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死体損壊事件・死体遺棄事件で逮捕
死体損壊事件・死体遺棄事件で逮捕
死体損壊事件・死体遺棄事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県豊田市に住むAさんは、同居している母親のVさんが亡くなっていることに気付き、愛知県豊田市内の山奥にVさんの遺体を運び、油のようなものを使い、燃やしました。
その後、Vさんの遺体を発見した愛知県警豊田警察署の警察官の捜査により、Aさんは死体損壊罪・死体遺棄罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの父親は、愛知県豊田市に事務所をかまえ、刑事事件に強い法律事務所への相談を検討しています。
(フィクションです。)
【死体損壊罪・死体遺棄罪とは】
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄した者には、死体損壊罪・死体遺棄罪が成立します(刑法190条)。
法律に定められた刑(法定刑)は3年以下の懲役です。
死体損壊罪における「損壊」とは、物理的に破損・破壊することを指します。
また、死体損壊罪における「遺棄」とは、死体等を移動させた上で放置することを指します。
しかし、慣習上葬祭の義務がある者が死体遺棄罪を犯す場合には、死体等を移動させずに単に放置することも、死体遺棄罪における「遺棄」に含まれると考えられています。
刑事事件例においては、Aさんは、亡くなった母親であるVさんの遺体(死体損壊罪における「死体」に該当します)を、愛知県豊田市内の山奥に運んでいます。
ここに、死体遺棄罪における「遺棄」行為があったと考えられます。
また、Aさんは、Vさんの遺体を油のようなものを使い、燃やしています。
油のようなもので燃やしてしまえば、Vさんの遺体が焼損してしまい、原状の状態にあるとはいえません。
ここに、死体損壊罪における「損壊」行為があったと考えられます。
以上より、Aさんには、死体遺棄罪と死体損壊罪が成立すると考えられます。
死体遺棄罪罪と死体損壊罪は、全体を一罪(刑法190条の死体損壊・遺棄罪)として処断されることとなります(包括一罪といいます)。
【死体損壊罪・死体遺棄罪の刑事弁護活動】
上述した通り、死体損壊罪及び死体遺棄罪の法定刑は、3年以下の懲役です。
ここで、執行猶予は、3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときに付けることができるものです(再度の執行猶予を除きます)。
したがって、死体損壊罪・死体遺棄罪を犯した場合、法律の要件としては、執行猶予付きの判決を獲得できる可能性があります。
執行猶予を付けることができれば、刑務所に行かずに、一般的な社会生活を送ることができます。
実際にあった死体損壊罪・死体遺棄罪で起訴された刑事事件例においても、執行猶予付き判決を獲得している裁判例が存在します。
執行猶予というものは、当該刑事事件に存在する様々な具体的な事情を考慮して付けられるものです。
例えば、計画性のある犯行であるのか、特別な道具や技術を用いた特殊な犯行なのか、悪質な犯行態様・動機であるのか、被害結果が甚大であるのかといった犯情や、捜査機関に対して協力的な態度を示しているのか、反省を深めているのか、実刑となった場合に被る不利益が大きいのか、再犯防止対策が取られているのかといった一般的な事情が考慮されることになります。
そのため、刑事事件に強い弁護士により、執行猶予獲得に向けて有利な事情を主張してもらったり、そのための環境を整えるサポートをしてもらうことが重要といえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊田市の死体損壊罪・死体遺棄罪で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県瀬戸市の器物損壊事件で逮捕
愛知県瀬戸市の器物損壊事件で逮捕
愛知県瀬戸市の器物損壊事件で逮捕された場合について、弁護士法人法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県瀬戸市内の飲食店において、持ち帰りで注文した料理に髪の毛が混入していることに気付き、「こんな飯食えるか」と怒鳴りながら、出入り口の内側についていたガラス扉を蹴って壊しました。
器物損壊の被害を受けた飲食店は、愛知県警瀬戸警察署の警察官に通報をしました。
その後、愛知県瀬戸警察署の警察官による任意の取調べを受けた後、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県に事務所を置き、刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)
【器物損壊罪とは】
他人の物を損壊し、又は傷害した者には、器物損壊罪が成立します(刑法261条)。
器物損壊罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料です。
器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する行為を指します。
具体的には、物理的に物を破壊することは器物損壊罪における「損壊」に含まれることになります。
刑事事件例において、Aさんが出入り口のガラス扉を蹴って壊す行為はガラス扉の効用を害する行為であると考えられます。
よって、Aさんの行為は器物損壊罪における「損壊」に該当することになります。
ところで、Aさんが壊したのは、被害を受けた飲食店の出入り口の内側についていたガラス扉です。
刑法には、「他人の建造物を損壊した者」には、建造物損壊罪が成立すると規定する条文(刑法260条)がありますが、建造物から取り外し可能な窓ガラスや襖、障子などを損壊した場合には、器物損壊罪が成立すると考えられています(ただし、今回のガラス扉が建造物にとって重要なものであると判断された場合には建造物損壊罪が成立する可能性もあります。)。
【器物損壊罪と親告罪】
器物損壊罪は器物損壊事件の被害者等の告訴がなければ公訴(刑事訴訟)を提起することができない親告罪であると規定されています(刑法264条)。
これは、器物損壊事件においては、当事者(器物損壊事件の被疑者と被害者等)の間での解決を計るべきであると考えられているからです。
そのため、刑事弁護士としては、器物損壊事件の被害者等との間で告訴を取り消すことを約束させる示談を締結し、検察官がAさんを器物損壊罪で刑事裁判にかける(起訴する)ことがなくなるようにすることができると考えられます。
【器物損壊罪の量刑】
Aさんが告訴されて器物損壊罪で起訴された場合、上述の通りAさんは3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処される可能性があります。
しかし、刑務所に収容される懲役刑と、罰金を納付する必要があるものの一般の社会生活を送ることができる罰金刑では、器物損壊罪を犯したAさんが被る不利益は大きく異なるのは明らかです。
ここで、実際に起こった器物損壊罪の刑事事件例を見てみると、本件器物損壊事件の他に前科がない場合や、たとえ本件器物損壊事件の他に前科があったとしても前科の刑が終了してから長期間が経過した場合などは、罰金が科される傾向にあります。
これに対して、本件器物損壊事件の他に前科がある上に前科の刑が終了してから間もなく器物損壊罪にあたる犯行が行われた場合などには、懲役刑が科される傾向にあります。
先述のように器物損壊罪は親告罪であるため、起訴前に被害弁償や示談締結を目指すことはもちろん重要なことではありますが、たとえ起訴後であっても、器物損壊事件の被害者への被害弁償や示談などをすることで、罰金刑で事件を終了させる可能性を高めることができます。
ですから、やはり器物損壊事件では早期に被害者対応をしていくことが重要といえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
器物損壊罪の容疑で逮捕された場合においても、示談を締結して不起訴を獲得するなど実績を多数を挙げています。
愛知県瀬戸市の器物損壊事件で逮捕された場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市守山区の準強制性交等事件で逮捕
愛知県名古屋市守山区の準強制性交等事件で逮捕
愛知県名古屋市守山区の準強制性交等事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県名古屋市守山区に住むAさんは、SNS上においていわゆるパパ活の相手を募集していた17歳の少女(Vさん)と通じました。
そして、愛知県名古屋市守山区にある居酒屋において、Vさんに睡眠作用のある薬物を入れた酒を飲ませた後、意識を失ったVさんを愛知県名古屋市守山区にあるホテルに連れ出して性交をしました。
その後、Vさんが愛知県警守山警察署の警察官に事情を説明し、Aさんは準強制性交等罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市にある性犯罪の刑事事件に強い法律事務所への相談を検討しています。
(フィクションです。)
【準強制性交等罪とは】
13歳以上の者に対し、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者には、準強制性交等罪が成立します。
法律に定められた刑は、5年以上の有期懲役です。
準強制性交等罪は、人の心神喪失や抗拒不能といった被害者が抵抗することができない状態を利用して行われる性交等を処罰するものです。
準強制性交等罪における「心神喪失」とは、失神や睡眠、泥酔などの理由により、被害者自身が準強制性交等罪の性交等をされていることに気が付いていない状態のことをいいます。
また、準強制性交等罪における「抗拒不能」とは、手足の束縛や、酩酊などの理由により、被害者が準強制性交等罪の性交等をされていることに気付いてはいるが、それに対して抵抗することが著しく困難な状態のことをいいます。
刑事事件例において、Aさんは、Vさんに睡眠作用のある薬物を入れた酒を飲ませ、意識を失わせた後に、性交をしています。
Vさんが睡眠作用のある薬物により睡眠状態にある場合、Vさんは自身が準強制性交等罪の性交等をされていると認識することができません。
従って、Vさんは準強制性交等罪における「心神喪失」状態にあったと考えることができます。
よって、Aさんには準強制性交等罪が成立すると考えられます。
【準強制性交等罪と勾留】
上述の通り、Aさんには準強制性交等罪が成立することが考えられるところ、検察官や裁判官が、Aさんに逃亡するおそれや罪証隠滅のおそれがあると考えた場合、Aさんは逮捕に引き続き、最大20日間にも及ぶ身体拘束(勾留)をされるおそれがあります。
このような長期に渡る勾留がなされると、学校や会社へと行くことができなくなり、退学や失業を強いられるおそれも考えられます。
ケースのように、被害者とSNS上において知り合ったという場合には、刑事弁護士による刑事弁護活動として、準強制性交等罪の被害者と通じた原因となったSNSのアカウントやアプリを削除することを約束したり、そもそも準強制性交等罪の被害者の名前や住所などの身元情報を知らないことを検察官や裁判官に主張したりすることができると考えられます。
これにより、Aさんには罪証隠滅のおそれがなく、従って勾留もする必要がないと検察官や裁判官に働きかけることができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
準強制性交等罪のような性犯罪事件を多数取り扱った実績を持つ刑事弁護士も在籍しています。
愛知県名古屋市守山区の準強制性交等罪で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
傷害致死事件と保釈
傷害致死事件と保釈
傷害致死事件と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市中村区内のマンションにおいて、Vさんと同棲をしていました。
ある日、AさんとVさんは些細なことから喧嘩となり、AさんはVさんに風呂場でシャワーの熱湯を浴びせるなどして全身にやけどを負わせました。
AさんはVさんに怪我をさせるつもりで熱湯を浴びせましたが、Vさんを殺害するつもりはありませんでした。
しかし、Vさんはこのやけどを原因として死亡するに至りました。
その後、Aさんは傷害致死罪の容疑で愛知県中村警察署に逮捕され、今後起訴されるだろうと伝えられました。
(2021年1月4日にMBSNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【傷害致死罪とは】
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する(刑法205条)。
傷害致死罪は、刑法学上では「結果的加重犯」であるといわれています。
この傷害致死罪を含む「結果的加重犯」とは、ある犯罪を犯した際に、犯人が認識していた犯罪以上の重い結果が生じてしまった場合に、その重い結果についても責任を負わせることを規定した犯罪のことをいいます。
傷害致死罪についていえば、傷害致死罪は暴行罪と傷害罪の結果的加重犯であると考えられています。
すなわち、犯人が暴行罪・傷害罪に該当する行為を行った結果、犯人が認識していた暴行罪・傷害罪以上の重い結果(被害者の方の死亡)が生じてしまった場合、その重い結果(被害者の方の死亡)についても「傷害致死罪」として責任を負うということになります。
刑事事件例では、Aさんは、Vさんに怪我をさせるつもりで熱湯を浴びせており、殺害するつもりはありませんでした。
このとき、傷害罪の故意(認識・認容)はあったが、殺人罪の故意(認識・認容)はなかったといいます。
しかし、このAさんの行為によりVさんはやけどにより死亡しています。
この場合、Aさんが傷害罪に該当する行為を行った結果、Aさんが認識していた暴行罪・傷害罪以上の重い結果(被害者の方の死亡)が生じてしまった場合に該当し、その重い結果(被害者の方の死亡)についても「傷害致死罪」として責任を負うことになります。
以上より、Aさんは傷害致死罪の罪責を負うことになります。
【傷害致死事件の刑事弁護活動】
傷害致死事件の刑事弁護活動のひとつとして、保釈を求める活動が挙げられます。
保釈は、検察官による起訴がされた後、被告人の段階における身柄解放活動です。
今回のAさんは起訴されるだろうということを伝えられているため、起訴後の保釈を求める活動も見据えて弁護活動をすることが考えられます。
保釈に関する条文を引用します。
保釈の請求があったときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない(刑事訴訟法89条柱書・権利保釈)。
① 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる(刑事訴訟法90条・裁量保釈)。
傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。
そのため、傷害罪を犯した場合、刑法89条に規定された被告人の権利としての保釈(権利保釈)は認められないことになります。
そこで、弁護士としては、刑法90条に規定された裁判所の裁量による保釈(裁量保釈)が認められるよう保釈請求書等で求めていくことになります。
保釈が認められた場合、住居制限などが加えられる可能性はあるものの、少なくとも判決が言い渡されるまでの間は通常の社会生活を送ることができるようになります(刑事訴訟法343条)。
保釈を求めるためには、保釈に十分な環境を作ってその環境を適切に主張していく必要があります。
専門家である弁護士のサポートを受けることで、環境づくりやその主張に効果的な活動をする事が期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害致死事件と保釈についてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
傷害罪と少年院送致
傷害罪と少年院送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市内の高校に通うAさん(16歳)は、お金の貸し借りの件で友人Vさんと口論となり、Vさんの顔や腹部を殴る蹴るなどの暴行を加え、Vさんに全治2か月の大怪我を負わせてしまいました。Aさんは、学校の通報により駆け付けた警察官に傷害罪で逮捕されてしまいました。逮捕を通知を受けたAさんの両親は、今後、息子が少年院へ送致されるのではないかと不安になり、弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです。)
~傷害罪~
傷害罪は刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、当初、怪我させるつもりはあった場合はもちろん、なかった場合でも、行為と結果(傷害)との間に因果関係が認められる場合には成立します。
また、傷害の結果、人を死亡させた場合は傷害致死罪に問われることになります。
少年(20歳未満の者)の場合、原則として、罰則は科されず、家庭裁判所送致→観護措置、調査官調査→少年審判→保護処分という経過をたどります。
もっとも、故意の犯罪行為により被害者を死亡させ、行為時に16歳以上だった少年にかかる事件については、原則、事件が家庭裁判所から検察庁へ再び送致されます。これの事件のことを原則逆送事件と呼んでおり、傷害致死罪もこの事件に含まれます。検察官の元へ送致されると、成人と同様の刑事手続で進められていきます。裁判となれば、一般人が裁判に参加する裁判員裁判を受けなければなりません。裁判で有罪と認定されれば、成人と同様に刑罰を科され、刑務所に服役しなければならない可能性もでてきます。
~少年院送致とは~
少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。少年審判では、少年をどの種類の少年院に送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。
第1種(1号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの
少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。
短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。
さきほど、少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特集短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています。
~傷害事件における弁護活動(少年院送致回避に向けて)~
相手に怪我を負わせている場合は、相手が肉体的にも精神的にも損失を被っています。ですから、一刻も早く被害弁償をして、示談を締結することが先決です。示談を成立させることができれば、反省の意を示す証拠ともなり得、少年院送致回避に向けた証拠としても使えます。
傷害事件の場合には,少年に強い暴力性が認められるケースが多く,自分の感情をコントロールすることができないなどの欠点が見受けられることも多いものです。そのため,弁護士が少年と同じ目線に立って,感情のコントロールの仕方を教えていくことが重要となります。その上で、少年の生活環境、家庭環境、交友関係などを見直し、更生のための環境を整えていく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
暴行から傷害致死罪へ発展
傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市熱田区に住むAさんは、Vさん、Wさんと同市内の居酒屋で飲んだ後、カラオケに行くことになりました。しかし、カラオケ店に行く途中、AさんとVさんはお金の貸し借りのことで喧嘩となりました。Aさんは、もともとVさんが一向にお金を返さないことに不満を抱いており、さらに今回のVさんとの言動からVさんがAさんにお金を返す気がない、と思いました。Aさんは、そんなVさんがカラオケ代までおごってくれ、と頼んできたことから、Vさんに対する怒りが頂点に達し、「お前いいかげんにしろ!」と言って両手でVさんの胸を勢いよく押したところ、Vさんは酔った勢いも加勢して仰向けに転倒させてしまいました。その結果、Vさんの後頭部を道路の縁石に打ちつけさせ意識不明の状態に陥らせてしまいました。Aさんはパニック状態となっていたため、Wさんの119番通報により、Vさんは駆け付けた救急隊員により病院へ搬送されましたが搬送先で死亡してしまいました。その後、Aさんは、警察に傷害致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 傷害致死罪 ~
傷害致死罪は刑法205条に規定されています。
刑法205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
本罪は傷害罪(刑法204条)の
結果的加重犯
です。
結果的加重犯とは、
一定の基本となる犯罪(基本犯)の構成要件を実現した後、犯罪行為から行為者(Aさん)の予期しない重い結果が生じたときに、その重い結果について刑が加重される犯罪
のことをいいます。
~ 傷害罪(基本犯) ~
では、傷害致死罪の基本犯である傷害罪をみていきましょう。
同罪は、刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、他方で、傷害致死罪は「3年以上の有期懲役(上限は懲役20年)」ですから、確かに刑が加重されている(重くなっている)ことが分かります。
傷害罪が成立するためには(構成要件)、
①暴行行為(暴行の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン1)
あるいは、
①傷害故意(傷害の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン2)
が必要です。
~ 「予期しない重い結果が生じたこと」 ~
傷害致死罪が成立するには、さらに、上記要件に加えて
予期しない重い結果(人の死)が生じたこと
が必要です。
「予期しない」という点がポイントで、予期していた場合は、殺人罪(刑法199条)が成立します。
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
予期していたか、予期していなかったかで法定刑に大きな開きがあることがお分かりいただけるかと思います。
~ 因果関係が必要 ~
傷害罪では、暴行行為や傷害行為と傷害との間に因果関係が必要とされましたが、傷害致死罪でも同様に、
傷害と人の死との間に因果関係が必要
とされます。
仮に、因果関係が認められない場合は、行為者に人の死についての責任を問うことはできませんから、傷害罪が成立するにとどまります。
~ ちょっとした暴行でも傷害致死罪に! ~
これまでご説明してきたことからすると、傷害致死罪は、パターン1によっても成立する可能性があるということになります。
つまり、ちょっとした暴行でも、それによって相手方を死亡させ、その暴行と死亡との間に因果関係が認められる場合は、傷害致死罪に問われることがあるということです。
~ 傷害致死罪は裁判員裁判対象事件 ~
傷害致死罪は、一般人も裁判に参加する裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判対象事件で適切な事実認定、量刑をお求めの方は、ぜひ私選の弁護人選任もご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
監禁罪で執行猶予
監禁罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさん夫婦は愛知県瀨戸市に暮らしており、今年で30歳になる息子がいました。息子は、統合失調症を患っており、ときどき大声を上げ暴れることがあり、Xさん夫婦も手を挙げられ、怪我をすることがありました。ある日、夫婦警察から連絡があり、息子が暴れ、喧嘩をしているとのことで、警察署に息子を迎えに行ったことがありました。Aさん夫婦は、「今後も息子が外出中に暴れ、人様を傷つけてしまったら大変だ」と考え、息子を自宅の部屋に隔離し、部屋の外にカギを付け、息子の行動を管理するようにしました。息子はしばらくは、落ち着いて生活していましたが、1週間が経過したころ、息子が部屋の中で大声を出し暴れまわりました。その声を聞いた近所の人が警察に通報し、千葉県警千葉北警察署の警察官がやってきました。
警察官は、様子を見せてほしいと部屋の中に入り、息子の部屋の鍵を確認しました。そこで、Aさん夫婦は、監禁罪の疑いで警察から捜査を受けることになりました。
(フィクションです。)
~監禁罪~
監禁罪は刑法220条に規定されています。
刑法第二百二十条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
監禁罪とは、正当な理由なくして人の場所的移動の自由を奪う犯罪です。
監禁罪における「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにし、場所的移動の自由を不可能または困難にする行為です。
たとえば、部屋に鍵をかけて出られなくするなどが典型例ですが、車に乗せたうえで、本人が「降りたい」という意思を明確にしているにもかかわらず、降ろさない場合にも成立します。
ちなみに、監禁罪においては、「監禁」をどう定義付けするかという点で法律の解釈上の争いが存在します。
そもそも、監禁罪は、「人が移動することの自由」を保護するための法律であり、「人が移動することの自由」をどう考えるかという点で、大きく分けて2つの解釈が存在します。一つ目が、「可能的自由説」で、もう一つが「現実的自由説」といいます。前者は、移動の自由を最大限保護しようとするもので、もし人が移動したいと思った時その状況が阻止されていればそれで犯罪の成立を認めます。
他方で、後者の場合、実際に人が移動したいと思った時にその状況が阻止されていた時に限り犯罪の成立を認めます。
具体的に問題になる場面としては、たとえば、「人が寝ている最中に部屋の外から鍵をかけた場合に犯罪が成立するかどうか」といったシーンが想定されます。前者であれば寝ていたとしても、「起きて移動したいと思う可能性がある」ので、この場合にも犯罪は成立します。
他方、後者の場合、「実際は寝ていて移動したいと思わなかった」以上、犯罪は成立しません。
~執行猶予とは~
刑の執行猶予とは、有罪判決をして刑を言い渡すに当たって、情状により、その執行を一定期間猶予し、その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。刑の執行猶予には、大きく分けて「刑の全部の執行猶予の制度」と、「刑の一部の執行猶予の制度」の2種類があり、前者はさらに、「最初の執行猶予の制度」と「再度の執行猶予の制度」の2種類に分けられます。
最初の執行猶予(付き判決)を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり、最初の執行猶予(付き判決)を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
上記1について、監禁罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」ですから、情状によっては「3年以下の懲役」の判決を受ける可能性はあります。
次に、上記2については、まずは
・なんら前科のない人
・前科があっても罰金刑(実刑、執行猶予付きを含む)以下の前科を有する人
は含まれる、と考えてよいです。
Aさん夫婦が前科を有しなければ上記2の条件も満たします。
最後に、上記3について、情状は、、犯罪そのものに関する情状(犯情)とその他の一般情状に区別されます。
犯情とは、犯行動機・態様、被害結果などの要素があり、犯行た後ではいかんともしがたい事実です。
他方、一般情状については、犯行後でも、いくらでも有利に動かすことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をご検討中の方は弊所までお気軽にご相談ください。
脅迫罪で釈放
脅迫事件で釈放を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市内の大学に通うXさんは、学食で、当時交際していたVさんが見知らぬ男性と食事しているのをみかけました。Xさんは、そのことをVさんに問い詰めたところ、Vさんからは白を切られてしまいました。その日の夜、LINEでXさんは彼女に対し、「今度あの男と会ってやがったら本気でぶっ殺す。お前の家族もぶっ殺すからな。」とメッセージを送りました。彼女は、また暴力を振るわれるのではないかと不安になり守山警察署に駆け込んだところ、Xさんは、同警察署の警察官により、脅迫罪で通常逮捕されることになりました。
(フィクションです。)
~脅迫罪~
脅迫罪は,生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知(害悪の告知)して人を脅迫した場合に成立する犯罪です。
罰則は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。害悪の告知は,一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。ただし,本罪は危険犯と言われ,人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り,それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。また,害悪を告知する方法には制限はありません。近年では,事例のようにメール送信の他,SNS・ブログなどネット上への投稿で脅迫罪に問われた事例もあります。
~釈放の可能性~
脅迫罪の疑いで逮捕されると、その後勾留されることで逮捕から最長約23日間もの期間、身柄を拘束される可能性が出てきます。
こうした長期の身柄拘束が行われると、当然ながらその間会社や学校などに行くことはできなくなり、著しい不利益を被ることになりかねません。
刑事事件において、釈放されるタイミングはいくつかあります。
大きく分けると、①逮捕から勾留決定まで、②勾留決定から起訴時点まで、③起訴後の3つになります。
上記事例のケースにおいては、①の段階か、被害者の方との示談が成功すれば、②の段階での釈放も期待できます。
日本では勾留される確率が比較的高くなっており、①の段階での釈放を目指すのであれば、弁護士に事件を依頼し、弁護士から、勾留決定時までに加害者側の事情をまとめ勾留請求を行う検察官と、勾留決定を行う裁判官に対し、「意見書」を提出することが有用です。
他方、仮に「意見書」がうまくいかなかった場合にも、早急に被害者との示談を成立させることができれば、早期の身柄解放も期待できます。
身柄の拘束は、仕事や学校に行けないといった現実的な不利益はもとより、行動を管理、監視されているため、肉体的精神的な負担も小さくありません。もちろん、罪を犯してしまった場合には自業自得とも言えますが、必要以上の負担とならないよう身柄解放に向けて動くことも必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
脅迫罪と示談
名古屋市昭和区に住むAさんは,交際していた女性Vさんのスマートフォンに,LINEで「俺と復縁しなければ,お前の家焼き払うぞ」などとメールを送りました。Aさんは愛知県昭和警察署に脅迫罪で逮捕されました。Aさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 脅迫罪 ~
脅迫罪は刑法222条に規定されています。
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫したものは、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
害悪の告知は,一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。
ただし,本罪は危険犯と言われ,人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り,それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。
また,害悪を告知する方法には制限がありません。その程度に達しているかどうかは、その内容を四囲の状況に照らして判断すべきとされています。しかし、これが真意にでたこと(本当に家を焼き払う気があったか、など)、相手が現実に畏怖したことなどを必要とするものではありません。
害悪告知の手段には制限はありません。直接言葉で伝えることはもとより、文書の掲示、郵送、最近では、事例のようにメール送信の他,SNS・ブログなどネット上への投稿で脅迫罪に問われた例もあります。
~ 脅迫罪において示談を目指す理由 ~
脅迫行為を認める場合は,被害者に真摯に謝罪し,慰謝の措置を取ることが必要不可欠です。これが脅迫罪において示談を目指す一番の理由です。その他,脅迫罪において示談を目指す理由としては以下の点が挙げられます。
= 早期釈放が可能となる =
一般的に,示談意向=罪を認める=罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれはないと判断されやすくなり,早期釈放に繋がりやすくなります。
* 勾留中に略式命令が出た場合 *
脅迫罪には罰金刑が設けられていますから、勾留中に略式裁判を受け、罰金刑の略式命令を受ける、という事態も想定しえます。略式命令が出ると、その時点で勾留状の効力は失われますから、その時点で釈放されます。正式起訴されるか、略式起訴されるか微妙な場合は、略式起訴するよう積極的に検察官に訴えかける必要があります。
= 不起訴獲得が可能となる =
被疑者に有利な情状として考慮され,不起訴獲得の可能性が高くなります。被害者から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば,その可能性はさらに上がります。
= 執行猶予獲得が可能となる =
起訴され、仮に裁判になった場合でも、示談が成立していれば執行猶予獲得の可能性は高くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、脅迫罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
公務執行妨害罪の暴行
公務執行妨害罪の暴行について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します
名古屋市緑区に住むAさんは,緑警察署の警察官(最終的な人数5名)から職務質問を受けた際,警察官の言動に立腹し,脚元にあった石をパトカーに投げつけ,パトカーのフロントガラスにひびを入れました。そこでAさんは,公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。Aさんは,パトカーを壊しただけなのに,なぜ逮捕されなければならないのか納得がいってないようです。
(フィクションです)
~ 公務執行妨害罪(刑法95条1項) ~
公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するにあたり,これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
Aさんが納得していないのは,
1 石を直接,警察官にぶつけたわけではないのに公務執行妨害罪の「暴行」と言えるのか
2 石をパトカーに投げつけただけで,実際に,公務員の職務を「妨害」してないではないか
という点だと思います。以下,1,2につきご説明します。
~ 上記1(公務執行妨害罪の「暴行」とは) ~
刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが,その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。
① 最広義の暴行(例:騒乱罪(刑法106条))
有形力の行使すべてを含み,対象は人であっても物であってもよいとされています。
② 広義の暴行(例:強要罪(刑法223条))
人に対する有形力の行使をいいますが,直接暴行だけではなく,間接暴行も含むとされてます。
③ 狭義の暴行(例:暴行罪(刑法208条))
人の身体に対する有形力の行使をいいます。
④ 最狭義の暴行(例:強盗罪(刑法236条),事後強盗罪(238条),強制性交等罪(177条),強制わいせつ罪(刑法176条))
人の身体に対する有形力の行使で,人の反抗を抑圧するか,著しく困難にする程度のものとされています。
このうち,公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。直接暴行とは,人の身体に直接に有形力を加えることですが,間接暴行とは,物に対する有形力で,それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。すなわち,後者の場合,直接人の身体に暴行を加える必要はありません。Aさんの「パトカーに石を投げつけ,フロントガラスにひびを入れた」という行為もこの間接暴行に当たりそうです。
~ 上記2(公務執行妨害罪の「妨害」とは) ~
上の暴行の程度ですが,当然,職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが,それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。これは,公務執行妨害罪の目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。過去には,警備中の警察官に対する1回だけの命中しなかった投石行為につき公務執行妨害罪の成立を認めた判例(最判昭33年9月30日)があります。
Aさんの周囲には警察官が5名おり,しかも,パトカーに損害を加えただけで,実際に職務に当たる警察官には危害を加えていないから公務を「妨害」したというには違和感を感じます。しかし,それでも公務執行妨害罪が成立するおそれがありますから注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は,公務執行妨害罪等の刑事事件専門の法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。
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