
また、その際、Aさんは刑事弁護士を国選弁護人から私選弁護士に切り替えたいと考えています。
(フィクションです。)
【控訴とは】
控訴とは、高等裁判所への不服の申立てをいいます。
控訴を提起することができる期間は、判決が宣告された日から14日間です(刑事訴訟法358条、刑事訴訟法373条)。
控訴を申し立てることができる期間はとても短く、控訴提起期間が過ぎてしまうと判決が確定してしまうため、すみやかに控訴の申立てを行う必要があります。
【控訴理由について】
控訴を申し立てるためには、控訴理由が必要です(刑事訴訟法384条)。
控訴理由は、刑事訴訟法377条から刑事訴訟法382条に規定されています。
具体的な控訴理由は以下の通りです
・重大な訴訟手続の法令違反があること(刑事訴訟法377条・刑事訴訟法378条)
・その他訴訟手続に法令の違反があってその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法379条)
・法令適用に誤があってその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法380条)
・刑の量刑が不当であること(刑事訴訟法381条)
・事実の誤認があって、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法382条)
刑事事件例においては、刑事弁護士により刑の量刑が不当であるとして、控訴を申し立てることができると考えられます。
具体的には、控訴の申立ては、刑事弁護士が作成する控訴申立書の提出により行います。
また、刑事弁護士が作成する控訴趣意書により、控訴理由を示します。
【控訴審でできること】
控訴審では、事実の取調べを請求することができます(刑事訴訟法393条1項柱書)。
控訴審における「事実の取調べ」とは、第一審の証拠調べと同じことであると考えて差支えありません。
また、控訴理由として刑の量刑が不当であること(刑事訴訟法381条)、又は事実の誤認があって、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであること(刑事訴訟法382条)を主張する場合には、一定の要件(やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調べの請求をできなかったこと、控訴理由を証明するために欠くことができないこと)を満たせば、必ず事実の取調べをすることができることになります(刑事訴訟法393条1項但書)。
さらに、上述の要件が満たされなくとも、控訴裁判所の職権により、情状の取調べが認められることがあります(刑事訴訟法393条2項)。
例えば、原判決後の被告人の方の反省を示すために、控訴審における被告人質問の実施を請求することができます。
刑事事件例では、第一審判決後に、刑事弁護士により窃盗事件の被害者の方との示談交渉を行い、示談を締結できる可能性があります。
そこで、第一審の判決後に示談が成立した場合には、控訴審において示談の成立を情状として主張するために事実取調べの請求をすることができると考えられます。
このように、控訴審において、示談の締結とその事実取調べを行うことができれば、第一審で宣告される刑が軽くなる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件の控訴審での刑事弁護活動でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県豊山町に住むAさんは、知人のBさんと愛知県豊山町内の歩道を歩いていたところ、Vさんに因縁を付けられたため、Vさんに対して暴行を加えました。
その際、BさんはAさんに加勢もせず、ただAさんによる暴行を見ているだけでした。
その後、Aさんは現場から立ち去りましたが、その場に残っていたBさんが倒れこんでいたVさんに殴る蹴るなどの暴行を加えました。
その結果、Vさんは全治2週間の怪我(傷害)を負ったとして、愛知県西枇杷島警察署の警察官に傷害事件の被害を訴えました。
Aさんは愛知県西枇杷島警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
Vさんの怪我(傷害)はAさんとBさんのどちらの暴行によるものなのかは分からないとのことです。
(2019年10月4日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【傷害罪とは】
傷害罪や暴行罪といった犯罪は、刑事事件のニュースや新聞でよく耳(目)にする犯罪ですが、傷害罪と暴行罪の違いは何でしょうか。
傷害罪については、刑法204条が以下のように規定しています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の「傷害」(刑法204条)とは、人の生理機能を害することをいうと考えられています。
例えば、切り傷、打撲傷、骨折などはいずれも人の生理機能を害する傷害罪の「傷害」(刑法204条)にあたるといえます。
これに対して、暴行罪については、刑法208条が以下のように規定しています。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪のいう「暴行」(刑法208条)とは、人の身体に対する有形力(物理力)の行使をいいますが、刑法208条に規定されている通り、暴行罪は、「暴行」を加えたが、その結果「傷害」が生じなかった場合に成立することになります。
ところで、刑事事件例では、Vさんは怪我(傷害)を負っていますが、AさんとBさんのどちらの暴行行為により怪我(傷害)が生じているのか判明していません。
このような場合、Aさんには傷害罪と暴行罪のどちらが成立するのでしょうか。
【同時傷害の特例とは】
刑法207条
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくとも、共犯の例による。
刑法207条の同時傷害の特例は、以下のような場合を想定して規定された条文です。
加害者が二人いて、彼らは意思疎通(共謀)をすることなく被害者の方に暴行を加え、被害者の方は怪我(傷害)を負った。
しかし、被害者の方の怪我(傷害)が、加害者のうちどちらにより生じたのかが分からない。
暴行行為と怪我(傷害)に因果関係があるか分からないのであれば、加害者たちにはそれぞれ傷害罪ではなく、暴行罪が成立するのではないか。
刑法207条の同時傷害の特例は、以上のような場合を想定し、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと「推定」するものです。
この刑法207条の同時傷害の特例により、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと推定されると、推定が破られない限り、加害者たちにはそれぞれ傷害罪が成立することになります。
ここで刑事事件例をみてみると、加害者はAさんとBさんの二人であり、AさんとBさんは意思疎通(共謀)をすることなくVさんに暴行を加え、Vさんは怪我(傷害)を負いました。
しかし、Vさんの怪我(傷害)が、AさんとBさんの暴行のうちどちらにより生じたのか分かっていません。
そこで、刑法207条の同時傷害の特例が適用され、Aさんの暴行とVさんの怪我(傷害)の因果関係が推定され、推定が破られない限り、Aさんには傷害罪が成立することになります。
これはBさんにも同じことがいえ、Bさんにも傷害罪が成立することになります。
このように刑法207条の同時傷害の推定が働いた場合において、それでも傷害罪の成立を否定したいときは、自身の暴行と怪我(傷害)の間に因果関係がないことを立証していくことになります。
例えば、自分の暴行は被害者の方に怪我(傷害)を与える程度のものではないと主張・立証することになります。
傷害事件という名前だけ聞くと単純な刑事事件のように思えても、詳細な事情を専門的に細かく検討しなければならないこともあります。
だからこそ、弁護士への相談・依頼が重要なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県田原市の承諾殺人事件
愛知県田原市の承諾殺人事件
愛知県田原市の承諾殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県田原市内にある公園内において、交際相手のV1さん(40歳)とその子供のV2さん(15歳)から承諾を得て、V1さんとV2さんを刺殺しました。
V1さん・V2さんは当時貧困状態にあり、V1さんはAさんに「私を殺してほしい」、V2さんもAさんに「私もお母さんと一緒に殺してほしい」と言ったといいます。
Aさんは愛知県田原警察署の警察官により承諾殺人罪の容疑で逮捕されました。
(2020年8月5日に日本経済新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【承諾殺人罪とは】
刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
承諾殺人罪は、刑法202条にいう殺人への「承諾」が死の意味を理解した上でなされた場合にのみ成立します。
例えば、死の意味を理解しない幼児や精神障害者の承諾は無効であり、承諾殺人罪は成立しません。
殺人への承諾が無効である場合は、刑法202条の承諾殺人罪ではなく、刑法199条の殺人罪が成立すると考えられています。
刑事事件例では、V1さん(40歳)とその子供のV2さん(15歳)はAさんによる殺人に承諾しているところ、二人の承諾は死の意味を理解した上でなされた有効なものであると考えられます。
そして、AさんはV1さんとV2さんの承諾を認識して、二人を刺殺しています。
よって、Aさんには承諾殺人罪が成立すると考えられます。
【承諾殺人罪と刑罰】
刑法45条は「確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする」としています。
そして、刑法47条は「併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする」としています。
刑事事件例では、V1さんの生命侵害とV2さんの生命侵害という2つの承諾殺人罪が成立しており、これら2つの承諾殺人罪は併合罪であると考えられます。
そのため、承諾殺人罪の法定刑は6月以上7年以下の懲役又は禁錮ですが、その刑の長期にその2分の1を加えた10年6月が本件刑事事件例における処断刑の長期となります。
このようにして複数の承諾殺人罪が処理された例として、母子ら4人の承諾を得て殺害した承諾殺人事件において懲役8年が言い渡された判決があります(2020年8月5日に日本経済新聞に掲載された福島地裁いわき支部判決を参照ください)。
刑事弁護士としては、刑事裁判において被疑者・被告人の方にとって有利になるような事情を主張し、6月以上10年6月という処断刑の長期内でより被疑者・被告人の方に有利な判決を獲得できるよう裁判対応をしていくことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県田原市の承諾殺人事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
準強制わいせつ事件で早期釈放を目指す
準強制わいせつ事件で早期釈放を目指す
準強制わいせつ事件で早期釈放を目指すケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
タクシー運転手をしているAさんは、愛知県東海市内の公園の駐車場に止めたタクシーの車内で、Vさん(20歳・女性)の胸や下半身を触るなどのわいせつな行為をしました。
このとき、Aさんは勤務中で、酒に酔っていたVさんに「送っていくよ」などと声をかけ、車に招き入れていれたといいます。
Vさんが愛知県東海警察署に被害を届け出たことにより、Aさんは準強制わいせつ罪の容疑で逮捕されました。
Aさんが準強制わいせつ罪の容疑で逮捕されたと知ったAさんの妻は、Aさんが早期に釈放されるようにしてほしいと考えています。
(2020年11月11日にFNNプライムオンラインに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【性犯罪と準強制わいせつ罪】
いわゆる強姦である強制性交等罪や強制わいせつ罪、公然わいせつ罪などは、ニュース報道などでよく耳にする性犯罪であると思います。
しかし、Aさんは準強制わいせつ罪という、よく目にする強制わいせつ罪とは違った耳慣れない犯罪の嫌疑がかけられています。
以下では、準強制わいせつ罪について解説します。
【準強制わいせつ罪とは】
準強制わいせつ罪は、刑法第178条第1項に規定された性犯罪です。
刑法第178条第1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
参考までに、強制わいせつ罪を規定した刑法第176条を引用します。
刑法第176条
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
この強制わいせつ罪を規定した刑法第176条から分かるように、13歳未満の男女に対してわいせつな行為をした場合は、強制わいせつ罪が適用されます。
例えば、13歳未満の男女に対して、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、」わいせつな行為をしても、準強制わいせつ罪ではなく、強制わいせつ罪が成立します。
したがって、準強制わいせつ罪とは、13歳以上の男女に対して、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、」わいせつな行為をした者に成立する犯罪であるといえます。
それでは、準強制わいせつ罪の手段である「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせ」る行為とは、どのようなことを指すのでしょうか。
準強制わいせつ罪の「心神喪失」とは、失神や泥酔状態にあること等により正常な判断力を失った状態をいいます。
また、準強制わいせつ罪の「抗拒不能」とは、心理的又は物理的に抵抗ができない又は著しく困難な状態をいいます。
刑事事件例のVさんは事件当時酒に酔っていました。
このVさんの状態は、泥酔により正常な判断力を失っていたといえ、準強制わいせつ罪の「心神喪失」にあったと考えられます。
そして、刑事事件例にAさんはこのVさんの心神喪失状態を利用して、Vさんに対してわいせつな行為をしています。
よって、Aさんは準強制わいせつ罪が成立すると考えられます。
【準強制わいせつ事件と早期に釈放】
Aさんが準強制わいせつ罪の容疑で逮捕されたと知ったAさんの妻は、Aさんが早期に釈放されるようにしてほしいと考えています。
例えば、Aさんが準強制わいせつ罪の容疑で逮捕・勾留として長期間身体拘束がされた場合、無断欠勤を理由に勤務先から解雇されてしまうかもしれません。
加えて、もしAさんが一家の大黒柱であり、Aさんの収入にのみ頼っている場合には、Aさんの停職や失職によっては、Aさんのみならず、Aさんの家族も大きな不利益を被ることになります。
Aさんに小さなお子さんがいるのであれば、長期間Aさんとお子さんが会えないことは子育てや教育上大きな問題となります。
このような事情を踏まえ、刑事弁護士としては、Aさんが準強制わいせつ罪の容疑での勾留する必要がないことや、Aさんの準強制わいせつ罪の容疑での勾留は相当ではないことなどを主張し、Aさんが早期に釈放されるよう刑事弁護活動をしていくことになると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県東海市の準強制わいせつ事件で釈放したい場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検
暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検
暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県知立市に住むAさんは、自身の娘(Vさん)と学業をめぐって口論となり、Vさんに対して包丁を突き付けるなどして、Vさんに全治1週間の怪我をさせました。
Aさんは愛知県安城警察署の警察官により、暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で書類送検されました。
(2020年11月6日に岐阜新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【暴力行為等処罰に関する法律違反とは】
暴力行為等処罰に関する法律第1条の2は、「銃砲又は刀剣類を用ひて人の身体を傷害したる者は1年以上15年以下の懲役に処す。」と規定しています。
ここで、刑法に定められた傷害罪の規定を見ると、刑法第204条1項は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
刑法204条1項の傷害罪ではなく、暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が適用されるのは、人の身体を傷害する手段として「銃砲又は刀剣類を用」いられている場合です。
刑事事件例のAさんはVさんに対して包丁を突き付けるなどして、Vさんに全治1週間の怪我をさせました。
暴力行為等処罰に関する法律の規定する「銃砲又は刀剣類」を用いてVさんの身体を傷害したといえ、Aさんには暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が成立すると考えられます。
【暴力行為等処罰に関する法律違反の罪と刑罰】
暴力行為等に関する法律第1条の2に定められた刑は「1年以上15年以下の懲役」であるのに対して、刑法第204条1項の傷害罪に定められた刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
つまり、暴力行為等に関する法律違反(第1条の2違反)となった場合は1年以上15年以下の刑事施設への拘置及び刑務作業(懲役)が科せられることになります。
これに対して、傷害罪を犯した場合は1月以上15年以下の刑事施設への拘置及び刑務作業(刑法12条1項)か、50万円以下の罰金が科せられることになります。
選択刑として罰金刑が設けられており、罰金が科せられる場合、略式手続という非公開手続により事件が終局する可能性があります。
また、執行猶予付き判決を獲得することができなかったとしても刑事施設に収容される恐れもありません。
よって、暴力行為等に関する法律違反事件を起こし書類送検された場合には、傷害事件を起こした場合と比較して、正式起訴がなされる可能性や重い刑が科せられる恐れがあることに注意しなければなりません。
刑事弁護士としては、書類送検後に正式起訴がなされた場合、執行猶予付き判決の獲得を目指し、裁判官に対して、犯行に至る経緯や犯行の態様、犯行を行った結果の軽重、犯行の危険性などの犯罪それ自体に対する事情(犯情)について、被告人に有利な事情を主張していくことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
暴行事件の容疑を否認
暴行事件の容疑を否認
暴行事件の容疑を否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県愛知郡東郷町立B小学校の教頭であるAさんは、愛知県愛知郡東郷町内を走行する電車の中で、Vさん(女子中学生)に体液をかけました。
その後、Vさんが駅で泣いているところを見つけた駅員が110番通報し、事件が発覚しました。
Aさんは愛知県愛知警察署の警察官により暴行罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは「体液が出てしまったのは間違いないが、体液をかけるつもりはなかった。短パンだったのでかかってしまったのかもしれない。」と、暴行罪の容疑を否認しています。
暴行罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、一刻も早くAさんを釈放をしてほしいと考えています。
(2020年10月21日に東海テレビNEWに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【暴行罪の成立要件(構成要件)】
Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されていますので、以下ではAさんに暴行罪が成立するのかを検討します。
暴行罪は、刑法208条に規定されています。
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する(刑法208条)。
暴行罪のいう「暴行」とは他人の身体に対する物理力の行使です。
「暴行」という言葉から連想される殴る、蹴る等の行為は当然に暴行罪のいう「暴行」に含まれます。
これに加えて、例えば被害者の耳元で拡声器を使い大声を発する行為のように音を使った物理力の行使というものなどもあります。
刑事事件のAさんのようにVさんに体液をかける行為も、他人の身体に対する物理力の行使として暴行罪のいう「暴行」に該当すると考えられます。
【暴行事件と否認】
刑事事件例では、Aさんは「体液が出てしまったのは間違いないが、体液をかけるつもりはなかった。短パンだったのでかかってしまったのかもしれない。」と、暴行罪の容疑を否認しています。
ところで、逮捕は、「逮捕の必要性」(刑事訴訟法199条2項)があるときになされる身体拘束です。
具体的には、被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重・態様その他諸般の事情を総合考慮し、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれの有無等によって判断されます。
また、逮捕に引き続く勾留も、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがある場合になされるものです(刑事訴訟法60条1項1号)。
ここで、例えば犯罪の容疑を認めている場合、あえて逃亡したり罪証隠滅をしたりする主観的可能性がないなど、一般に釈放される可能性が高まります。
これに対して、刑事事件例のAさんのように暴行罪を含む犯罪の容疑を否認している場合、逃亡したり罪証隠滅をしたりする主観的可能性があるとして、逮捕に引き続く勾留までなされる可能性が高まると考えられています。
しかし、だからといってやっていないにも関わらず容疑を認めることとなれば、それは冤罪となってしまいます。
容疑を否認する場合には、取調べへの対応なども重要になってきますから、逮捕・勾留による身体拘束についても取調べへの対応についても、早めに弁護士に相談し、対応を考えていくことが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県愛知郡東郷町の暴行事件の容疑を否認したいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい
愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい
愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市熱田区内のV解体工事会社に解体工事現場の責任者として勤務していた間、愛知県名古屋市熱田内の解体工事現場で管理していた鉄くずなどをリサイクル業者に約10万円で売却したとして愛知県熱田警察署の警察官により業務上横領罪の容疑で逮捕されました。
本件業務上横領事件は、V解体工事会社が契約した業者が回収に訪れた際に鉄くずなどがないことに気付き、V解体工事会社関係者が愛知県熱田警察署の警察官に業務上横領事件の被害を届け出たことにより発覚しました。
業務上横領罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市熱田区に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)
【業務上横領罪とは】
「業務上自己の占有する他人の物を横領した者」には、業務上横領罪が成立します(刑法253条)。
業務上横領罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役です。
業務上横領罪における「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務をいいます。
そして業務上横領罪における「業務」は、他人の物を占有保管することを内容とするものでなければならないと考えられています。
刑事事件例において、AさんはV解体工事会社に勤務する解体工事現場の責任者として鉄くずなどを管理する業務を担っていました。
この業務はV解体工事会社の鉄くずなどという他人の物を占有保管することを内容とし、解体工事現場の責任者として社会生活上の地位に基づき反復継続して行われていたものといえます。
よって、Aさんの業務は業務上横領罪における「業務」に該当すると考えられます。
また、業務上横領罪における「占有」とは、濫用のおそれのある支配力であると考えられています。
刑事事件例において、Aさんは濫用のおそれのある物に対する事実的な支配を有していたといえます。
よって、Aさんには業務上横領罪における「占有」があったと考えられます。
さらに、業務上横領罪における「他人の物」とは、他人の所有に属する物をいいます。
そして、業務上横領罪における「他人」とは、法人である場合を含みます。
刑事事件例においては、上述のように、V解体工事会社の鉄くずなどは他人の所有に属する物です。
よって、V解体工事会社の鉄くずは業務上横領罪における「他人の物」に該当すると考えられます。
最後に、業務上横領罪における「横領」とは、自己の占有する他人の物を不法に領得することをいうと考えられています。
刑事事件例において、Aさんは鉄くずをV解体工事会社に無断で売却しています。
ここに自己の占有する他人の物たる鉄くずなどを不法に領得する行為があったと考えられます。
よって、Aさんの行為は業務上横領罪における「横領」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには業務上横領罪が成立すると考えられます。
【業務上横領罪と示談】
刑事事件例では、Aさんが業務上横領行為を行ったことによりV解体工事会社に鉄くずなどの売買代金相当額の損害が生じています。
刑事弁護士としては、業務上横領事件の被害者の方(V解体工事会社)への損害の賠償や正式な謝罪をするという示談交渉ができると考えられます。
業務上横領事件の被害者の方との示談交渉の結果次第では業務上横領事件を捜査する検察官に対して寛大な処分をするよう効果的に求めることができると考えられます
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
業務上横領罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、大学時代の後輩にあたる人気俳優のVさんのSNSに「返信をしろ、さもないとお前を殺す」と投稿したとして、愛知県警知多警察署の警察官により強要未遂罪の容疑で逮捕されました。
この強要未遂事件は、Vさんが愛知県警知多警察署の警察官に強要未遂事件の被害を受けたと届け出たことから発覚しました。
強要未遂事件を起こした動機について、Aさんは、Vさんの活躍を祝うメッセージを送ったのにも関わらず返信がなかったことからVさんに裏切られたと思ったと話しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県知多市に対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)
【強要未遂罪(強要罪)とは】
「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者」には、強要罪が成立します(刑法223条)。
強要罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下です。
強要罪の未遂は、強要未遂罪として処罰されます(刑法223条)。
具体的には、強要の手段として強要罪に規定された脅迫・暴行を行ったが、強要の結果として義務のないことを行わせあるいは権利の行使を妨害するに至らなかった場合に、強要未遂罪が成立します。
強要未遂罪(強要罪)における脅迫とは、他人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことを指します。
ただし、強要未遂罪(強要罪)が成立するためには、一般人にとってその害悪の告知が畏怖させるに足りるといえればよく、現実に相手方が畏怖したことを要しないとされています。
刑事事件例のように「お前を殺す」とのメッセージを受け取った場合、通常の一般人であれば身の危険を感じる、すなわち畏怖すると考えられます。
たとえ「お前を殺す」とのメッセージを受け取った人が豪気な人でありこのような脅迫行為には一切恐怖を抱かなかったというような事情があっても、強要未遂罪(強要罪)における脅迫行為があったといえることになります。
よって、Aさんの「返信をしろ、さもないとお前を殺す」とメッセージを送る行為は、強要未遂罪(強要罪)における「生命に対して害を加える旨を告知して脅迫」する行為に該当すると考えられます。
そして、刑事事件例では結果的にはVさんはAさんに対して返信しなかったため、強要の結果として「義務のないことを行わせ」るに至らなかったといえます。
したがって、Aさんには強要未遂罪が成立することになります。
【強要未遂罪と刑事裁判】
強要罪には条文にある通り、罰金刑がありません。
ですから、強要罪で起訴され有罪になるということは、執行猶予付き判決となるか実刑判決となるかの2択となります。
例えば、過去の刑事裁判例として、強要未遂罪を犯した者に懲役1年6月執行猶予3年が言い渡されたという例があります。
これは、検察官が強要未遂事件として刑事裁判に提訴(起訴)しましたが、裁判所が強要未遂事件の犯行を率直に認め反省しているなどといった情状を考慮して、執行猶予が相当であると判断した刑事裁判例であると考えられます。
刑事事件では、検察官に対して刑事裁判に提訴(起訴)しないように働きかけることができる段階(被疑者段階)と、裁判所に対して強要未遂事件の被告人には執行猶予付き判決を宣告するに足りる情状があったと働きかけることができる段階(被告人段階)があります。
被疑者段階で不起訴獲得を目指し、起訴されてしまったとしても執行猶予付き判決を獲得できるよう準備しておくためには、早い段階から弁護士に相談・依頼しておくことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事裁判例のような起訴に至った強要未遂事件であっても、被疑者としての刑事弁護活動に引き続き、被告人段階の刑事弁護活動を行うことができます。
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
信用毀損事件で起訴を回避したい
信用毀損事件で起訴を回避したい
信用毀損事件で起訴を回避したい場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県蟹江市で食品会社を経営するAさんは、競合する同市内のV食品会社の悪評を流そうと考えました。
そこで、Aさんは、V食品会社がWebサイトで通信販売をしている食品のレビューに、その食品を全く購入したことがないのにも関わらず、「全くおいしくなかった。食べにくかった。」「スタッフからひどい対応を受けた。」などと書き込んだ上、5段階評価で最低の星1つとする評価を20件連続して投稿しました。
このような低評価レビューの連続投稿を不審に思ったV食品会社の社長は、愛知県蟹江警察署に信用毀損事件の被害を訴えました。
その結果、Aさんは愛知県蟹江警察署の警察官により信用毀損罪の容疑で取り調べを受けました。
Aさんは何とか信用毀損罪で起訴されるような大事にはならないようにしたいと考えています。
(2020年9月4日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【信用毀損罪とは】
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損した者は、3年以上の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
信用毀損罪の「虚偽の風説を流布」する行為とは、客観的真実に反する噂・情報を不特定又は多数の人に伝播させる行為をいいます。
また、信用毀損罪の「偽計を用い」る行為とは、人を欺罔し、又は人の不知・錯誤を利用する行為をいいます。
刑事事件例では、Aさんは、V食品会社が通信販売をしている食品のレビューに、その食品を全く購入したことがないのにも関わらず、「全くおいしくなかった。食べにくかった。」などと書き込んだ上、5段階評価で最低の星一つとする評価を20件連続して投稿しました。
このAさんの行為は、客観的真実に反する噂・情報を不特定又は多数の人に伝播させる行為として、信用毀損罪の「虚偽の風説の流布」する行為に該当すると考えられます。
信用毀損罪の「人の信用」とは、経済的側面における人(自然人のほか、法人を含みます)の評価を指します。
具体的には、信用毀損罪の「人の信用」には、支払能力または支払意思に関する社会的な信頼のほか、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含まれます。
刑事事件例では、V食品会社が通信販売をしている食品の品質に対する社会的な信頼が信用毀損罪の「人の信用」に当たると考えられます。
そして、信用毀損罪は現実に「人の信用」を低下させなくても、その危険を生じさせただけで成立します。
以上より、Aさんには信用毀損罪が成立すると考えられます。
【信用毀損罪で起訴を回避するためには】
信用毀損事件を起こしてしまった場合、不起訴処分を獲得して正式起訴を回避するためには、被害者の方と示談を締結することが重要です。
これは、信用毀損事件を捜査する検察官が、その起訴をするか否かの処分を決定する際に、示談が締結されているかどうかを重視するからです。
示談締結では正式な謝罪と被害弁償を行いますが、刑事事件例のような信用毀損事件では、事件のきっかけとなった投稿を被疑者の方自身で削除したり、それができなければWebサイト側に削除の申請をしたりする必要も出てくることが考えられます。
その削除結果や削除申請の経過状況などは、刑事弁護士を通して被害者の方に伝えていくことになるでしょう。
被害弁償についても、刑事弁護士が被害者の方の処罰感情や処分意向などを考慮しつつ、示談を締結できるように示談金の金額等を交渉していくことになるでしょう。
刑事弁護士による示談交渉の結果次第では不起訴処分を獲得したり、正式起訴を回避したりすることができる可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
信用毀損事件で起訴を回避したい場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
傷害致死事件で執行猶予獲得を目指す
傷害致死事件で執行猶予獲得を目指す
傷害致死事件で執行猶予獲得を目指すケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県一宮市の路上において、バス停のベンチに座っていたVさん(60歳)と口論になった結果、Vさんを殴りました。
Vさんは地面に倒れこんでしまい、通行人の通報により愛知県一宮市内の病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。
Aさんは、愛知県一宮警察署の警察官により、傷害致死罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「殺すつもりはなかった。口論になってイライラして殴ってしまった。」と述べています。
Aさんの両親は、Aさんに執行猶予を付けてほしいと考えています。
(2020年11月16日にTBSNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【傷害致死罪とは】
刑法205条は、傷害致死罪を以下のように規定しています。
刑法205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
刑事事件例では、Aさんは「殺すつもりはなかった。」と言っています。
この場合、Aさんは、Vさんが死亡したことの責任を負うのでしょうか。
刑法205条の傷害致死罪は、暴行罪・傷害罪の結果的加重犯であると考えられています。
結果的加重犯とは、一定の犯罪行為を行い、その犯罪行為により、予想よりも重い結果が生じた場合に、その重い結果に対して責任を問う罪をいいます。
すなわち、暴行罪を犯し、その暴行行為より重い結果=被害者の方が死亡するという結果が発生した場合、より重い結果である被害者の死亡に対する罪(傷害致死罪)が成立することになります。
Aさんは、Vさんに暴行を加える認識(故意)のもと暴行を行っており、その暴行行為によりVさんの死亡というより重い結果が生じています。
よって、AさんにはVさんの死亡という、より重い結果に対応する傷害致死罪が成立することになります。
【傷害致死罪と執行猶予】
刑事事件例では、Aさんには傷害致死罪が成立すると考えられますが、上述のように、傷害致死罪を犯した者は、3年以上の有期懲役に処せられます。
ここで、刑事事件においてよく耳にする執行猶予について検討してみます。
執行猶予とは、刑の言渡しをした場合において、一定期間その執行を猶予し、その期間を無事に経過した場合には刑の言渡しを失効させ、条件に違反した場合には執行猶予を取り消して刑の執行をしようとするものです。
執行猶予の要件は刑法25条に規定されています。
特に前科のない初犯の方にとっては、執行猶予の要件としては、「3年以下の懲役若しくは禁錮、又は50万円以下の罰金を言」い渡す場合であること(刑法25条1項)に注目する必要があるでしょう。
傷害致死事件について言えば、傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役であるため、執行猶予付き判決を獲得できる余地があることになります。
刑事弁護士の活動としては、同じく執行猶予の要件である「情状」(刑法25条1項)が存在することを主張していくことになるでしょう。
この「情状」としては、被害弁償や示談の有無、再犯防止策が取られていることなどが考えられますから、執行猶予を獲得するためには早い段階から被害者対応などの弁護活動を行いつつ準備をすることが必要となります。
傷害致死事件の発生から早期に弁護士に相談・依頼して活動を開始してもらうことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県一宮市の傷害致死事件でお困りの場合や、執行猶予の獲得にお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。