Archive for the ‘暴力事件・凶悪犯罪’ Category

愛知県名古屋市千種区の傷害事件で逮捕

2021-09-03

愛知県名古屋市千種区の傷害事件で逮捕

愛知県名古屋市千種区傷害事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県名古屋市千種区にあるVさん宅の玄関付近で、Vさんの顔や腹などを殴り、Vさんに全治2週間の怪我を負わせたとして、愛知県警千種警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
二人に面識はなく、酒に酔ったAさんがVさん宅のインターホンを鳴らし、出てきたVさんに殴りかかり傷害を負わせたといいます。
傷害罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市千種区に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【傷害罪とは】

「人の身体を傷害した者」には、傷害罪が成立します(刑法204条)。
傷害罪の法律に定められた刑(法定刑)は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

傷害罪における「傷害」とは、身体の生理機能の障害であると考えられています。
具体的には、創傷、打撲傷といった外傷に加えて、圧痛、めまい、嘔吐、失神なども傷害罪における「傷害」に含まれると考えられています。
ただし、形式的には傷害に該当するとしても、軽微なものは傷害罪で処罰するに値する「傷害」に該当するとはいえないと考えられています。

刑事事件例において、AさんはVさんを殴打し、全治2週間の怪我を負わせています。
この怪我により、Vさんは身体の生理機能の障害を負ったといえます。
そして、怪我(傷害)の程度としても全治2週間であることから傷害罪における「傷害」に値しない軽微なものとはいえません。
よって、AさんはVさんの顔や腹という傷害罪における「人の身体」を「傷害」したといえます。

以上より、Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

【傷害罪と逮捕・勾留】

現在、Aさんは愛知県警千種警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されているところ、Aさんは傷害罪の容疑での逮捕に引き続く身体拘束である勾留がなされる可能性があります。

傷害罪の容疑での勾留は最大20日に及ぶ身体拘束であり、Aさんは長期間会社や学校に行けなくなってしまうという不利益を被る可能性があります。

刑事弁護士としては、傷害罪の容疑での勾留を請求しないよう、Aさんを傷害罪の容疑で取り調べる検察官に対して意見書を提出することができると考えられます。
また、傷害罪の容疑での勾留を決定しないよう、傷害罪の容疑での勾留を決定する裁判官に対しても意見書を提出することができると考えられます。
さらに、一旦傷害罪の容疑での勾留の決定がなされた場合には、傷害罪の容疑での勾留決定を取り消すよう、傷害罪の容疑での勾留決定をした裁判官が所属する裁判所に対して準抗告(刑事訴訟法429条、不服申し立て)をすることができると考えられます。

検察官や裁判官が傷害罪の容疑での勾留請求・決定をしないと判断した場合や準抗告が認容された場合には、Aさんの身柄は解放され、Aさんは社会生活を送りながら検察官や警察官による傷害罪の容疑での取調べを受けることになります(在宅捜査・在宅事件といいます)。

留置施設や拘置施設に収容されたまま検察官や警察官による傷害罪の容疑での取調べを受ける身柄事件と比べて、社会生活を送りながら検察官や警察官による傷害罪の容疑での取調べを受けことができる在宅事件では、家族との面会時間が制限されるようなこともありません。
そのため、Aさんの肉体的・精神的負担が軽減されると考えられます。
こうしたメリットも大きいため、釈放を目指したいと考える方も多いでしょう。
釈放を求める活動に取りかかるのであれば、早い段階から弁護士に相談・依頼することがおすすめされます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市千種区の傷害事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市守山区の住居侵入・準強制わいせつ事件で逮捕

2021-08-30

愛知県名古屋市守山区の住居侵入・準強制わいせつ事件で逮捕

愛知県名古屋市守山区住居侵入・準強制わいせつ事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(33歳・男性・会社員)は、Vさん(21歳・女性)のマンションに侵入し、寝ていたVさんの尻を触ったとして、愛知県警守山警察署の警察官により住居侵入罪準強制わいせつ罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、住居侵入罪準強制わいせつ罪の容疑での取調べに対し、「子どもの声がうるさいので、文句を言うために行った。無断で部屋に入り、寝ていたので起こすために腕を触ったが、尻は触っていない」と一部否認しています。
住居侵入罪準強制わいせつ罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市守山区に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【住居侵入罪とは】

「正当な理由がないのに、人の住居に侵入した者」には、住居侵入罪が成立します(刑法130条)。
住居侵入罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

住居侵入罪における「人の住居」とは、他人の起臥寝食、すなわち日常の生活に使われている場所をいいます。
また、住居侵入罪における「侵入」とは、住居権者(居住者)の意思に反する立入りを指します。

刑事事件例において、Aさんが立ち入ったのは、Vさんが日常的に住んでいるマンションです。
よって、住居侵入罪における「人の住居」に該当します。

また、AさんはVさんの無断で立ち入っており、Vさんは許可のない立入りに対しては「入れたくない」という意思を持っていたと考えられます。
そのため、Aさんの立入りは、住居権者であるVさんの意思に反しており、住居侵入罪における「侵入」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。

【準強制わいせつ罪とは】

「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者」には、準強制わいせつ罪が成立します(刑法178条1項)。
準強制わいせつ罪の法律に定められた刑(法定刑)は、6月以上10年以下の懲役です。

準強制わいせつ罪における「心神喪失」とは、精神的な障害によって正常な判断力を失った状態をいいます。
例えば、失神・泥酔状態にある場合や高度の精神障害がある場合などが準強制わいせつ罪における「心神喪失」に該当します。
そして、刑事事件例におけるVさんの睡眠状態も精神的な障害によって正常な判断力を失った状態であり、準強制わいせつ罪における「心神喪失」に該当すると考えられています。

なお、準強制わいせつ罪における「抗拒不能」とは、心理的または物理的に抵抗ができない状態をいいます。
例えば、極度の畏怖状態のある場合や、治療行為のためにあたかもわいせつな行為が必要であるかのように誤信させる場合などが準強制わいせつ罪における「抗拒不能」に該当します。

また、準強制わいせつ罪における「わいせつな行為」とは、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいいます(最高裁判決昭和26年5月10日)。
刑事事件例におけるAさんのVさんの尻を触る行為も、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為であるといえます。
よって、Aさんに行為は準強制わいせつ罪における「わいせつ行為」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには準強制わいせつ罪が成立すると考えられます。

【住居侵入罪と準強制わいせつ罪と逮捕・勾留】

現在、Aさんは準強制わいせつ罪で逮捕されていますが、検察官や裁判官がAさんに罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあると判断した場合、逮捕に引き続き最大20日に及ぶ勾留がなされる可能性があります。

特にAさんは準強制わいせつ事件に関して一部否認していること等から、捜査機関が勾留を請求する可能性が高いと考えられます。
刑事弁護士としては、このような勾留請求・決定に対して、Aさんは会社員であり勾留がなされた場合の不利益が大きいこと等に着目して、意見を提出したり不服を申し立てたりすることができると考えられます。

また、仮にAさんが勾留された場合において、その後起訴された後はAさんの被疑者としての勾留が自動的に被告人としての勾留に切り替わります。
そのため、刑事裁判中はAさんに対する身体拘束が引き続くことになります。
そこで、刑事弁護士としては、保釈を請求してAさんの身体拘束を解除するよう裁判所(裁判官)に求めることができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入罪・準強制わいせつ罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市守山区の住居侵入・準強制わいせつ事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件

2021-08-20

暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件

暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県岩倉市に住むAさんは、愛知県岩倉市議会議員であるVさんの自宅の敷地内に侵入し、Vさんの車3台の窓ガラスをハンマーなどを使用して破壊したり、塗料のようなものをまいたりしました。
Aさんは愛知県江南警察署の警察官により、暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で逮捕されました。
(2020年11月11日にテレビ朝日NEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【暴力行為処罰等に関する法律違反とは】

Aさんが違反したとみられる暴力行為処罰等に関する法律とはどのような法律なのでしょうか。
以下では、Aさんが違反したとみられる暴力行為処罰等に関する法律第1条を見ていきます。

団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法第208条(暴行罪)、第222条(脅迫罪)又は第261条(器物損壊罪)の罪を犯したる者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す(暴力行為処罰等に関する法律第1条)。

暴力行為処罰等に関する法律は、労働運動や学生運動、暴力団による暴力行為等を処罰することを目的として作られた法律です。
暴力行為処罰等に関する法律第1条に「団体」・「多衆」・「数人で共同して」などといった表現が使用されていることも納得できます。

そして、労働運動や学生運動、暴力団による暴力行為等には、「兇器を示し」てなされることも多かったのでしょう。
そのため、暴力行為処罰等に関する法律第1条には、「兇器を示し」て行われる一定の犯罪を禁止しています。

上記一定の犯罪の中には、刑法第261条の器物損壊罪が含めれています。
つまり、「兇器を示し」器物損壊罪を犯した者は、暴力行為処罰等に関する法律違反の罪が成立することになるのです。

【暴力行為処罰等に関する法律違反の罪と器物損壊罪】

以下では、刑法261条の器物損壊罪を見ていきます。

前三条(注:刑法258条・259条・260条)に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の「損壊」とは、広く物の効用を滅失させる行為を指すと考えられていますが、刑事事件例のAさんのように、物を物理的に破壊する行為は当然に、器物損壊罪の「損壊」に該当します。
このことから、Aさんには器物損壊罪が成立するところ、Aさんの器物損壊行為は「兇器を示し」てなされたものです。
上述のように、「兇器を示し」器物損壊罪を犯した者は、暴力行為処罰等に関する法律違反の罪が成立することになります。
よって、Aさんには、暴力行為処罰等に関する法律違反の罪が成立することになります。

【暴力行為処罰等に関する法律違反と示談】

暴力行為処罰等に関する法律違反事件を起こしてしまった場合、被害者の方と早期に示談交渉を開始し、示談を締結することが重要となります。
そして、示談交渉には刑事事件を数多く取り扱った経験から得られる交渉力が必要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
暴力行為処罰等に関する法律違反事件を起こした方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
暴力行為処罰等に関する法律違反(器物損壊)事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)

2021-08-07

愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)

愛知県豊山町傷害事件同時傷害の特例)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県豊山町に住むAさんは、知人のBさんと愛知県豊山町内の歩道を歩いていたところ、Vさんに因縁を付けられたため、Vさんに対して暴行を加えました。
その際、BさんはAさんに加勢もせず、ただAさんによる暴行を見ているだけでした。
その後、Aさんは現場から立ち去りましたが、その場に残っていたBさんが倒れこんでいたVさんに殴る蹴るなどの暴行を加えました。
その結果、Vさんは全治2週間の怪我(傷害)を負ったとして、愛知県西枇杷島警察署の警察官に傷害事件の被害を訴えました。
Aさんは愛知県西枇杷島警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
Vさんの怪我(傷害)はAさんとBさんのどちらの暴行によるものなのかは分からないとのことです。
(2019年10月4日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪や暴行罪といった犯罪は、刑事事件のニュースや新聞でよく耳(目)にする犯罪ですが、傷害罪と暴行罪の違いは何でしょうか。

傷害罪については、刑法204条が以下のように規定しています。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の「傷害」(刑法204条)とは、人の生理機能を害することをいうと考えられています。
例えば、切り傷、打撲傷、骨折などはいずれも人の生理機能を害する傷害罪の「傷害」(刑法204条)にあたるといえます。

これに対して、暴行罪については、刑法208条が以下のように規定しています。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪のいう「暴行」(刑法208条)とは、人の身体に対する有形力(物理力)の行使をいいますが、刑法208条に規定されている通り、暴行罪は、「暴行」を加えたが、その結果「傷害」が生じなかった場合に成立することになります。

ところで、刑事事件例では、Vさんは怪我(傷害)を負っていますが、AさんとBさんのどちらの暴行行為により怪我(傷害)が生じているのか判明していません。
このような場合、Aさんには傷害罪と暴行罪のどちらが成立するのでしょうか。

【同時傷害の特例とは】

刑法207条
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくとも、共犯の例による。

刑法207条の同時傷害の特例は、以下のような場合を想定して規定された条文です。

加害者が二人いて、彼らは意思疎通(共謀)をすることなく被害者の方に暴行を加え、被害者の方は怪我(傷害)を負った。
しかし、被害者の方の怪我(傷害)が、加害者のうちどちらにより生じたのかが分からない。
暴行行為と怪我(傷害)に因果関係があるか分からないのであれば、加害者たちにはそれぞれ傷害罪ではなく、暴行罪が成立するのではないか。

刑法207条の同時傷害の特例は、以上のような場合を想定し、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと「推定」するものです。
この刑法207条の同時傷害の特例により、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと推定されると、推定が破られない限り、加害者たちにはそれぞれ傷害罪が成立することになります。

ここで刑事事件例をみてみると、加害者はAさんとBさんの二人であり、AさんとBさんは意思疎通(共謀)をすることなくVさんに暴行を加え、Vさんは怪我(傷害)を負いました。
しかし、Vさんの怪我(傷害)が、AさんとBさんの暴行のうちどちらにより生じたのか分かっていません。
そこで、刑法207条の同時傷害の特例が適用され、Aさんの暴行とVさんの怪我(傷害)の因果関係が推定され、推定が破られない限り、Aさんには傷害罪が成立することになります。
これはBさんにも同じことがいえ、Bさんにも傷害罪が成立することになります。

このように刑法207条の同時傷害の推定が働いた場合において、それでも傷害罪の成立を否定したいときは、自身の暴行と怪我(傷害)の間に因果関係がないことを立証していくことになります。
例えば、自分の暴行は被害者の方に怪我(傷害)を与える程度のものではないと主張・立証することになります。

傷害事件という名前だけ聞くと単純な刑事事件のように思えても、詳細な事情を専門的に細かく検討しなければならないこともあります。
だからこそ、弁護士への相談・依頼が重要なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊山町傷害事件同時傷害の特例)でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県田原市の承諾殺人事件

2021-08-03

愛知県田原市の承諾殺人事件

愛知県田原市承諾殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県田原市内にある公園内において、交際相手のV1さん(40歳)とその子供のV2さん(15歳)から承諾を得て、V1さんとV2さんを刺殺しました。
V1さん・V2さんは当時貧困状態にあり、V1さんはAさんに「私を殺してほしい」、V2さんもAさんに「私もお母さんと一緒に殺してほしい」と言ったといいます。
Aさんは愛知県田原警察署の警察官により承諾殺人罪の容疑で逮捕されました。
(2020年8月5日に日本経済新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【承諾殺人罪とは】

刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

承諾殺人罪は、刑法202条にいう殺人への「承諾」が死の意味を理解した上でなされた場合にのみ成立します。
例えば、死の意味を理解しない幼児や精神障害者の承諾は無効であり、承諾殺人罪は成立しません。
殺人への承諾が無効である場合は、刑法202条の承諾殺人罪ではなく、刑法199条の殺人罪が成立すると考えられています。

刑事事件例では、V1さん(40歳)とその子供のV2さん(15歳)はAさんによる殺人に承諾しているところ、二人の承諾は死の意味を理解した上でなされた有効なものであると考えられます。

そして、AさんはV1さんとV2さんの承諾を認識して、二人を刺殺しています。

よって、Aさんには承諾殺人罪が成立すると考えられます。

【承諾殺人罪と刑罰】

刑法45条は「確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする」としています。
そして、刑法47条は「併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする」としています。

刑事事件例では、V1さんの生命侵害とV2さんの生命侵害という2つの承諾殺人罪が成立しており、これら2つの承諾殺人罪は併合罪であると考えられます。

そのため、承諾殺人罪の法定刑は6月以上7年以下の懲役又は禁錮ですが、その刑の長期にその2分の1を加えた10年6月が本件刑事事件例における処断刑の長期となります。

このようにして複数の承諾殺人罪が処理された例として、母子ら4人の承諾を得て殺害した承諾殺人事件において懲役8年が言い渡された判決があります(2020年8月5日に日本経済新聞に掲載された福島地裁いわき支部判決を参照ください)。

刑事弁護士としては、刑事裁判において被疑者・被告人の方にとって有利になるような事情を主張し、6月以上10年6月という処断刑の長期内でより被疑者・被告人の方に有利な判決を獲得できるよう裁判対応をしていくことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県田原市承諾殺人事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検

2021-07-27

暴力行為等処罰に関する法律違反事件で書類送検

暴力行為等処罰に関する法律違反事件書類送検された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県知立市に住むAさんは、自身の娘(Vさん)と学業をめぐって口論となり、Vさんに対して包丁を突き付けるなどして、Vさんに全治1週間の怪我をさせました。
Aさんは愛知県安城警察署の警察官により、暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で書類送検されました。
(2020年11月6日に岐阜新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【暴力行為等処罰に関する法律違反とは】

暴力行為等処罰に関する法律第1条の2は、「銃砲又は刀剣類を用ひて人の身体を傷害したる者は1年以上15年以下の懲役に処す。」と規定しています。

ここで、刑法に定められた傷害罪の規定を見ると、刑法第204条1項は、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定しています。

刑法204条1項の傷害罪ではなく、暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が適用されるのは、人の身体を傷害する手段として「銃砲又は刀剣類を用」いられている場合です。

刑事事件例のAさんはVさんに対して包丁を突き付けるなどして、Vさんに全治1週間の怪我をさせました。
暴力行為等処罰に関する法律の規定する「銃砲又は刀剣類」を用いてVさんの身体を傷害したといえ、Aさんには暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が成立すると考えられます。

【暴力行為等処罰に関する法律違反の罪と刑罰】

暴力行為等に関する法律第1条の2に定められた刑は「1年以上15年以下の懲役」であるのに対して、刑法第204条1項の傷害罪に定められた刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
つまり、暴力行為等に関する法律違反(第1条の2違反)となった場合は1年以上15年以下の刑事施設への拘置及び刑務作業(懲役)が科せられることになります。
これに対して、傷害罪を犯した場合は1月以上15年以下の刑事施設への拘置及び刑務作業(刑法12条1項)か、50万円以下の罰金が科せられることになります。

選択刑として罰金刑が設けられており、罰金が科せられる場合、略式手続という非公開手続により事件が終局する可能性があります。
また、執行猶予付き判決を獲得することができなかったとしても刑事施設に収容される恐れもありません。
よって、暴力行為等に関する法律違反事件を起こし書類送検された場合には、傷害事件を起こした場合と比較して、正式起訴がなされる可能性や重い刑が科せられる恐れがあることに注意しなければなりません。

刑事弁護士としては、書類送検後に正式起訴がなされた場合、執行猶予付き判決の獲得を目指し、裁判官に対して、犯行に至る経緯や犯行の態様、犯行を行った結果の軽重、犯行の危険性などの犯罪それ自体に対する事情(犯情)について、被告人に有利な事情を主張していくことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
暴力行為等処罰に関する法律違反事件書類送検された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

暴行事件の容疑を否認

2021-07-23

暴行事件の容疑を否認

暴行事件の容疑を否認する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県愛知郡東郷町立B小学校の教頭であるAさんは、愛知県愛知郡東郷町内を走行する電車の中で、Vさん(女子中学生)に体液をかけました。
その後、Vさんが駅で泣いているところを見つけた駅員が110番通報し、事件が発覚しました。
Aさんは愛知県愛知警察署の警察官により暴行罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは「体液が出てしまったのは間違いないが、体液をかけるつもりはなかった。短パンだったのでかかってしまったのかもしれない。」と、暴行罪の容疑を否認しています。
暴行罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、一刻も早くAさんを釈放をしてほしいと考えています。
(2020年10月21日に東海テレビNEWに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【暴行罪の成立要件(構成要件)】

Aさんは暴行罪の容疑で逮捕されていますので、以下ではAさんに暴行罪が成立するのかを検討します。

暴行罪は、刑法208条に規定されています。

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する(刑法208条)。

暴行罪のいう「暴行」とは他人の身体に対する物理力の行使です。
「暴行」という言葉から連想される殴る、蹴る等の行為は当然に暴行罪のいう「暴行」に含まれます。
これに加えて、例えば被害者の耳元で拡声器を使い大声を発する行為のように音を使った物理力の行使というものなどもあります。

刑事事件のAさんのようにVさんに体液をかける行為も、他人の身体に対する物理力の行使として暴行罪のいう「暴行」に該当すると考えられます。

【暴行事件と否認】

刑事事件例では、Aさんは「体液が出てしまったのは間違いないが、体液をかけるつもりはなかった。短パンだったのでかかってしまったのかもしれない。」と、暴行罪の容疑を否認しています。

ところで、逮捕は、「逮捕の必要性」(刑事訴訟法199条2項)があるときになされる身体拘束です。
具体的には、被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重・態様その他諸般の事情を総合考慮し、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれの有無等によって判断されます。
また、逮捕に引き続く勾留も、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがある場合になされるものです(刑事訴訟法60条1項1号)。

ここで、例えば犯罪の容疑を認めている場合、あえて逃亡したり罪証隠滅をしたりする主観的可能性がないなど、一般に釈放される可能性が高まります。
これに対して、刑事事件例のAさんのように暴行罪を含む犯罪の容疑を否認している場合、逃亡したり罪証隠滅をしたりする主観的可能性があるとして、逮捕に引き続く勾留までなされる可能性が高まると考えられています。

しかし、だからといってやっていないにも関わらず容疑を認めることとなれば、それは冤罪となってしまいます。
容疑を否認する場合には、取調べへの対応なども重要になってきますから、逮捕・勾留による身体拘束についても取調べへの対応についても、早めに弁護士に相談し、対応を考えていくことが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県愛知郡東郷町暴行事件の容疑を否認したいとお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕

2021-07-09

愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕

愛知県知多市強要未遂事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、大学時代の後輩にあたる人気俳優のVさんのSNSに「返信をしろ、さもないとお前を殺す」と投稿したとして、愛知県警知多警察署の警察官により強要未遂罪の容疑で逮捕されました。
この強要未遂事件は、Vさんが愛知県警知多警察署の警察官に強要未遂事件の被害を受けたと届け出たことから発覚しました。
強要未遂事件を起こした動機について、Aさんは、Vさんの活躍を祝うメッセージを送ったのにも関わらず返信がなかったことからVさんに裏切られたと思ったと話しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県知多市に対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【強要未遂罪(強要罪)とは】

生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者」には、強要罪が成立します(刑法223条)。
強要罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下です。

強要罪の未遂は、強要未遂罪として処罰されます(刑法223条)。
具体的には、強要の手段として強要罪に規定された脅迫・暴行を行ったが、強要の結果として義務のないことを行わせあるいは権利の行使を妨害するに至らなかった場合に、強要未遂罪が成立します。

強要未遂罪強要罪)における脅迫とは、他人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことを指します。
ただし、強要未遂罪強要罪)が成立するためには、一般人にとってその害悪の告知が畏怖させるに足りるといえればよく、現実に相手方が畏怖したことを要しないとされています。

刑事事件例のように「お前を殺す」とのメッセージを受け取った場合、通常の一般人であれば身の危険を感じる、すなわち畏怖すると考えられます。
たとえ「お前を殺す」とのメッセージを受け取った人が豪気な人でありこのような脅迫行為には一切恐怖を抱かなかったというような事情があっても、強要未遂罪強要罪)における脅迫行為があったといえることになります。

よって、Aさんの「返信をしろ、さもないとお前を殺す」とメッセージを送る行為は、強要未遂罪強要罪)における「生命に対して害を加える旨を告知して脅迫」する行為に該当すると考えられます。

そして、刑事事件例では結果的にはVさんはAさんに対して返信しなかったため、強要の結果として「義務のないことを行わせ」るに至らなかったといえます。
したがって、Aさんには強要未遂罪が成立することになります。

【強要未遂罪と刑事裁判】

強要罪には条文にある通り、罰金刑がありません。
ですから、強要罪で起訴され有罪になるということは、執行猶予付き判決となるか実刑判決となるかの2択となります。
例えば、過去の刑事裁判例として、強要未遂罪を犯した者に懲役1年6月執行猶予3年が言い渡されたという例があります。
これは、検察官が強要未遂事件として刑事裁判に提訴(起訴)しましたが、裁判所が強要未遂事件の犯行を率直に認め反省しているなどといった情状を考慮して、執行猶予が相当であると判断した刑事裁判例であると考えられます。

刑事事件では、検察官に対して刑事裁判に提訴(起訴)しないように働きかけることができる段階(被疑者段階)と、裁判所に対して強要未遂事件の被告人には執行猶予付き判決を宣告するに足りる情状があったと働きかけることができる段階(被告人段階)があります。
被疑者段階で不起訴獲得を目指し、起訴されてしまったとしても執行猶予付き判決を獲得できるよう準備しておくためには、早い段階から弁護士に相談・依頼しておくことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事裁判例のような起訴に至った強要未遂事件であっても、被疑者としての刑事弁護活動に引き続き、被告人段階の刑事弁護活動を行うことができます。
愛知県知多市強要未遂事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

傷害致死事件で執行猶予獲得を目指す

2021-07-02

傷害致死事件で執行猶予獲得を目指す

傷害致死事件執行猶予獲得を目指すケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県一宮市の路上において、バス停のベンチに座っていたVさん(60歳)と口論になった結果、Vさんを殴りました。
Vさんは地面に倒れこんでしまい、通行人の通報により愛知県一宮市内の病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。
Aさんは、愛知県一宮警察署の警察官により、傷害致死罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「殺すつもりはなかった。口論になってイライラして殴ってしまった。」と述べています。
Aさんの両親は、Aさんに執行猶予を付けてほしいと考えています。
(2020年11月16日にTBSNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害致死罪とは】

刑法205条は、傷害致死罪を以下のように規定しています。

刑法205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

刑事事件例では、Aさんは「殺すつもりはなかった。」と言っています。
この場合、Aさんは、Vさんが死亡したことの責任を負うのでしょうか。

刑法205条の傷害致死罪は、暴行罪・傷害罪の結果的加重犯であると考えられています。
結果的加重犯とは、一定の犯罪行為を行い、その犯罪行為により、予想よりも重い結果が生じた場合に、その重い結果に対して責任を問う罪をいいます。
すなわち、暴行罪を犯し、その暴行行為より重い結果=被害者の方が死亡するという結果が発生した場合、より重い結果である被害者の死亡に対する罪(傷害致死罪)が成立することになります。

Aさんは、Vさんに暴行を加える認識(故意)のもと暴行を行っており、その暴行行為によりVさんの死亡というより重い結果が生じています。
よって、AさんにはVさんの死亡という、より重い結果に対応する傷害致死罪が成立することになります。

【傷害致死罪と執行猶予】

刑事事件例では、Aさんには傷害致死罪が成立すると考えられますが、上述のように、傷害致死罪を犯した者は、3年以上の有期懲役に処せられます。

ここで、刑事事件においてよく耳にする執行猶予について検討してみます。
執行猶予とは、刑の言渡しをした場合において、一定期間その執行を猶予し、その期間を無事に経過した場合には刑の言渡しを失効させ、条件に違反した場合には執行猶予を取り消して刑の執行をしようとするものです。

執行猶予の要件は刑法25条に規定されています。
特に前科のない初犯の方にとっては、執行猶予の要件としては、「3年以下の懲役若しくは禁錮、又は50万円以下の罰金を言」い渡す場合であること(刑法25条1項)に注目する必要があるでしょう。

傷害致死事件について言えば、傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役であるため、執行猶予付き判決を獲得できる余地があることになります。

刑事弁護士の活動としては、同じく執行猶予の要件である「情状」(刑法25条1項)が存在することを主張していくことになるでしょう。
この「情状」としては、被害弁償や示談の有無、再犯防止策が取られていることなどが考えられますから、執行猶予を獲得するためには早い段階から被害者対応などの弁護活動を行いつつ準備をすることが必要となります。
傷害致死事件の発生から早期に弁護士に相談・依頼して活動を開始してもらうことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県一宮市傷害致死事件でお困りの場合や、執行猶予の獲得にお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県豊田市の監禁・恐喝事件

2021-06-29

愛知県豊田市の監禁・恐喝事件

愛知県豊田市監禁・恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県豊田市内の駐車場で、Vさんが乗った軽自動車に故意に衝突し「示談しないと痛い目に合うぞ」などと因縁をつけ、愛知県豊田市内のカラオケ店に閉じ込め(監禁し)て合計200万円を脅し取りました。
Aさんの脅迫は、Vさんの反抗を抑圧するものではなかったものの、Aさんを畏怖させるものでした。
その後、Aさんは、愛知県豊田警察署の警察官により監禁罪・恐喝罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、今後どのように事件が進んでいくのか知りたく、刑事事件に強い法律事務所への法律相談することを検討しています。
(2020年10月26日に京都新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【監禁罪とは】

刑法220条は、監禁罪について以下のように規定しています。

刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法220条は、前段(「不法に人を逮捕し」の部分)で逮捕罪を、後段(「不法に…監禁した」の部分)で監禁罪を規定しています。
それでは、逮捕罪が成立する「逮捕」(刑法220条)と監禁罪が成立する「監禁」(刑法220条)の違いは何でしょうか。

この点、逮捕罪の「逮捕」(刑法220条)とは、直接的な強制によって移動の自由を奪うことをいいます。
逮捕罪の「逮捕」(刑法220条)に該当する行為の例は、羽交い絞めにする行為や縄で縛り付ける行為です。
一方、監禁罪の「監禁」(刑法220条)とは、間接的に一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪うことをいいます。
監禁罪の「監禁」(刑法220条)に該当する行為の例は、部屋に閉じ込めて脱出できなくする行為です。
そのほか、脅迫により心理的に脱出を困難にする行為も監禁罪の「監禁」(刑法220条)に該当します(東京高等裁判所判決昭和40年6月25日)。
つまり、逮捕罪が成立する「逮捕」(刑法220条)と監禁罪が成立する「監禁」(刑法220条)の違いは、移動の自由を奪う手段が直接的なもの、間接的なものかという点にあるといえます。

刑事事件例では、AさんはVさんに「示談しないと痛い目に合うぞ」などと脅迫し、カラオケ店に閉じ込めています。
そのため、Aさんの行為は、間接的に一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪ったといえます。
よって、Aさんの行為は監禁罪の「監禁」(刑法202条)に該当すると考えられます。

【恐喝罪とは】

刑法249条1項は恐喝罪について以下のように規定しています。

刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

恐喝罪は、反抗を抑圧するに至らない程度の暴行又は脅迫により、財物を交付させることにより成立する犯罪です。
反抗を抑圧するに足りる暴行又は脅迫により財物を交付させた場合には恐喝罪(刑法249条1項)ではなく、強盗罪(刑法236条1項)が成立するため、暴行又は脅迫の強さによって成立する犯罪が異なることに注意が必要となります。
例えば、凶器を使用して脅迫したような場合には、相手の反抗を抑圧する程度の強さがあるとされて恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性が出てきます。

今回の刑事事件例では、AさんはVさんに「示談しないと痛い目に合うぞ」などと脅迫し、合計200万円を受け取っています。
このAさんの行為は、反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫により、財物を交付させたといえます。
そのため、Aさんの行為は、恐喝罪の「恐喝」(刑法249条1項)に該当すると考えられます。
よって、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられます。

【監禁・恐喝事件と刑事弁護】

刑事事件例のような監禁・恐喝事件において、刑事弁護士がすることができる代表的な刑事弁護活動としては、示談交渉が挙げられます。
示談では、加害者の方から被害者の方への正式な謝罪や損害賠償金の支払いなどを交渉していくことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊田市監禁・恐喝事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら