Archive for the ‘財産犯・経済事件’ Category

業務上横領罪と時効

2021-06-01

業務上横領罪と時効

業務上横領罪時効について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説いたします。

~事例~

Aさんは、名古屋市北区にあるV社に勤務し、2020年12月末をもって定年退職した元会社員です。
Aは2006年からVのある支店の支店長をしていました。
しかし、2010年にギャンブルで損失を出したAさんは、2010年10月から2014年10月の約3年間、支店長として管理していたお金の内500万円を着服しました。
以上の着服はAさんが支店長として勤務している間は判明することはありませんでしたが、Aさんの退職後の調査でAさんの着服が判明しました。
そのため、V社は愛知県北警察署業務上横領罪の被害届を出しました。
業務上横領罪の被害届が出されたことを知ったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士事務所に相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)

~横領罪・業務上横領罪とは何か~

横領罪業務上横領罪は、刑法に定められている犯罪です。
刑法は横領罪と業務上横領罪について以下のように定めています。

刑法第252条 (横領)
第1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
刑法第253条 (業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

横領罪は、自分が占有している他人の物を横領する行為について成立する犯罪です。
また、業務上横領罪とは、上記の横領行為を業務として占有しているものに対して行った場合に成立します。

ここで、横領行為とは、「不法領得の意思の発現行為」を指すとされています。
そして、ここにいう不法領得の意思とは、「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思」をいいます。

この横領行為の具体的な例としては、費消、着服、持ち逃げなどの行為がこれに当たります。

本件についてみると、Aさんは自身が支店長として管理しているお金を着服しています。
まず、Aさんが着服したお金は、会社という他人のものであるお金を、支店長という業務上の地位で占有していたものですから、業務上横領罪の対象になります。
そして、Aさんはこの会社のお金を着服しており、不法領得の発現行為を行なっていると言えます。
そのため、Aさんには業務上横領罪が成立することになります。

~時効は成立するか~

しかし、Aさんの横領行為は最近のものでもおよそ6年から7年前ですが時効は成立していないのでしょうか。

一般的に言われる時効とは、公訴時効のことを指します。
そして、その公訴時効は、刑事訴訟法において以下のように定められています。

刑事訴訟法第250条 
第1項 時効は、人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによって完成する。
1 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
2 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
3 前2号に掲げる罪以外の罪については10年
第2項 時効は、人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによって完成する。
1 死刑に当たる罪については25年
2 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
3 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
4 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
5 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
6 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
7 拘留又は科料に当たる罪については1年

この公訴時効は、事件が起きた日から検察官が起訴するまでの時間を制限する規定です。
この事件が起きた日とは、事件の行為ごとに考えられるものです。
つまり、業務上横領行為を別日に分けて複数回行っていたというような場合には、1回目に業務上横領行為をしたときと2回目に業務上横領行為をしたときの公訴時効はずれてくることになります。

本件についてみてみましょう。
本件においてAさんが行った業務上横領罪は、人を死亡させてはいない罪で、かつ、長期10年の懲役が定められている犯罪です。
そのため、本件では250条2項4号に該当し、本件の時効は7年になります。
ですから、Aさんの最初の横領行為は7年以上経過しています。
他方で少なくとも最後の横領行為は、7年は経過しておりませんので公訴時効が成立しないことになります。
つまり、Aさんは少なくとも最後に行った業務上横領行為では起訴される可能性があることになります。

こうした時効の計算などは、専門的な知識も必要になりますので、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが、24時間体制で無料法律相談・初回接見サービスお問い合わせを受け付けております。

愛知県東郷町の窃盗事件で刑事事件化

2021-05-18

愛知県東郷町の窃盗事件で刑事事件化

愛知県東郷町窃盗事件刑事事件化した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県東郷町内において、飲料メーカーの社員を名乗り、自動販売機内を点検するという名目でV1さん・V2さん・V3さんが管理する自動販売機3台(三人がそれぞれ所有)を開けさせ、現金を盗む窃盗行為を繰り返し行いました。
窃盗行為によって得た金額は合計100万円に及びました。
愛知県愛知警察署の捜査により、窃盗事件の被疑者がAさんであることが判明し、Aさんは窃盗罪の容疑で任意の取調べを受けています。
Aさんは、愛知県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【窃盗罪とは】

他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

窃盗罪における「窃取」とは、財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、自己又は第三者の占有に移すことをいいます(占有とは物に対する事実上の支配を指します)。
ここで、窃盗罪における「窃取」には「窃」という漢字が使われているため、「ひそかに」の意味を持つとも思われます。
しかし、必ずしも占有侵害行為がひそかに行われることを必要とせず、公然と占有侵害行為が行われても窃盗罪における「窃取」に該当することになると考えられています。

刑事事件例において、AさんはV1さんらに自動販売機を開けさせるという手口を使っており、窃盗罪の犯行態様としては必ずしも「ひそかに」行われているものとはいえませんが、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当することになります。

【窃盗罪と詐欺罪】

ところで、AさんはV1さんらに対して飲料メーカーの社員であると偽ってV1さんらに自動販売機を開けさせ、その結果現金を獲得しています。
このように一見するとV1さんらを欺く行為があり、Aさんには窃盗罪ではなく、詐欺罪が成立するのではないかとも思われます。

詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させた」場合、すなわち①欺く行為・②錯誤・③処分行為・④交付行為という一連の行為が連鎖した場合に成立します(刑法246条)。
そして、詐欺罪における処分行為には、主観的要件として財産を処分する意思が必要であり、客観的要件として財物の占有が終局的に移転したことが必要であるとされています。

刑事事件例を見てみると、確かにAさんはV1さんらに対して飲料メーカーの社員であり、自動販売機内を点検すると偽ってV1さんらに自動販売機を開けさせています。
しかし、V1さんらが現金を終局的にAさんに移転させたという詐欺罪における処分行為に該当するような事実はありません。
また、V1さんらにはAさんに対して現金を交付する意思はなかったと考えられます。
よって、今回の事例においては、Aさんには詐欺罪は成立せず、窃盗罪が成立すると考えられます。

刑事事件例における特徴は、窃盗事件の被害者がV1さん・V2さん・V3さんと複数いることです。
Aさんが窃盗罪で起訴されるのを回避したり、刑罰を軽減させたりするためには、窃盗事件被害者と示談を締結することが非常に有効となりますが、窃盗罪の被害者が複数いる場合には、各被害者とそれぞれに示談を締結する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
被害者が複数いる窃盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県東郷町窃盗事件刑事事件化した場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県半田市の詐欺未遂事件で逮捕

2021-05-04

愛知県半田市の詐欺未遂事件で逮捕

愛知県半田市詐欺未遂事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県半田市に住む男性(Vさん)に警察官や銀行員を名乗り、「Vさんの通帳とキャッシュカードはもう使えなくなったため、新しいものを作り直す必要がある」などと電話をかけ、通帳とキャッシュカードを騙し取ろうとしました。
その後、Vさんが不審に思い、愛知県半田警察署へ通報しました。
駆け付けた警察官が不審な様子のAさんを発見し、事情を聴いたところ詐欺未遂行為が判明したため、Aさんは詐欺未遂罪の容疑で逮捕されました。
詐欺未遂罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県半田市に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【詐欺未遂罪とは】

人を欺いて財物を交付させた者」には、詐欺罪が成立します(刑法246条)。
詐欺罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役です。
詐欺罪の未遂は、詐欺未遂罪として罰されます(刑法250条)。

詐欺罪は、①詐欺行為者の欺く行為、②被害者の錯誤、③被害者の交付行為、④詐欺行為者の財物の取得という一連の行為により成立します。
そして、詐欺未遂罪は、①欺く行為を行ったものの、結果として財物を取得することができなかった場合に成立します。

詐欺罪詐欺未遂罪における欺く行為とは、相手が真実を知っていれば財物の交付行為を行わないといえるような重要な事実を偽ることをいいます。

刑事事件例において、AさんはVさんに対し、「Vさんの通帳とキャッシュカードはもう使えなくなったため、新しいものを作り直す必要がある」と伝えていますが、これは全くの偽りの情報です。
Vさんが自身の通帳とキャッシュカードが使用できなくなったということはウソであると知っていれば、VさんがAさんに対して通帳とキャッシュカードを交付することはなかったと考えられます。
よって、ここに詐欺罪詐欺未遂罪における「欺く行為」があったと考えられます。

そして、Aさんは詐欺罪詐欺未遂罪における「欺く行為」を行ったものの、Vさんから通帳とキャッシュカードを受け取る前に、愛知県警半田警察署の警察官により逮捕されています。

よって、Aさんには詐欺罪ではなく、詐欺未遂罪が成立すると考えられます。

【詐欺未遂罪と執行猶予】

平成30年の検察統計を見てみると、詐欺罪詐欺未遂罪は他の刑法犯と比較して起訴される確率が高いといえます。
もしAさんが詐欺未遂罪により起訴された場合、無罪判決を獲得する場合を除いて、10年以下の懲役を宣告されることになります。

ただし、裁判所の量刑判断により、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
ある詐欺未遂罪の刑事事件例において、懲役1年6か月・執行猶予3年というような執行猶予付き判決を獲得した事例もあります。

執行猶予付き判決を獲得するためには、執行猶予付き判決を得るに値する事実を裁判所に主張していく必要があります。
例えば、詐欺未遂罪に該当する行為の態様や詐欺未遂事件を起こした動機が悪質でないことや詐欺未遂行為によって発生した被害が甚大とはいえないことなどが挙げられると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
詐欺未遂罪のような財産犯を犯した方の刑事弁護活動を行った実績のある経験豊富な刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県半田市詐欺未遂事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県刈谷市の偽造通貨行使事件で逮捕

2021-04-30

愛知県刈谷市の偽造通貨行使事件で逮捕

愛知県刈谷市通貨偽造行使事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、フリーマーケットのアプリにバイクを出品していたVさんに、代金として偽の1万円札13枚を渡したとして、偽造通貨行使罪の容疑で、愛知県警刈谷警察署に逮捕されました。
Aさんが自ら偽札を作っていた可能性もあり、愛知県警刈谷警察署によりAさん所有のパソコンなどを解析されています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県刈谷市に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【偽造通貨行使罪とは】

偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者」には、偽造通貨行使罪が成立します(刑法148条2項)。
偽造通貨行使罪の法律に定められた刑(法定刑)は、無期又は3年以上の懲役です(刑法148条1項参照)。

偽造通貨行使罪における「偽造」とは、通貨発行の権限のない者が通貨に似た(真貨と誤信させるような)外観のものを作成することをいいます。
また、偽造通貨行使罪における「変造」とは、通貨発行の権限のない者が真正な通貨を加工して通貨に似た外観のものを作成することをいいます。

偽造通貨行使罪は、上記の「偽造」・「変造」行為によって作成された「貨幣、紙幣又は銀行券」を「行使」することを罰する罪です。
注意すべき点は、誰が偽貨を作成したかは問われないということです。
すなわち、通貨を偽造・変造した者が実際に偽造・変造通貨を行使する必要はありません。

そして、偽造通貨行使罪における「行使」とは、偽貨を真正な通貨として流通に置くことをいいます。
具体的には、売買代金や債務弁済に使用することなどが挙げられます。

刑事事件例において、Aさんは、フリーマーケットのアプリにバイクを出品していたVさんに、売買代金として偽の1万円札13枚を渡しています。
ここに、偽造通貨行使罪における「行使」があったといえると考えられます。

よって、Aさんには偽造通貨行使罪が成立すると考えられます。
前述したように、たとえAさんが偽の1万円を作成していなくても、Aさんに偽造通貨行使罪が成立することには何ら変わりません。

なお、愛知県警刈谷警察署の警察官は、Aさんが自ら偽札を作っていた可能性があるとしてAさん所有のパソコンなどを解析しています。
仮にAさんに通貨偽造罪(刑法148条1項)が成立する場合、通貨偽造罪偽造通貨行使罪は牽連犯という関係にあるため、刑法54条により通貨偽造罪偽造通貨行使罪を科刑上一罪と扱う結果、Aさんには無期又は3年以上の懲役が宣告され得ることになります。

【偽造通貨行使罪と逮捕・勾留】

Aさんは偽造通貨行使罪の容疑で逮捕されていますが、検察官や裁判官がAさんに偽造通貨行使罪にかかる罪証の隠滅や逃亡のおそれがあると判断した場合、最大20日間に及ぶ勾留がなされる可能性があります。

Aさんの勾留を阻止するためには、上記の罪証隠滅をするおそれや逃亡のおそれがないことを検察官や裁判官に主張していく必要があります。

刑事事件例においては、通貨の偽造に使われた可能性のあるAさん所有のパソコンを押収されたことや、偽造通貨行使罪の犯行に使われたフリーマーケットアプリの入ったスマートフォンが捜索・差押えされていると考えられることを主張することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
偽造通貨行使罪のような社会的法益に対する犯罪を犯した方の刑事弁護活動を行った実績のある刑事弁護士も在籍しております。
愛知県刈谷市通貨偽造行使事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県高浜市の恐喝事件で逮捕

2021-04-27

愛知県高浜市の恐喝事件で逮捕

愛知県高浜市恐喝事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(男性)とBさん(女性)は、愛知県高浜市内でVさんに対して盗撮されたことを受けて、現金100万円を脅し取ったとして、愛知県高浜警察署の警察官に恐喝罪の容疑で逮捕されました。
AさんはVさんに対して「俺の女を盗撮しただろ」「今日中に示談100万円を用意できないなら、警察に行く」などと真に盗撮の被害を申し出る意思がないにも関わらず脅し、現金100万円を脅し取りました。
二人は婚姻関係にあり、盗撮されやすいようにBさんにミニスカートをはかせて愛知県高浜市内の商業施設を訪れていました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県高浜市に対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【恐喝罪とは】

人を恐喝して財物を交付させた者」には、恐喝罪が成立します(刑法249条)。
恐喝罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役です。

恐喝罪における「恐喝」とは、相手方に対して、その反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫又は暴行を加え、財物交付を要求することをいいます。
そして、恐喝罪における脅迫とは、相手方を畏怖させるような害悪の告知をいいます。

恐喝罪の脅迫における害悪の告知は、それ自体が違法である必要はありません。
たとえその害悪の告知が適法なものであっても、真実権利を行使する意思がなく、相手方を畏怖させる目的であるときは脅迫にあたるとされています。
すなわち、適法な権利行為の告知であっても、それが権利濫用であると考えられる場合、その告知は恐喝罪の脅迫にあたると考えられます。

刑事事件例において、AさんがVさんに告知したのは、警察への被害届の提出ないし告訴という適法行為ですが、Aさんには真に盗撮の被害を申し出る意思がなく、単にVさんを脅す目的しかなかったと考えられる(すなわち権利濫用であると考えられる)ため、Aさんの行為は恐喝罪における脅迫に該当すると考えられます。

よって、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられます。

【恐喝罪と起訴・量刑】

平成30年の法務省の統計によると、恐喝罪で起訴された刑事事件は、恐喝事件として捜査された刑事事件のうち約30%を占めています。
しかし、恐喝罪でいったん起訴されると、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役であるため、執行猶予付き判決を獲得できない限り、刑務所に収容される懲役刑が宣告されることになります。

そして、同様の刑事事件例を見てみると、起訴された恐喝事件において執行猶予付き判決を獲得できるか否かは、被害者との示談締結により大きく左右されていることが分かります。

示談締結には被害者の処罰感情も考慮しつつ、被疑者・被告人に利益となるような条件を引き出す必要があり、刑事弁護士による刑事弁護には、多数の刑事事件を取り扱ったという経験とそこから得られたノウハウが重要となると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
恐喝罪のような犯罪を犯した方の刑事弁護活動を行った実績のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県高浜市恐喝事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県岡崎市内の窃盗事件で逮捕

2021-04-23

愛知県岡崎市内の窃盗事件で逮捕

愛知県岡崎市内の窃盗事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県岡崎市のVさんが所有する畑で、畑から野菜(時価総額3000円相当)を盗みました。
Vさんが畑内にいる男を見つけて110番通報しました。
愛知県警岡崎警察署の警察官が駆け付けたとき、Aさんは所持していた鞄の中に野菜を所持しており、当初は「よそからもらった」と否定していましたが、愛知県警岡崎警察署の警察官が「雨でぬれた跡や泥が付いている」と問いただすと、Aさんは窃盗罪の容疑を認めました。
Aさんは、愛知県警岡崎警察署の警察官の取調べに対し、「お金がなく、食べたかった」と供述しています。
窃盗罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県岡崎市に対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【窃盗罪とは】

他人の財物を窃取した者」には、窃盗罪が成立します(刑法235条)。
窃盗罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

刑事事件例における野菜はVさんが所有していたことは明らかであるため、窃盗罪における「他人の財物」に該当することに争いはありません。

また、窃盗罪における「窃取」とは、占有(物に対する事実上の支配)者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。
そして、上記占有があるというためには、主観的な占有の意思を持ち、かつ客観的に他人が占有している状態にあるといえる必要があります。

刑事事件例において、Vさんは窃取された野菜を自分の手で所持していたわけではありません。
それでも、Vさんが自身が所有している畑において育てている野菜はVさんの占有下にあったといえるのでしょうか。

この点、最高裁判所は昭和32年3月31日の判決において、「刑法上の占有は人が物を実力的に支配する関係」であるが、「必ずしも物の現実の所持又は監視を必要とするものではなく、物が占有者の支配力の及ぶ場所に存在するを以て足りると解すべきである」と判示しています。

上述の通り、刑事事件例におけるVさん所有の畑において育てている野菜はVさんが手に持って直接所持していたわけではありません。
しかし、Vさんはどこでどんな種類の野菜を育てているかを把握することができました。
また、Vさん自身は畑内に自由に出入りすることができました。
そのため、必ずしも野菜の現実の所持又は監視をしているわけではありませんが、野菜はVさんの支配力が及ぶ場所に存在していたといえます。
よって、AさんはVさんの意思に反して野菜に対するVさんの占有を排除し、野菜を自己の占有に移したといえ、Aさんの行為は窃盗罪における「窃取」に該当するといえます。

以上より、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。

【窃盗罪と起訴・不起訴】

窃盗罪の容疑で逮捕された場合、Aさんは検察官により刑事裁判に起訴される可能性があります。

平成30年の法務省統計によると、窃盗罪の起訴率は41.1%であり、全犯罪の平均起訴率である32.8%よりも高い数字となっております。
そして、いったん起訴されると、日本の刑事裁判における有罪率は約99%と、起訴されたほとんどすべての刑事事件で有罪判決が宣告されることになります。

そのため、窃盗罪で有罪となるのを防ぐためには、起訴される前の段階である検察官調べが行われている間に、刑事弁護士による検察官へ不起訴となるよう働きかける必要があります(もっとも、不起訴処分を獲得したとしても本件公訴事実につき訴追をしなかったという意味にとどまる=犯罪をした事実がなくなったり無罪になったりするわけではないことに留意が必要です)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗罪のような財産犯事件において、不起訴処分を獲得した実績を持つ刑事事件に強い刑事弁護士が多数在籍しています。

愛知県岡崎市内の窃盗事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)で逮捕

2021-03-16

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)で逮捕

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県豊田市に住むAさんは、夜間、同市内にあるV神社の社務所に侵入し、現金約10万円(全て硬貨)を所持していたバッグに盗み入れました。
しかし、社務所から出ていくときに巡回中の警備員に見つかり、その場で確保され、警察に通報されました。
その後、Aさんは、愛知県豊田警察署の警察官により、建造物侵入・窃盗罪の容疑(賽銭泥棒)逮捕されました。
(2021年1月3日に東海テレビに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【建造物侵入罪とは】

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する(刑法130条)

建造物侵入罪は、「人の看守する邸宅」を客体とする犯罪です。
建造物侵入罪の「人の看守する邸宅」とは、「人の住居」と「人の看守する」「艦船」を除いた建造物をいいます。
刑事事件例のV神社の社務所は、もちろん「人の住居」と「人の看守する」「艦船」ではないため、建造物侵入罪の「人の看守する邸宅」に該当します。

また、建造物侵入罪の「侵入」とは、管理権者の意思に反して建造物に立ち入ることをいいます。
管理権者の意思とは誰を立ち入らせるかという自由な決定のことを意味します。
例えば、管理権者がある者を建物内に「入れたくない」と考えていたにも関わらず、その意思に反して建造物内に立ち入った場合、その立入行為は建造物侵入罪の「侵入」に該当することになります。

刑事事件例でいえば、V神社の管理権者に「賽銭泥棒をする目的がある者」を立ち入らせる意思があったとは考えられません。
よって、Aさんの立入りは建造物侵入罪の「侵入」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには、建造物侵入罪が成立すると考えられます。

【窃盗罪とは】

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(刑法235条)

窃盗罪の「窃取」とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己の意思に反して自己の占有に移転させる行為をいいます。
窃盗罪の「占有」という用語は事実上の支配と理解することができます。
このように窃盗罪が所有ではなく占有を保護するのは、現に財産が占有されている状態を尊重するためです。

また、この窃盗罪に該当する「窃取」行為が完了した時期については、財物の大小、搬出の容易性、窃取行為の態様などを考慮して判断されます。

刑事事件例では、現金約10万円(全て硬貨)を無断で所持していたバッグに移し入れています。
この現金は全て硬貨であったとはいえ、持ち運びは比較的容易であったといえます。
そして、Aさんはこの現金をリュックに移しており、ここに占有の侵害・移転があったといえます。
よって、Aさんの行為は窃盗罪の「窃取」(刑法235条)に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには賽銭泥棒窃盗罪が成立すると考えられます。

【建造物侵入・窃盗事件の刑事弁護活動】

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒事件)の刑事弁護活動の代表例としては示談交渉が挙げられます。
示談では被害者の方の処罰感情を十分考慮しつつ、被害者の方への正式な謝罪と被害の弁償を行います。
示談交渉の結果次第では、「加害者を許す」「処分は検察官に委ねる」といった宥恕文言の入った示談書を締結することもできると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

窃盗と微罪処分

2021-01-28

微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、スーパーで万引きし、警察官に事情を聴かれることになりました。Aさんから依頼を受けた弁護士は、微罪処分獲得に向けてお店側と示談交渉を始めました。
(フィクションです)

~微罪処分とは~

微罪処分とは、警察が事件を検察庁を送致せず、被疑者への厳重注意、訓戒等で終了させる手続きのことをいいます。本来、警察が立件した事件は警察→検察へと送致することが基本です(刑事訴訟法246条本文)。しかし、「検察官が指定した事件」については例外的に送致する必要がありません(刑事訴訟法246条但書)。

~微罪処分の対象事件と対象基準 ~

あくまで微罪処分は例外措置ですから、どんな事件でも対象となるわけではありません。微罪処分の対象事件については、各都道府県で異なるとも思われますが、通常、窃盗罪、横領罪、占有離脱物横領罪、暴行罪などは対象とされていることと思います。なお、万引きは窃盗罪に当たりますから、万引きは微罪処分の対象事件ということになります。

しかし、微罪処分の対象事件だからといってすべての事件が微罪処分となるわけではありません。概ね以下の基準を満たす必要があります。
1 犯罪事実(犯情)が極めて軽微か
→窃盗罪、横領罪であれば被害額が2万円以下、暴行罪であれば凶器を使用していないことが基準となります。よって、同じ万引きであっても、被害額が2万円を超える万引きについては微罪処分の対象とはなり得ません。
2 被害弁償、示談ができているか
3 被害者が処罰を望んでいないか
4 前科、前歴がないか

微罪処分を決するのは検察庁や裁判所でもなく警察です。警察の犯罪捜査に関する規範について定めた犯罪捜査規範198条には次のようにかかれています。

捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ検察官から送致の手続きをとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる

ただし、警察の自由裁量で何から何まで微罪処分にできるものではありません。ここに書かれてあるとおり、犯罪事実が軽微であり、検察官から送致の手続きをとる必要がないとあらかじめ指定されたもの、である必要があるのです。

~微罪処分とした場合の流れ、手続き~

では、警察がある万引き事件を微罪処分としたとしましょう。その後はどのような流れ、手続きになるのでしょうか?この点、まず、犯罪捜査規範200条をみると、微罪処分により事件を送致しない場合は次の処置を取るものとされています。

1号 被疑者に対し、厳重に訓戒を加えて、将来を戒めること
2号 親権者、雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し、将来の監督につき必要な注意を与えて、その請書を微すること
3号 被疑者に対し、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと

これからすれば、微罪処分となったとしても、少なくとも1回は警察署まで出頭する必要があるでしょう。また、同時に被疑者を監督すべき方も同様です。
そして、警察は、これらの処置が終わると、被疑者の氏名、年令、職業及び住居、罪名並びに犯罪事実の要旨(以下、氏名等といいます)を記載した微罪処分事件報告書によって、検察官に事件の報告をします(犯罪捜査規範199条)。報告書1枚につき4、5名ほど、同じように微罪処分となった方の氏名等が記載されています。この報告の手続は刑事訴訟法246条本文にかかれてある「事件の送致」ではありませんから、この報告書に証拠書類や証拠物は付けられていません。また、「事件が送致」された場合と異なり、検察庁から呼び出しを受けることはありません。要は、警察署で警察官から厳しい御咎めを受けて終わりということになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

占有離脱物横領と被害弁償

2021-01-15

占有離脱物横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市南区に住むAさんはJRに乗車していた際、座席に置かれていた財布(Vさん所有)を見つけました。Aさんはしばらくそのままにしていましたが、誰も取りに来る様子がなく、周りに人もいなさそうだったことから、置き忘れ「自分のものにしてしまえ」と思い、その財布を手に持ったまま電車から降り降車駅を降りました。ところが、後日、Aさんは南警察署の警察官から占有離脱物横領罪の疑いをかけられ、警察署まで出頭するよう呼び出しを受けてしまいました。AさんがVさんの財布のようなものを手に持っている防犯ビデオ映像、Vさんが財布を取りに帰った時間と同映像に記録された時間との近接性などからAさんが犯人だと疑われたようです。Aさんは事実を認め、被害者に被害弁償したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 占有離脱物横領罪 ~

占有離脱物横領罪は刑法254条に規定されています。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「遺失物」も「漂流物」も「その他占有を離れた他人の物(占有離脱物)」の例示です。
そして、「その他占有を離れた他人の物」とは、その物(本件でいえば財布)の持ち主の元(占有)から離れたものをいいます。
「横領」とは、簡単にいうと自分のものにすることです。

では、本件の電車の座席に置かれていた財布は、「持ち主の元から離れたもの」すなわち「占有離脱物」と言えるのでしょうか?
この点、Vさんの占有が及んでいない場合は占有離脱物といえますが、占有が及んでいる場合は「他人の物」として窃盗罪(刑法235条)の客体となります。

そして、財物に対して占有が及んでいるかどうかは、主として①支配の事実と②支配の意思によって判断されます。
例えば、財布をその持ち主が実際に手に持っているという場合には、①支配の事実が明白であり、占有が及んでいると認められるでしょう。
しかしながら、持ち主が財物を実際に手に持っていないという場合でも、例えば、マンションの自転車置き場に自分の自転車を置いているという場合には、実際に手に持っている場合に比べて①支配の事実が弱いとはいえ、自分の物として自転車置き場に置く意思があると考えられますので、②支配の意思があり、占有が及んでいると認められるでしょう。

なお、本件のような置き忘れの事案については、占有を認めたものもあれば、占有を認めなかったものもあります。
占有を認めた例としては、バス待ちの行列の中でカメラを置き忘れた者が約5分後に約20メートル離れたところで気づいて引き返したという場合、公園のベンチにポシェットを置き忘れた者が約27メートル離れた時点で持ち去られたという場合などがあります。
他方、占有を認めなかった例としては、スーパーマーケットの6回ベンチに財布を置き忘れた者が約10分後に地下1階に移動した時点で置き忘れに気づいて引き返したという場合があります。
これらのケースを見ると、置き忘れた時点と置き忘れに気づいた時点との時間的・距離的な離隔が小さい場合には占有が認められ、逆に離隔が大きい場合には占有が認められないという傾向にあるといえそうです。

いずれにしても、被害者の占有が及んでいるかどうかは、

・被害者が置き忘れに気づいたのかどうか
・気づいたとしてどのタイミングか(置き忘れてからの時間的間隔、場所的距離)
・物の特性

などを総合的に考慮して決せられます。

~ 被害弁償 ~

占有離脱物横領罪のような財産犯では、まず何よりも被害者に真摯に謝罪した上で被害者弁償し、示談を締結させることが不起訴処分獲得に繋がりやすくなります。
ただし、当事者同士で謝罪の意を示したり、被害弁償の手続きを進めたり、示談交渉することはなかなか難しいでしょう。
そこで、弁護士が当事者の間に入って示談交渉などを進めてまいります。
お困りの方は弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

詐欺罪で初回接見

2021-01-10

詐欺罪と初回接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市緑区に住むAさんは、友人のBさんからの紹介でとあるバイトをすることになりました。そのバイトとは、とあるアパートの一室でレターパックを受け取り、その中に入っている現金を指定された口座に入金するというものでした。内容と報酬の高さから詐欺であることに気づいたAさんでしたが、生活に困っていたことから仕方なくそのバイトに手を出しました。後日、被害に遭ったVさんが警察に相談したことで事件が発覚し、Aさんは詐欺罪の疑いで緑警察署に逮捕されました。逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、すぐに弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~詐欺罪について~

詐欺罪は、他人を欺いて財産を交付させた場合に成立する可能性がある罪です。
相手方の正常な判断能力を害する点に特徴があり、積極的に嘘をつくなどした場合のみならず、告げるべきことを告げなかった場合にも成立する余地があります。
たとえば、買い物の会計で渡されたお釣りが多いと気づいたにもかかわらず、そのことを伝えずにお釣りを受け取った場合、詐欺罪に当たる可能性があります。

振り込め詐欺に代表されるように、詐欺罪は複数名が行為を部分的に担当して遂げるケースがよく見られます。
詐欺罪が成立するのは、①欺く行為、②相手方の錯誤、③錯誤に基づく財産の交付、④財産の移転という各過程を辿る場合です。
振り込め詐欺を例に挙げると、電話を掛けて欺く役、被害者から現金を受け取る役、受け取った現金を特定の口座に入金する役、というような役割分担が行われることが多いのです。

このように各々が行った行為は部分的であっても、基本的には関与者全員に詐欺罪の成立が認められます。
上記事例のAさんは、レターパックを受け取り、中の現金を特定の口座に入金していたに過ぎません。
ですが、こうした行為が詐欺の一環として行われていたのであれば、詐欺に当たる他の行為についても責任があるものとして扱われます。
そして、Aさんが詐欺だと気づいていた以上、詐欺の故意も認められ、詐欺罪は成立すると考えられます。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり、役割の軽重を問わず罰金刑になる余地はありません。
ですので、ひとたび詐欺罪で有罪となれば、その刑は厳しいものになることが見込まれるでしょう。

~初回接見の重要性~

弁護士は、拘束中の被疑者・被告人と立会人なくしていつでも接見(面会)を行うことができます。
弁護士以外の者による接見には、警察署職員の立会いと日時の指定が必ず付きまといます。
ですので、弁護士による接見は自由度が高く、被疑者・被告人にとって大きな助けになる存在と言えます。

被疑者または弁護士が行う1回目の接見のこと初回接見と呼びます。
この「初回接見」という言葉には、何度かある接見のうち1回目という意味以上に重要な意味が込められています。
被疑者・被告人にとっての初回接見は、今後の流れや捜査への対処法を学んだり、弁護士をつけるべきか判断したりするうえで非常に重要な機会です。
同時に、被疑者・被告人の周囲の者にとっては、事件の詳細や被疑者・被告人が置かれている状況を把握するための唯一の手段と言って差支えありません。
また、弁護士としても、事件を依頼された場合にどう動くべきかを決める判断材料となります。
以上の点から、初回接見は被疑者・被告人とその関係者全員に影響を及ぼす重要な弁護活動と言え、実務上もその機会が尊重されることが多いです。
初回接見の重要性に鑑み、逮捕の知らせを受けたら一刻も早く弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、最短でお申込み直後、遅くとも24時間以内に初回接見に向かいます。
ご家族などが詐欺罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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