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愛知県豊田市の監禁・恐喝事件
愛知県豊田市の監禁・恐喝事件
愛知県豊田市の監禁・恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県豊田市内の駐車場で、Vさんが乗った軽自動車に故意に衝突し「示談しないと痛い目に合うぞ」などと因縁をつけ、愛知県豊田市内のカラオケ店に閉じ込め(監禁し)て合計200万円を脅し取りました。
Aさんの脅迫は、Vさんの反抗を抑圧するものではなかったものの、Aさんを畏怖させるものでした。
その後、Aさんは、愛知県豊田警察署の警察官により監禁罪・恐喝罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、今後どのように事件が進んでいくのか知りたく、刑事事件に強い法律事務所への法律相談することを検討しています。
(2020年10月26日に京都新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【監禁罪とは】
刑法220条は、監禁罪について以下のように規定しています。
刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
刑法220条は、前段(「不法に人を逮捕し」の部分)で逮捕罪を、後段(「不法に…監禁した」の部分)で監禁罪を規定しています。
それでは、逮捕罪が成立する「逮捕」(刑法220条)と監禁罪が成立する「監禁」(刑法220条)の違いは何でしょうか。
この点、逮捕罪の「逮捕」(刑法220条)とは、直接的な強制によって移動の自由を奪うことをいいます。
逮捕罪の「逮捕」(刑法220条)に該当する行為の例は、羽交い絞めにする行為や縄で縛り付ける行為です。
一方、監禁罪の「監禁」(刑法220条)とは、間接的に一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪うことをいいます。
監禁罪の「監禁」(刑法220条)に該当する行為の例は、部屋に閉じ込めて脱出できなくする行為です。
そのほか、脅迫により心理的に脱出を困難にする行為も監禁罪の「監禁」(刑法220条)に該当します(東京高等裁判所判決昭和40年6月25日)。
つまり、逮捕罪が成立する「逮捕」(刑法220条)と監禁罪が成立する「監禁」(刑法220条)の違いは、移動の自由を奪う手段が直接的なもの、間接的なものかという点にあるといえます。
刑事事件例では、AさんはVさんに「示談しないと痛い目に合うぞ」などと脅迫し、カラオケ店に閉じ込めています。
そのため、Aさんの行為は、間接的に一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪ったといえます。
よって、Aさんの行為は監禁罪の「監禁」(刑法202条)に該当すると考えられます。
【恐喝罪とは】
刑法249条1項は恐喝罪について以下のように規定しています。
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
恐喝罪は、反抗を抑圧するに至らない程度の暴行又は脅迫により、財物を交付させることにより成立する犯罪です。
反抗を抑圧するに足りる暴行又は脅迫により財物を交付させた場合には恐喝罪(刑法249条1項)ではなく、強盗罪(刑法236条1項)が成立するため、暴行又は脅迫の強さによって成立する犯罪が異なることに注意が必要となります。
例えば、凶器を使用して脅迫したような場合には、相手の反抗を抑圧する程度の強さがあるとされて恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性が出てきます。
今回の刑事事件例では、AさんはVさんに「示談しないと痛い目に合うぞ」などと脅迫し、合計200万円を受け取っています。
このAさんの行為は、反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫により、財物を交付させたといえます。
そのため、Aさんの行為は、恐喝罪の「恐喝」(刑法249条1項)に該当すると考えられます。
よって、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられます。
【監禁・恐喝事件と刑事弁護】
刑事事件例のような監禁・恐喝事件において、刑事弁護士がすることができる代表的な刑事弁護活動としては、示談交渉が挙げられます。
示談では、加害者の方から被害者の方への正式な謝罪や損害賠償金の支払いなどを交渉していくことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊田市の監禁・恐喝事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(愛知県蟹江市内在住の大学生・22歳)は、交際中の女性(Vさん・愛知県蟹江市内在住の大学生・21歳)に無料通信アプリLINEで、「死ねよ」「お願いだから死んでくれ」「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」などと合計7回のメッセージを送り、Vさんの自殺を唆(そそのか)し、自殺させました。
Aさんは愛知県蟹江警察署により自殺教唆罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの両親は、Aさんが長期間身体拘束されないようにしたいと考えています。
(2014年2月21日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【自殺教唆罪とは】
刑法202条は、自殺教唆罪について以下のように規定しています。
刑法202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
この条文の「人を教唆し」「自殺させ」るという部分が自殺教唆罪となります。
【自殺は犯罪?】
ところで、刑法は自殺についてどのように評価しているのでしょうか。
自殺教唆罪を考えるにあたり、まず自殺の刑法的評価を考えなければなりません。
刑法199条は「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」として、殺人罪を規定しています。
しかし、殺人罪の「人」(刑法199条)には行為者自身(自分)は含まれません。
自殺をする者にも自己の生死を決定する自由があるからです。
そのため、刑法では自殺は犯罪ではないと評価されています。
【自殺教唆罪の処罰根拠】
先ほど触れたように、自殺することは犯罪ではないにも関わらず、刑法202条は自殺教唆を犯罪として規定しています。
自殺教唆罪が犯罪とされる理由はどこにあるのでしょうか。
諸説ありますが、上述したように自殺をする者には自己の生死を決定する自由があるものの、他人の自殺を教唆することは他人の生命への過度な干渉になると考えるべきだとされています。
こうした考えなどにより、自殺教唆罪は、生命を保護するために定められた独立の犯罪として刑法に規定されているのです。
【自殺教唆罪の成立】
刑事事件例では、Aさんは、Vさんに「死ねよ」「お願いだから死んでくれ」「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」などと合計7回のメッセージを送っています。
教唆とは、その(犯罪)行為をする意思のなかった人にその(犯罪)行為をする意思を起こさせることを指します。
このAさんの行為は、Vさんに自殺をする意思を起こさせ自殺させていることから、「人を教唆し」「自殺させ」た自殺教唆行為に該当する可能性があります。
よって、Aさんには自殺教唆罪が成立する可能性があるのです。
【自殺教唆罪と身体拘束】
刑事事件例のように自殺教唆罪の容疑で逮捕されてしまったケースにおいて、被疑者が長期間身体拘束されないようにするためには、刑事弁護士が検察官や裁判官に勾留をしないよう働きかけることができます。
また、一度勾留決定がなされた後には、勾留決定に対する不服申立て(準抗告)ができます。
例えば、自殺教唆をしたLINEのやり取りが保存されているスマホを押収されているのであれば、罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれはないと主張できます。
被害者の方が亡くなっていることも罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがないことの主張に結び付くでしょう。
また、自殺教唆罪の容疑を認めているのであれば、罪証隠滅(証拠隠滅)や逃亡の動機もないという事情になり得ます。
こうした事件ごとの事情の数々を積み重ねて逮捕・勾留と言った身体拘束から解放してもらうための材料として主張していくためには、早期に弁護士に相談し、迅速に準備に取りかかる必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県知多市に住むAさんは、愛知県知多市内を走行中の電車内で、いずれも県内に住む女子高校生ら3人(V1さん・V2さん・V3さん、いずれも18歳)のスカート内を撮影したとしてスマートフォンを差し向け、写真を撮影しました。
V1さんらは知人同士で並んで座り、Aさんは向かいの席に座っていましたが、盗撮に気付いたV1さんらがAさんを取り押さえたといいます。
Aさんは愛知県知多警察署の警察官により愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の容疑で逮捕されました。
(2020年11月13日に千葉日報に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【愛知県迷惑行為防止条例違反とは】
愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第1項2号は、卑わいな行為の禁止として、いわゆる盗撮行為を禁じています。
以下が 愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第1項2号の条文となります。
第2条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物(第3項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
2 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
なお、愛知県迷惑行為防止条例第2条の2「第3項に定めるもの」(場所)とは、「住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」です。
刑事事件例の盗撮事件が起こったのは、愛知県知多市内を走行中の電車内という「公共の乗り物」(愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第1項2号)に該当します。
そして、Aさんは、スカート内を撮影したとしてスマートフォンを差し向け、写真を撮影しました。
このAさんの行為は、「衣服等で覆われている人の身体又は下着を」「撮影すること」に該当します。
よって、Aさんには、愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の罪が成立します。
【愛知県迷惑行為防止条例違反の罪と示談】
愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の罪が成立した場合、少しでも罪を軽くし、寛大な処分を求めるためには、被害者の方と示談をすることが重要です。
刑事事件例の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件の被害者の方は、いずれも女子高校生ら3人(V1さん・V2さん・V3さん、いずれも18歳)です。
この場合、被害者が全て未成年であるため、被害者本人と示談交渉をするのではなく、被害者の方それぞれの両親などの保護者と連絡を取り、示談交渉を開始していくことになると考えられます。
そして、今回の盗撮による愛知県迷惑行為防止条例違反事件のように、被害者と加害者が知り合いではない場合には、被害者の方の名前や連絡先が分かりません。
こうしたケースでは、刑事弁護士が警察と連絡を取り、弁護士限りで被害者の方の連絡先を教えてもらえないか交渉していくことになります。
また、被害者の方が未成年者の場合で、実際に交渉をするのが被害者の方の両親などの保護者である場合は、処罰感情がより強いことも予想されます。
当事者同士での交渉は、余計にこじれてしまう可能性もあるため、円滑に示談交渉を行うためには第三者かつ専門家である弁護士を間にはさむことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
住居侵入・窃盗未遂事件の示談
住居侵入・窃盗未遂事件の示談
住居侵入・窃盗未遂事件の示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県東海市に住むAさんは、金目の物を盗もうと、深夜、同市内にあるVさんの住居に忍び込みました。
Aさんは、侵入したVさん宅内において、懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始しました。
しかし、寝ていたVさんが物音で起きてしまい、AさんはVさんに取り押さえられました。
Vさんは愛知県東海警察署に110番通報をし、Aさんは住居侵入罪・窃盗未遂罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
【住居侵入罪とは】
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居…に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
住居侵入罪は、「人の住居」に正当な理由なく「侵入」した者に成立する犯罪です。
住居侵入罪の「侵入」とは、居住者の意思に反する立入りをいいます。
ここで、刑事事件例では、Vさんは窃盗目的での立入りを認めていなかったと考えられます。
よって、Aさんの立入りは、居住者であるVさんの意思(窃盗目的での立入りを認めないという意思)に反する立入りとして、住居侵入罪の「侵入」に該当すると考えられます。
また、Aさんが立ち入ったのはVさんの「住居」であり、Aさんの立入りには正当な理由はありません。
以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。
【窃盗罪とは】
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、「他人の財物」を「窃取」者に成立する犯罪です。
まず、窃盗の目的であるVさんの金品は窃盗罪の「他人の財物」に該当します。
次に、窃盗罪の「窃取」とは、他人が占有(事実的支配)する財物を、その占有(事実的支配)者の意思に反して自己の占有(事実的支配)に移転させる行為をいいます。
刑事事件例では、Aさんは懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始した段階でVさんに取り押さえられています。
そのため、Vさんの財物をAさんの占有(事実的支配)に移転させたとはいえず、窃盗罪の「窃取」の完遂には至っていません。
よって、Aさんには窃盗罪の既遂犯(窃盗罪)は成立しません。
そこで、Aさんには窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)が成立するかを検討します。
【窃盗未遂罪とは】
第243条
第235条…の罪の未遂は、罰する。
刑法243条は、窃盗罪(刑法235条)の未遂犯(窃盗未遂罪)を処罰することを規定しています。
刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減刑することができる。
窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)とは、窃盗罪の「実行に着手して」「これを遂げなかった」場合に成立します。
上記の窃盗罪の「実行に着手」する行為とは、窃盗罪の結果を発生させる(他人の財物の占有・事実的支配を侵害する)具体的危険性が高まる行為を行うことをいいます。
例えば、大審院判決昭和9年10月19日では、金品物色のためにタンスに近寄った時点で窃盗罪の「実行に着手」する行為があったと判示しています。
また、最高裁判所決定昭和40年3月9日では、電気店に侵入後、現金窃取のために煙草売り場の方に行きかけた時点で窃盗罪の「実行に着手」する行為があったと判示しています。
刑事事件例では、Aさんは懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始しています。
このAさんの行為は窃盗罪の結果を発生させる(Vさんの財物の占有・事実的支配を侵害する)具体的危険性が高まる行為であると考えられます。
よって、Aさんは窃盗罪の「実行に着手」する行為を行ったといえると考えられます。
そして、結局、AさんはVさんから金品などの財産を盗むことができていないので、窃盗罪の窃取行為「を遂げなかった」といえます。
以上より、Aさんには窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)が成立すると考えられます。
【住居侵入・窃盗未遂事件の刑事弁護活動】
住居侵入・窃盗未遂事件は被害者の方が存在する犯罪です。
住居侵入・窃盗未遂事件では必ずしも実損(住居侵入事件でいえばドアの損壊や、窃盗未遂事件でいえば盗品の被害など)が生じていない場合も考えられますが、精神的苦痛に対する損害賠償なども考えられますから、被害弁償を行い示談を締結することが重要です。
また、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方と示談する際には、刑事弁護士を経由して行うことが重要です。
これは、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方の処罰感情によっては、被疑者の方(やそのご家族)が直接出向いたり連絡を取ったりすることによって、かえって処罰感情を逆撫でる結果となる可能性もあるからです。
他にも、被疑者の方(やそのご家族)が直接出向いたり連絡を取ったりすることのデメリットとしては、法律に関する知識が不十分であるため、適切な示談書を作成することができない可能性があることも挙げられます。
さらには、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方との交渉態度次第では、脅迫罪や強要罪などの別の犯罪が成立してしまう危険性もあります。
そこで、法律の専門家であり、第三者的な地位を有する刑事弁護士を通すことにより、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方との冷静かつ適切な示談交渉を行うことができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入・窃盗未遂事件で示談を考えている場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
暴力行為等処罰に関する法律違反事件を弁護士に相談
暴力行為等処罰に関する法律違反事件を弁護士に相談
暴力行為等処罰に関する法律違反事件を弁護士に相談したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、元交際相手のVさん(女性・20歳・愛知県豊明市在住)に、「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」などと、暴力団の構成員を装って脅迫しました。
恐怖を感じたVさんが通報したことにより、Aさんは愛知県愛知警察署の警察官により暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は、まさかAさんが逮捕されるようなことをするとは夢にも思わず、逮捕の知らせを聞いてどうすればよいのか分からず困ってしまいました。
そこでAさんの家族は、ひとまず愛知県の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(2020年11月5日に神戸新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【暴力行為等処罰に関する法律違反とは】
暴力行為等処罰に関する法律は、集団的暴力・脅迫・器物損壊や、銃砲刀剣類を用いた傷害、常習的な傷害・暴行・脅迫・器物損壊などについて、刑法の規定よりも重く処罰するために定められた法律です。
この暴力行為等処罰に関する法律は、暴力団及びその構成員による暴行・脅迫行為等を取り締まるための法律であると考えられています。
以下では、刑事事件例のAさんの行為に適用されたと考えられる暴力行為等処罰に関する法律第1条の条文を検討していきます。
暴力行為等処罰に関する法律第1条
団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法第208条(注:暴行罪)、第222条(注:脅迫罪)又は第261条(注:器物損壊罪)の罪を犯したる者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す。
(注書きは追記したものです。)
まず、Aさんの「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」という発言は、刑法第222条の脅迫罪に該当すると思われます。
そこで、刑法第222条の条文を見ていきます。
刑法第222条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
刑法第222条第2項
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
刑法第222条の脅迫罪は、一般人であれば畏怖するのに十分な害悪の告知がなされた場合に成立します。
刑事事件例のAさんは、Vさんに対して「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」と発言しているところ、通常人であれば自分や家族の生命、身体などに危害が加えられてしまうと畏怖すると考えられます。
よって、Aさんには脅迫罪が成立すると考えれます。
次に、(上記のようにAさんの行為が刑法第222条の脅迫罪に該当するとしても、)暴力行為等処罰に関する法律第1条の集団的脅迫が成立するためには、刑法第222条の脅迫行為が「団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して」なされる必要があります。
前述した通り、暴力行為等処罰に関する法律は、暴力団及びその構成員による暴行・脅迫行為等を取り締まるための法律と考えられています。
そのため、暴力行為等処罰に関する法律第1条の「団体若は多衆の威力を示し」とは、例えば、暴力団の構成員が所属している暴力団の威力を示すことをいいます。
また、暴力行為等処罰に関する法律第1条の「団体若は多衆を仮装して威力を示し」とは、例えば、暴力団の構成員であると装って威力を示すことをいいます。
刑事事件例のAさんは、「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」と発言し、反社会的勢力を偽装して威力を示しています。
そのため、「団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して」脅迫行為がなされたといえると考えられます。
以上より、Aさんには暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が成立すると考えられます。
【暴力行為等処罰に関する法律違反の刑罰】
集団的脅迫による暴力行為等処罰に関する法律違反をした者には、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます(暴力行為等処罰に関する法律第1条)。
この刑は、刑法第222条の脅迫罪を犯した者に科せられる2年以下の懲役又は30万円以下の罰金よりも重い刑罰となっています。
このような重い刑罰が規定されている集団的脅迫による暴力行為等処罰に関する法律違反で起訴された場合に、執行猶予付き判決を得たり刑罰を軽くしたりするには、被害者の方への真摯な謝罪と被害弁償を含む示談が重要です。
示談交渉では、被害者の方の気持ちに十分に配慮した上で加害者の方の真摯な謝罪の気持ちを示談交渉結果に反映させる必要があるため、刑事弁護士には刑事事件の専門的知識と豊富な経験が必要とされます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、数少ない刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
暴力的処罰行為に関する法律違反事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
強盗傷人事件で保釈を目指す
強盗傷人事件で保釈を目指す
強盗傷人事件で保釈を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市南区の路上に停めたAさん所有の車の中で、SNSで知り合ったVさん(20代女性)の顔を殴り全治2週間の怪我を負わせた上、Vさんの財布が入ったバッグを奪ったとして、愛知県南警察署の警察官により強盗傷人罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「ホテルに行くのを断られたのでやった」と強盗傷人罪の容疑を認めています。
(フィクションです。)
【強盗傷人罪と強盗罪】
刑法236条は、「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」には、強盗罪が成立するとしています。
そして「強盗が、人を負傷させたとき」は強盗傷人罪が成立します(刑法240条)。
強盗傷人罪における「強盗」とは、強盗の実行に着手した者を指します。
刑法236条における強盗罪の犯人は強盗傷人罪における「強盗」に該当します。
以下ではAさんが強盗傷人罪における「強盗」に該当する強盗罪の犯人といえるかについて検討します。
強盗罪における「暴行」とは、強盗事件の被害者の反抗を抑圧するに足りるものである必要があるとされています。
刑事事件例では、Aさんは車内においてVさんの顔面を殴打しています。
この暴行は、男性であるAさんから女性であるVさんに対してなされたものです。
また、車内というVさんが逃げることが困難な場所においてなされています。
このような具体的な事情から総合的に判断して、捜査機関はAさんの暴行は強盗罪における「暴行」に該当すると判断したと考えられます。
さらに強盗罪における「強取」とは、財物の事実上の支配を強盗犯人が取得し、又は第三者に取得させることをいいます。
刑事事件例において、Aさんは強盗罪における「財物」たるVさんの財布の入ったバッグをAさん自身の事実上の支配下に置いています。
よって、Aさんの行為は強盗罪における「強取」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんは強盗傷人罪における「強盗」に該当する強盗罪の犯人であると考えられます。
【強盗傷人罪の成立】
強盗傷人罪における「負傷させた」とは、人に傷害を加えることをいいます。
そして強盗傷人罪における傷害は強盗の機会に生ずれば足りると考えられています。
刑事事件例において、Vさんの怪我はAさんによる強盗の手段である暴行から直接生じたものです。
そのため、Vさんの怪我はAさんの強盗の機会に生じたものであるといえます。
よって、Vさんに怪我を与えたAさんの行為は、強盗傷人罪における「負傷させた」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには強盗傷人罪が成立すると考えられます。
【強盗傷人罪と保釈】
現在Aさんは強盗傷人罪の容疑で逮捕されているところ、Aさんの身柄解放の手段の1つとして、Aさんの強盗傷人罪での起訴後における保釈(刑事訴訟法89条、90条)が考えられます。
保釈は、刑事訴訟法89条に規定された除外事由がある場合を除き、原則として許されるものであるとされています(権利保釈といいます)。
刑事訴訟法89条に規定された除外事由としては、死刑、無期または短期1年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるときがあります(刑事訴訟法89条1号)。
刑事事件例における強盗傷人罪の法定刑は無期又は6年以上の懲役であるため、刑事訴訟法89条における権利保釈は認められないことになります。
しかし、権利保釈の除外事由に当たる場合にも、裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます(刑事訴訟法90条)。
弁護士としては、裁判所に裁量保釈を求めて保釈請求活動を行っていくことが考えられます。
保釈請求のためには、単に保釈金を用意するだけでなく、保釈をしてもよいと認められるための環境づくりやその環境を証拠化して主張していくことが求められます。
特に、今回のAさんの事例のような強盗傷人罪といった重い犯罪では、なかなか保釈も認められないケースが少なくありません。
だからこそ、刑事事件に強い弁護士に相談・依頼することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
強盗傷人事件で保釈を目指したいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市昭和区の未成年者誘拐事件で逮捕
愛知県名古屋市昭和区の未成年者誘拐事件で逮捕
愛知県名古屋市昭和区の未成年者誘拐事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、SNSで知り合った愛知県名古屋市昭和区内の女子中学生であるVさんに「ご飯でも食べましょうか」などとメッセージを送り、Aさんの自宅に寝泊まりさせるなどしたとして愛知県昭和警察署の警察官により未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは「間違いありません」と未成年者誘拐罪の容疑を認めています。
(フィクションです。)
【未成年者誘拐罪とは】
「未成年者を誘拐した者」には、未成年者誘拐罪が成立します(刑法224条)。
未成年者誘拐罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3月以上7年以下の懲役です。
未成年者誘拐罪における「未成年者」とは、20歳未満の者をいいます(民法4条)。
刑事事件例におけるVさんは女子中学生であり、20歳未満の者であることは明らかです。
よって、Vさんは未成年者誘拐罪における「未成年者」に該当することになります。
また、未成年者誘拐罪における「誘拐」とは、偽計・誘惑を手段とするなど人に誤った判断をさせることで人をその生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置く行為をいいます。
そして未成年者誘拐罪における「誘拐」とは、虚偽の事実をもって相手方を錯誤に陥れる場合のほか、その程度に至らないが、甘言をもって相手方の判断を誤らせる場合を含むと解されています(大審院判決大昭12年12月3日)。
さらに未成年者誘拐罪の「誘拐」における「事実的支配下に置く」とは、必ずしも被誘拐者の自由を完全に拘束する必要はなく、物理的な作用や心理的な影響などを加えて未成年者誘拐罪の被疑者又は第三者の管理下から離脱することが困難な状態にすることをいうとされています。
刑事事件例においてAさんはVさんに対して「ご飯でも食べましょうか」という甘言を弄して、知識浅薄といえる女子中学生であるVさんの判断を誤らせています。
ここに未成年者誘拐罪の「誘拐」における「偽計・誘惑を手段とするなど人に誤った判断をさせる」行為があったと考えられます。
また、AさんはVさんを自宅に寝泊まりさせ、Vさんが生活環境へ戻ることを困難にさせています。
ここに未成年者誘拐罪の「誘拐」における「他人をその生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置く」行為があったと考えられます。
よって、Aさんの行為は未成年者誘拐罪における「誘拐」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。
【未成年者誘拐罪と逮捕・勾留】
Aさんは現在愛知県昭和警察署の警察官により未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されているところ、未成年者誘拐罪の容疑での逮捕に引き続く身体拘束として勾留がなされる可能性があります。
未成年者誘拐罪の容疑での勾留は最大で20日に及ぶ可能性があり、未成年者誘拐罪の容疑で勾留されるAさんにとっては肉体的にも心理的にも負担が大きいものとなることが考えられます。
さらに、本件未成年者誘拐事件において逮捕・監禁罪(刑法220条)が成立する逮捕・監禁行為がなかったかと未成年者誘拐事件の捜査をする検察官や警察官による厳しい追及がなされる可能性もあります。
そのため、弁護士の弁護活動としては、未成年者誘拐罪での勾留を阻止できるよう検察官や裁判官に働きかけたり、Aさんへ未成年者誘拐事件の捜査をする検察官・警察官による取調べの対応を助言したりすることができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県名古屋市昭和区の未成年者誘拐事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
覚醒剤の使用の再犯 執行猶予はつく?
覚醒剤の使用の再犯 執行猶予はつく?
覚醒剤の使用の再犯で執行猶予はつくのかということについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
事例
Aさんは名古屋市中村区に在住の男性会社員(35歳)です。
Aさんは4年前に覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴され,懲役6月執行猶予3年の有罪判決を受けたことがありました。
その後,社会復帰をしたAさんでしたが,会社でのストレスなどに押しつぶされてしまい,再び覚醒剤を手に入れて自宅で使用し始めてしまいました。
すると,覚醒剤の使用を再開して2か月後自宅に東海北陸厚生局麻薬取締部の捜査が入りました。
捜査の結果,未使用の覚醒剤が出てきたことと尿検査で陽性反応がでたためAさんは覚醒剤所持と覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反で逮捕されてしまいました。
その後,Aさんは覚醒剤取締法違反の容疑で起訴されました。
Aさんの妻は,Aさんが実刑判決となり,長期間身柄を拘束されてしまうと生活が困難になるため,Aさんに執行猶予が付くか刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)
覚醒剤に関しての法律
覚醒剤の所持及び使用について,覚醒剤取締法の以下の条文に定められています。
覚醒剤取締法第14条第1項 (所持の禁止)
覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない。
覚醒剤取締法第41の2第1項
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
覚醒剤取締法第19条 (使用の禁止)
次に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤を使用してはならない。
1 覚醒剤製造業者が製造のため使用する場合
2 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者が施用する場合
3 覚醒剤研究者が研究のため使用する場合
4 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
5 法令に基づいてする行為につき使用する場合
覚醒剤取締法第41条の3 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
1 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
通常の覚醒剤関連での検挙の大多数は覚醒剤の所持と使用であると思われます。
これらについて法律は特別に許されている医療目的や研究目的以外の所持や使用を禁止しています。
そして,法律に違反して覚醒剤を所持,使用すると最悪の場合は10年の懲役に処されることもある重い犯罪であると言えます。
執行猶予について
刑の全てについて執行猶予にできる場合について,刑法の以下の条文に定められています。
刑法第25条第1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる。
1 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
刑法第25条第2項
前に禁錮以上の刑に処せられたことあってもその刑の全部の執行を猶予された者が1年以下の懲役又は禁錮以上の言渡しを受け,情状に特に酌量すべきものがあるときも,前項と同様にする。
まず,刑法第25条第1項の執行猶予が認められるためには,
1 5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと
2 判決の言い渡しが3年以下の懲役若しくは,50万円以下の罰金であること
3 情状があること
の3点が必要になります。
このうち,3の情状とは,犯罪中若しくはその後の状態をみて,刑の執行を猶予することで自主的に更生することが期待できる状況を言います。
本件では,以前の執行猶予から5年経過していないため,第1項の執行猶予には当たりません。
そのため,第2項の執行猶予に当たるかが問題になります。
覚醒剤所持による覚醒剤取締法違反事件の場合,実際の所持していた覚醒剤の量などによって裁判官が量刑を決めますが,再犯の場合,基本的に量刑は重くなる傾向にあります。
そのため,Aさんの場合には,1年を超える懲役に処せられる可能性が高いと言え,第2項の執行猶予を得ることも簡単にはできないと考えられます。
さらに,たとえ刑期が1年以下に抑えられたとしても,執行猶予を付けるには「情状に特に酌量すべきものがある」ことが必要です。
ですから,Aさんのようなケースでは,執行猶予を獲得することは非常に難しく厳しい道であることが分かります。
しかし,このような事件では絶対に執行猶予を得ることが出来ないというわけではありません。
今回は裁判中から治療を受けて,その経過を裁判で主張するなど「情状に特に酌量すべきものがある」ことを裁判官に納得させる手はないわけではないため,あきらめることなく,弁護士などの専門家と一緒に努力することが必要です。
もしも実刑判決となってしまっても,再犯防止策の構築などをしていくことは,その後の更生にも役立ちますから,まずは弁護士に相談してみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は,刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
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業務上横領罪と時効
業務上横領罪と時効
業務上横領罪と時効について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説いたします。
~事例~
Aさんは、名古屋市北区にあるV社に勤務し、2020年12月末をもって定年退職した元会社員です。
Aは2006年からVのある支店の支店長をしていました。
しかし、2010年にギャンブルで損失を出したAさんは、2010年10月から2014年10月の約3年間、支店長として管理していたお金の内500万円を着服しました。
以上の着服はAさんが支店長として勤務している間は判明することはありませんでしたが、Aさんの退職後の調査でAさんの着服が判明しました。
そのため、V社は愛知県北警察署に業務上横領罪の被害届を出しました。
業務上横領罪の被害届が出されたことを知ったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士事務所に相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)
~横領罪・業務上横領罪とは何か~
横領罪と業務上横領罪は、刑法に定められている犯罪です。
刑法は横領罪と業務上横領罪について以下のように定めています。
刑法第252条 (横領)
第1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
刑法第253条 (業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
横領罪は、自分が占有している他人の物を横領する行為について成立する犯罪です。
また、業務上横領罪とは、上記の横領行為を業務として占有しているものに対して行った場合に成立します。
ここで、横領行為とは、「不法領得の意思の発現行為」を指すとされています。
そして、ここにいう不法領得の意思とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思」をいいます。
この横領行為の具体的な例としては、費消、着服、持ち逃げなどの行為がこれに当たります。
本件についてみると、Aさんは自身が支店長として管理しているお金を着服しています。
まず、Aさんが着服したお金は、会社という他人のものであるお金を、支店長という業務上の地位で占有していたものですから、業務上横領罪の対象になります。
そして、Aさんはこの会社のお金を着服しており、不法領得の発現行為を行なっていると言えます。
そのため、Aさんには業務上横領罪が成立することになります。
~時効は成立するか~
しかし、Aさんの横領行為は最近のものでもおよそ6年から7年前ですが時効は成立していないのでしょうか。
一般的に言われる時効とは、公訴時効のことを指します。
そして、その公訴時効は、刑事訴訟法において以下のように定められています。
刑事訴訟法第250条
第1項 時効は、人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによって完成する。
1 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
2 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
3 前2号に掲げる罪以外の罪については10年
第2項 時効は、人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによって完成する。
1 死刑に当たる罪については25年
2 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
3 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
4 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
5 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
6 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
7 拘留又は科料に当たる罪については1年
この公訴時効は、事件が起きた日から検察官が起訴するまでの時間を制限する規定です。
この事件が起きた日とは、事件の行為ごとに考えられるものです。
つまり、業務上横領行為を別日に分けて複数回行っていたというような場合には、1回目に業務上横領行為をしたときと2回目に業務上横領行為をしたときの公訴時効はずれてくることになります。
本件についてみてみましょう。
本件においてAさんが行った業務上横領罪は、人を死亡させてはいない罪で、かつ、長期10年の懲役が定められている犯罪です。
そのため、本件では250条2項4号に該当し、本件の時効は7年になります。
ですから、Aさんの最初の横領行為は7年以上経過しています。
他方で少なくとも最後の横領行為は、7年は経過しておりませんので公訴時効が成立しないことになります。
つまり、Aさんは少なくとも最後に行った業務上横領行為では起訴される可能性があることになります。
こうした時効の計算などは、専門的な知識も必要になりますので、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
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覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県常滑市に住むAさんは、メキシコに海外旅行に行った際に、旅行先で知り合ったBさんから、荷物(スーツケース)を預けるので手荷物として日本まで運んでほしいと依頼されました。
Aさんは、Bさんから預かった荷物(スーツケース)の中身は「覚醒剤かもしれないし、もしかしたら麻薬かもしれない」と思いましたが、Bさんからの依頼を了承し、荷物を日本に持ち運びました。
その結果、中部国際空港の税関検査において覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件が発覚し、Aさんは覚醒剤取締法(覚醒剤輸入)の罪の容疑で逮捕されました。
(2020年11月13日に神戸新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪とは】
覚醒剤取締法13条(輸入及び輸出の禁止)
何人も、覚醒剤を輸入し、又は輸出してはならない。
覚醒剤取締法は覚醒剤の輸入を絶対的に禁止しています。
覚醒剤取締法41条(刑罰)
覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第41条の5第1項第2号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。
覚醒剤をみだりに輸入した者については、1年以上の有期懲役が科せられることになります。
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪における「輸入」とは、国外から我が国内へ物品を搬入することをいいます。
そして、覚醒剤を船舶から保税地域に陸揚げし、あるいは税関空港に着陸した航空機から覚醒剤を取りおろした場合、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪における「輸入」行為があったといえると考えられています。
【覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪の故意とは】
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪が成立するためには、輸入する物品が「覚醒剤」であることを認識・認容している必要があります。
具体的には、輸入する物品が覚醒剤かもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物かもしれないという認識があれば、輸入する物品が「覚醒剤」であることの認識・認容があったといえると考えられています(最高裁裁判所決定平成2年2月9日)。
刑事事件例では、Aさんは、Bさんから預かった荷物(スーツケース)の中身は「覚醒剤かもしれないし、もしかしたら麻薬かもしれない」と考えています。
このとき、Aさんは輸入する物品が、覚醒剤を含む身体に有害で違法な薬物かもしれないと考えているわけですから、Aさんには、輸入する物品が「覚醒剤」であることの認識・認容があるといえると考えられます。
以上より、Aさんには覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪が成立すると考えられるのです。
【関税法違反の罪(禁制品輸入罪)とは】
関税法69条の11第1項1号では覚醒剤は「輸入してはならない」と定められています。
そして、覚醒剤を所持して通関線を突破した場合、関税法69条の11第1項1号の「輸入」行為があったといえると考えられています。
関税法109条第1項では、関税法違反の罪(禁制品輸入罪)の法定刑は、「10年以下の懲役若しくは3千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められています。
よって、覚醒剤を密輸した場合、覚醒剤取締法違反(輸入)の罪とは別に、関税法違反の罪(禁制品輸入罪)の未遂罪が成立すると考えられています。
【覚醒剤取締法違反(輸入)事件の刑事弁護活動】
覚醒剤取締法違反(輸入)事件で逮捕された場合、Aさんは逮捕とそれに引き続く勾留がなされる可能性が高いといえます。
これは、共犯者との口裏合わせなど罪証隠滅の可能性が高いと考えられるからです。
また、その後は、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で起訴される可能性が高いといえます。
これは、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)事件の発覚した際に、輸入した覚醒剤が押収されている可能性が高く、覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪の立証が比較的容易であるからです。
そこで、刑事弁護士としては、Aさんが覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で起訴された場合は、情状証人の証拠調請求を行うなど、執行猶予判決の獲得や減刑を求めるための刑事弁護活動を行っていくことになると考えられます。
刑事事件を取り扱う弁護士に相談し、可能な弁護活動や見通しなどを詳しく聞いてみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
覚醒剤取締法違反(覚醒剤輸入)の罪で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。