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愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい
愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい
愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市熱田区内のV解体工事会社に解体工事現場の責任者として勤務していた間、愛知県名古屋市熱田内の解体工事現場で管理していた鉄くずなどをリサイクル業者に約10万円で売却したとして愛知県熱田警察署の警察官により業務上横領罪の容疑で逮捕されました。
本件業務上横領事件は、V解体工事会社が契約した業者が回収に訪れた際に鉄くずなどがないことに気付き、V解体工事会社関係者が愛知県熱田警察署の警察官に業務上横領事件の被害を届け出たことにより発覚しました。
業務上横領罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市熱田区に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)
【業務上横領罪とは】
「業務上自己の占有する他人の物を横領した者」には、業務上横領罪が成立します(刑法253条)。
業務上横領罪の法律に定められた刑(法定刑)は、10年以下の懲役です。
業務上横領罪における「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務をいいます。
そして業務上横領罪における「業務」は、他人の物を占有保管することを内容とするものでなければならないと考えられています。
刑事事件例において、AさんはV解体工事会社に勤務する解体工事現場の責任者として鉄くずなどを管理する業務を担っていました。
この業務はV解体工事会社の鉄くずなどという他人の物を占有保管することを内容とし、解体工事現場の責任者として社会生活上の地位に基づき反復継続して行われていたものといえます。
よって、Aさんの業務は業務上横領罪における「業務」に該当すると考えられます。
また、業務上横領罪における「占有」とは、濫用のおそれのある支配力であると考えられています。
刑事事件例において、Aさんは濫用のおそれのある物に対する事実的な支配を有していたといえます。
よって、Aさんには業務上横領罪における「占有」があったと考えられます。
さらに、業務上横領罪における「他人の物」とは、他人の所有に属する物をいいます。
そして、業務上横領罪における「他人」とは、法人である場合を含みます。
刑事事件例においては、上述のように、V解体工事会社の鉄くずなどは他人の所有に属する物です。
よって、V解体工事会社の鉄くずは業務上横領罪における「他人の物」に該当すると考えられます。
最後に、業務上横領罪における「横領」とは、自己の占有する他人の物を不法に領得することをいうと考えられています。
刑事事件例において、Aさんは鉄くずをV解体工事会社に無断で売却しています。
ここに自己の占有する他人の物たる鉄くずなどを不法に領得する行為があったと考えられます。
よって、Aさんの行為は業務上横領罪における「横領」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには業務上横領罪が成立すると考えられます。
【業務上横領罪と示談】
刑事事件例では、Aさんが業務上横領行為を行ったことによりV解体工事会社に鉄くずなどの売買代金相当額の損害が生じています。
刑事弁護士としては、業務上横領事件の被害者の方(V解体工事会社)への損害の賠償や正式な謝罪をするという示談交渉ができると考えられます。
業務上横領事件の被害者の方との示談交渉の結果次第では業務上横領事件を捜査する検察官に対して寛大な処分をするよう効果的に求めることができると考えられます
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
業務上横領罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市熱田区の業務上横領事件で示談したい場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
住居侵入罪による少年事件の流れ
住居侵入罪による少年事件の流れ
住居侵入罪による少年事件の流れについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県名古屋市名東区に住むAさん(17歳)は,近所にあるBマンションの敷地内において鍵を拾いました。
その1週間後,深夜,Aさんは,興味本位でBマンション全室を1部屋ずつ試し,Vさん(24歳)が居住する部屋に入りました。
しかし,Aさんが立ち入る音に気付いたVさんに110番通報をされ,Aさんは愛知県名東警察署の警察官に住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
Aさんとその両親は,Aさんがどうなるのかと心配しています。
(2021年3月16日にHBC北海道ニュースに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【少年事件とは】
少年事件は,捜査対象者が,20歳に満たない少年・少女である事件のことをいいます(少年法2条)。
少年事件には少年法が適用されます。
そのため,20歳以上の成人(少年法2条)の刑事事件とは手続きや処分に大きな違いが生じます。
【少年事件の流れ①】
以下では,少年事件の流れについて説明します。
上述したように,少年事件には少年法が適用されることから,少年事件は,成人の刑事事件とは手続きや処分に大きな違いが生じますが,捜査の段階では,被疑者の方が少年であっても,基本的には成人の刑事事件と同じ刑事訴訟法が適用され,一部につき特則という形で少年事件独自の手続や処分が取られます。
まず,警察官は,被疑者の方(少年)を逮捕した後,48時間以内に,検察官に被疑者(少年)の身柄を送ります(刑事訴訟法203条1項)。
ただし,警察官が「留置の必要がない」と判断したときは,被疑者(少年)は釈放されます。
次に,警察官から被疑者(少年)の身柄を受け取った検察官は,24時間以内に,勾留の請求をするかどうかを判断します。
勾留とは,いわば逮捕の延長であり,証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがある場合,住所不定の場合になされます(刑事訴訟法207条,60条1項)。
勾留の決定がなされた場合,被疑者(少年)は,検察官が勾留の請求をした日から起算して最長で20日間,身体拘束を受けることになります。
少年事件では,「検察官は,やむを得ない場合でなければ,勾留を請求することはできない」(少年法43条3項)とされ,法文上は,勾留の要件が厳格になっています。
また,少年事件では,勾留に代わる観護措置(少年法43条1項)や,勾留場所を少年鑑別所とすること(少年法48条2項)ができると規定されています。
【少年事件の流れ②】
少年事件に特有の手続き・処分は,少年事件が家庭裁判所に送られた後に多く見られます。
まず,少年事件については,捜査機関(警察官・検察官)が捜査を遂げた後,捜査の嫌疑があると判断した場合,全ての少年事件が家庭裁判所に送られることになります(少年法41条,42条)。
次に,家庭裁判所は,少年が家庭裁判所に到着してから24時間以内に,少年鑑別所での観護措置をとるかどうかを判断します(少年法17条2項)。
少年鑑別所での観護措置とは,少年の処分を決定するために,少年の性格や資質,精神状態,生活環境などを調査する手続き,およびそのための身体拘束をいいます。
少年鑑別所での観護措置は,4週間に及ぶことが多いですが,最長で8週間に及ぶこともあります(少年法17条1項3号)。
少年鑑別所での観護措置がとられる要件は,少年の調査等を円滑・確実に行うために,少年の身体を確保する必要性があることや,少年の緊急的な保護が必要であること,少年の心身鑑別をする必要があること等が挙げられます。
【少年事件の流れ③】
少年事件では,家庭裁判所の調査官が,少年やその保護者の方,参考人などと面会をし,少年の要保護性(大まかにいえば,少年が抱える問題がどういったもので,どの程度保護が必要なのかというもの)を調査します。
この結果,審判に付して保護処分を行う必要がないと判断されれば,審判不開始決定がなされます。
一方,審判開始決定がなされると,裁判官,書記官,調査官,少年,保護者,付添人弁護士らが出席する審判が開かれ,少年の要保護性や非行の事実・内容について,審理がなされます。
この審判の結果,少年には,不処分,保護観察,少年院送致,検察官送致(逆送)などの処分が決定されます。
【刑事弁護士による少年付添人活動】
上述のように,少年は,捜査段階では勾留,家庭裁判所送致後には観護措置が取られる可能性があります。
刑事弁護士は,勾留や観護措置を回避するために,検察官や裁判官に対して,書面や電話等を通して勾留や観護措置をしないように求めること,場合によっては一度出た決定に対しては不服を申し立てることができます。
また,上述のように,少年事件では,少年の要保護性や非行の事実・内容について,審判がなされます。
そのため,審判においては,少年が現在抱えている問題を解決するために十分な環境を整えることが必要になります。
例えば,ご家族の方による監督を約束する,交友関係を整理する等により少年を取り巻く環境を調整する,生活態度を改めるといったことなど挙げられます。
また,少年自身の内省を深め,被害者の方に対する謝罪の気持ちを持てるようにすることも重要です。
刑事弁護士は付添人としてそういった活動を通じて,調査官や裁判官と面談をしたり,書面を提出したりすることにより,少年を取り巻く環境や少年の内面に変化がもたらされたことなどを報告し,少年の抱える問題が解消されたことを伝えていくことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入罪などによる少年事件の流れでお困りの方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、大学時代の後輩にあたる人気俳優のVさんのSNSに「返信をしろ、さもないとお前を殺す」と投稿したとして、愛知県警知多警察署の警察官により強要未遂罪の容疑で逮捕されました。
この強要未遂事件は、Vさんが愛知県警知多警察署の警察官に強要未遂事件の被害を受けたと届け出たことから発覚しました。
強要未遂事件を起こした動機について、Aさんは、Vさんの活躍を祝うメッセージを送ったのにも関わらず返信がなかったことからVさんに裏切られたと思ったと話しています。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県知多市に対応している刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)
【強要未遂罪(強要罪)とは】
「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者」には、強要罪が成立します(刑法223条)。
強要罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下です。
強要罪の未遂は、強要未遂罪として処罰されます(刑法223条)。
具体的には、強要の手段として強要罪に規定された脅迫・暴行を行ったが、強要の結果として義務のないことを行わせあるいは権利の行使を妨害するに至らなかった場合に、強要未遂罪が成立します。
強要未遂罪(強要罪)における脅迫とは、他人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことを指します。
ただし、強要未遂罪(強要罪)が成立するためには、一般人にとってその害悪の告知が畏怖させるに足りるといえればよく、現実に相手方が畏怖したことを要しないとされています。
刑事事件例のように「お前を殺す」とのメッセージを受け取った場合、通常の一般人であれば身の危険を感じる、すなわち畏怖すると考えられます。
たとえ「お前を殺す」とのメッセージを受け取った人が豪気な人でありこのような脅迫行為には一切恐怖を抱かなかったというような事情があっても、強要未遂罪(強要罪)における脅迫行為があったといえることになります。
よって、Aさんの「返信をしろ、さもないとお前を殺す」とメッセージを送る行為は、強要未遂罪(強要罪)における「生命に対して害を加える旨を告知して脅迫」する行為に該当すると考えられます。
そして、刑事事件例では結果的にはVさんはAさんに対して返信しなかったため、強要の結果として「義務のないことを行わせ」るに至らなかったといえます。
したがって、Aさんには強要未遂罪が成立することになります。
【強要未遂罪と刑事裁判】
強要罪には条文にある通り、罰金刑がありません。
ですから、強要罪で起訴され有罪になるということは、執行猶予付き判決となるか実刑判決となるかの2択となります。
例えば、過去の刑事裁判例として、強要未遂罪を犯した者に懲役1年6月執行猶予3年が言い渡されたという例があります。
これは、検察官が強要未遂事件として刑事裁判に提訴(起訴)しましたが、裁判所が強要未遂事件の犯行を率直に認め反省しているなどといった情状を考慮して、執行猶予が相当であると判断した刑事裁判例であると考えられます。
刑事事件では、検察官に対して刑事裁判に提訴(起訴)しないように働きかけることができる段階(被疑者段階)と、裁判所に対して強要未遂事件の被告人には執行猶予付き判決を宣告するに足りる情状があったと働きかけることができる段階(被告人段階)があります。
被疑者段階で不起訴獲得を目指し、起訴されてしまったとしても執行猶予付き判決を獲得できるよう準備しておくためには、早い段階から弁護士に相談・依頼しておくことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事裁判例のような起訴に至った強要未遂事件であっても、被疑者としての刑事弁護活動に引き続き、被告人段階の刑事弁護活動を行うことができます。
愛知県知多市の強要未遂事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
信用毀損事件で起訴を回避したい
信用毀損事件で起訴を回避したい
信用毀損事件で起訴を回避したい場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県蟹江市で食品会社を経営するAさんは、競合する同市内のV食品会社の悪評を流そうと考えました。
そこで、Aさんは、V食品会社がWebサイトで通信販売をしている食品のレビューに、その食品を全く購入したことがないのにも関わらず、「全くおいしくなかった。食べにくかった。」「スタッフからひどい対応を受けた。」などと書き込んだ上、5段階評価で最低の星1つとする評価を20件連続して投稿しました。
このような低評価レビューの連続投稿を不審に思ったV食品会社の社長は、愛知県蟹江警察署に信用毀損事件の被害を訴えました。
その結果、Aさんは愛知県蟹江警察署の警察官により信用毀損罪の容疑で取り調べを受けました。
Aさんは何とか信用毀損罪で起訴されるような大事にはならないようにしたいと考えています。
(2020年9月4日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【信用毀損罪とは】
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損した者は、3年以上の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
信用毀損罪の「虚偽の風説を流布」する行為とは、客観的真実に反する噂・情報を不特定又は多数の人に伝播させる行為をいいます。
また、信用毀損罪の「偽計を用い」る行為とは、人を欺罔し、又は人の不知・錯誤を利用する行為をいいます。
刑事事件例では、Aさんは、V食品会社が通信販売をしている食品のレビューに、その食品を全く購入したことがないのにも関わらず、「全くおいしくなかった。食べにくかった。」などと書き込んだ上、5段階評価で最低の星一つとする評価を20件連続して投稿しました。
このAさんの行為は、客観的真実に反する噂・情報を不特定又は多数の人に伝播させる行為として、信用毀損罪の「虚偽の風説の流布」する行為に該当すると考えられます。
信用毀損罪の「人の信用」とは、経済的側面における人(自然人のほか、法人を含みます)の評価を指します。
具体的には、信用毀損罪の「人の信用」には、支払能力または支払意思に関する社会的な信頼のほか、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含まれます。
刑事事件例では、V食品会社が通信販売をしている食品の品質に対する社会的な信頼が信用毀損罪の「人の信用」に当たると考えられます。
そして、信用毀損罪は現実に「人の信用」を低下させなくても、その危険を生じさせただけで成立します。
以上より、Aさんには信用毀損罪が成立すると考えられます。
【信用毀損罪で起訴を回避するためには】
信用毀損事件を起こしてしまった場合、不起訴処分を獲得して正式起訴を回避するためには、被害者の方と示談を締結することが重要です。
これは、信用毀損事件を捜査する検察官が、その起訴をするか否かの処分を決定する際に、示談が締結されているかどうかを重視するからです。
示談締結では正式な謝罪と被害弁償を行いますが、刑事事件例のような信用毀損事件では、事件のきっかけとなった投稿を被疑者の方自身で削除したり、それができなければWebサイト側に削除の申請をしたりする必要も出てくることが考えられます。
その削除結果や削除申請の経過状況などは、刑事弁護士を通して被害者の方に伝えていくことになるでしょう。
被害弁償についても、刑事弁護士が被害者の方の処罰感情や処分意向などを考慮しつつ、示談を締結できるように示談金の金額等を交渉していくことになるでしょう。
刑事弁護士による示談交渉の結果次第では不起訴処分を獲得したり、正式起訴を回避したりすることができる可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
信用毀損事件で起訴を回避したい場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
傷害致死事件で執行猶予獲得を目指す
傷害致死事件で執行猶予獲得を目指す
傷害致死事件で執行猶予獲得を目指すケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県一宮市の路上において、バス停のベンチに座っていたVさん(60歳)と口論になった結果、Vさんを殴りました。
Vさんは地面に倒れこんでしまい、通行人の通報により愛知県一宮市内の病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。
Aさんは、愛知県一宮警察署の警察官により、傷害致死罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、「殺すつもりはなかった。口論になってイライラして殴ってしまった。」と述べています。
Aさんの両親は、Aさんに執行猶予を付けてほしいと考えています。
(2020年11月16日にTBSNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【傷害致死罪とは】
刑法205条は、傷害致死罪を以下のように規定しています。
刑法205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
刑事事件例では、Aさんは「殺すつもりはなかった。」と言っています。
この場合、Aさんは、Vさんが死亡したことの責任を負うのでしょうか。
刑法205条の傷害致死罪は、暴行罪・傷害罪の結果的加重犯であると考えられています。
結果的加重犯とは、一定の犯罪行為を行い、その犯罪行為により、予想よりも重い結果が生じた場合に、その重い結果に対して責任を問う罪をいいます。
すなわち、暴行罪を犯し、その暴行行為より重い結果=被害者の方が死亡するという結果が発生した場合、より重い結果である被害者の死亡に対する罪(傷害致死罪)が成立することになります。
Aさんは、Vさんに暴行を加える認識(故意)のもと暴行を行っており、その暴行行為によりVさんの死亡というより重い結果が生じています。
よって、AさんにはVさんの死亡という、より重い結果に対応する傷害致死罪が成立することになります。
【傷害致死罪と執行猶予】
刑事事件例では、Aさんには傷害致死罪が成立すると考えられますが、上述のように、傷害致死罪を犯した者は、3年以上の有期懲役に処せられます。
ここで、刑事事件においてよく耳にする執行猶予について検討してみます。
執行猶予とは、刑の言渡しをした場合において、一定期間その執行を猶予し、その期間を無事に経過した場合には刑の言渡しを失効させ、条件に違反した場合には執行猶予を取り消して刑の執行をしようとするものです。
執行猶予の要件は刑法25条に規定されています。
特に前科のない初犯の方にとっては、執行猶予の要件としては、「3年以下の懲役若しくは禁錮、又は50万円以下の罰金を言」い渡す場合であること(刑法25条1項)に注目する必要があるでしょう。
傷害致死事件について言えば、傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役であるため、執行猶予付き判決を獲得できる余地があることになります。
刑事弁護士の活動としては、同じく執行猶予の要件である「情状」(刑法25条1項)が存在することを主張していくことになるでしょう。
この「情状」としては、被害弁償や示談の有無、再犯防止策が取られていることなどが考えられますから、執行猶予を獲得するためには早い段階から被害者対応などの弁護活動を行いつつ準備をすることが必要となります。
傷害致死事件の発生から早期に弁護士に相談・依頼して活動を開始してもらうことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県一宮市の傷害致死事件でお困りの場合や、執行猶予の獲得にお悩みの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県豊田市の監禁・恐喝事件
愛知県豊田市の監禁・恐喝事件
愛知県豊田市の監禁・恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県豊田市内の駐車場で、Vさんが乗った軽自動車に故意に衝突し「示談しないと痛い目に合うぞ」などと因縁をつけ、愛知県豊田市内のカラオケ店に閉じ込め(監禁し)て合計200万円を脅し取りました。
Aさんの脅迫は、Vさんの反抗を抑圧するものではなかったものの、Aさんを畏怖させるものでした。
その後、Aさんは、愛知県豊田警察署の警察官により監禁罪・恐喝罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、今後どのように事件が進んでいくのか知りたく、刑事事件に強い法律事務所への法律相談することを検討しています。
(2020年10月26日に京都新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【監禁罪とは】
刑法220条は、監禁罪について以下のように規定しています。
刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
刑法220条は、前段(「不法に人を逮捕し」の部分)で逮捕罪を、後段(「不法に…監禁した」の部分)で監禁罪を規定しています。
それでは、逮捕罪が成立する「逮捕」(刑法220条)と監禁罪が成立する「監禁」(刑法220条)の違いは何でしょうか。
この点、逮捕罪の「逮捕」(刑法220条)とは、直接的な強制によって移動の自由を奪うことをいいます。
逮捕罪の「逮捕」(刑法220条)に該当する行為の例は、羽交い絞めにする行為や縄で縛り付ける行為です。
一方、監禁罪の「監禁」(刑法220条)とは、間接的に一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪うことをいいます。
監禁罪の「監禁」(刑法220条)に該当する行為の例は、部屋に閉じ込めて脱出できなくする行為です。
そのほか、脅迫により心理的に脱出を困難にする行為も監禁罪の「監禁」(刑法220条)に該当します(東京高等裁判所判決昭和40年6月25日)。
つまり、逮捕罪が成立する「逮捕」(刑法220条)と監禁罪が成立する「監禁」(刑法220条)の違いは、移動の自由を奪う手段が直接的なもの、間接的なものかという点にあるといえます。
刑事事件例では、AさんはVさんに「示談しないと痛い目に合うぞ」などと脅迫し、カラオケ店に閉じ込めています。
そのため、Aさんの行為は、間接的に一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪ったといえます。
よって、Aさんの行為は監禁罪の「監禁」(刑法202条)に該当すると考えられます。
【恐喝罪とは】
刑法249条1項は恐喝罪について以下のように規定しています。
刑法249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
恐喝罪は、反抗を抑圧するに至らない程度の暴行又は脅迫により、財物を交付させることにより成立する犯罪です。
反抗を抑圧するに足りる暴行又は脅迫により財物を交付させた場合には恐喝罪(刑法249条1項)ではなく、強盗罪(刑法236条1項)が成立するため、暴行又は脅迫の強さによって成立する犯罪が異なることに注意が必要となります。
例えば、凶器を使用して脅迫したような場合には、相手の反抗を抑圧する程度の強さがあるとされて恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性が出てきます。
今回の刑事事件例では、AさんはVさんに「示談しないと痛い目に合うぞ」などと脅迫し、合計200万円を受け取っています。
このAさんの行為は、反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫により、財物を交付させたといえます。
そのため、Aさんの行為は、恐喝罪の「恐喝」(刑法249条1項)に該当すると考えられます。
よって、Aさんには恐喝罪が成立すると考えられます。
【監禁・恐喝事件と刑事弁護】
刑事事件例のような監禁・恐喝事件において、刑事弁護士がすることができる代表的な刑事弁護活動としては、示談交渉が挙げられます。
示談では、加害者の方から被害者の方への正式な謝罪や損害賠償金の支払いなどを交渉していくことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊田市の監禁・恐喝事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(愛知県蟹江市内在住の大学生・22歳)は、交際中の女性(Vさん・愛知県蟹江市内在住の大学生・21歳)に無料通信アプリLINEで、「死ねよ」「お願いだから死んでくれ」「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」などと合計7回のメッセージを送り、Vさんの自殺を唆(そそのか)し、自殺させました。
Aさんは愛知県蟹江警察署により自殺教唆罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの両親は、Aさんが長期間身体拘束されないようにしたいと考えています。
(2014年2月21日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【自殺教唆罪とは】
刑法202条は、自殺教唆罪について以下のように規定しています。
刑法202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
この条文の「人を教唆し」「自殺させ」るという部分が自殺教唆罪となります。
【自殺は犯罪?】
ところで、刑法は自殺についてどのように評価しているのでしょうか。
自殺教唆罪を考えるにあたり、まず自殺の刑法的評価を考えなければなりません。
刑法199条は「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」として、殺人罪を規定しています。
しかし、殺人罪の「人」(刑法199条)には行為者自身(自分)は含まれません。
自殺をする者にも自己の生死を決定する自由があるからです。
そのため、刑法では自殺は犯罪ではないと評価されています。
【自殺教唆罪の処罰根拠】
先ほど触れたように、自殺することは犯罪ではないにも関わらず、刑法202条は自殺教唆を犯罪として規定しています。
自殺教唆罪が犯罪とされる理由はどこにあるのでしょうか。
諸説ありますが、上述したように自殺をする者には自己の生死を決定する自由があるものの、他人の自殺を教唆することは他人の生命への過度な干渉になると考えるべきだとされています。
こうした考えなどにより、自殺教唆罪は、生命を保護するために定められた独立の犯罪として刑法に規定されているのです。
【自殺教唆罪の成立】
刑事事件例では、Aさんは、Vさんに「死ねよ」「お願いだから死んでくれ」「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」などと合計7回のメッセージを送っています。
教唆とは、その(犯罪)行為をする意思のなかった人にその(犯罪)行為をする意思を起こさせることを指します。
このAさんの行為は、Vさんに自殺をする意思を起こさせ自殺させていることから、「人を教唆し」「自殺させ」た自殺教唆行為に該当する可能性があります。
よって、Aさんには自殺教唆罪が成立する可能性があるのです。
【自殺教唆罪と身体拘束】
刑事事件例のように自殺教唆罪の容疑で逮捕されてしまったケースにおいて、被疑者が長期間身体拘束されないようにするためには、刑事弁護士が検察官や裁判官に勾留をしないよう働きかけることができます。
また、一度勾留決定がなされた後には、勾留決定に対する不服申立て(準抗告)ができます。
例えば、自殺教唆をしたLINEのやり取りが保存されているスマホを押収されているのであれば、罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれはないと主張できます。
被害者の方が亡くなっていることも罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがないことの主張に結び付くでしょう。
また、自殺教唆罪の容疑を認めているのであれば、罪証隠滅(証拠隠滅)や逃亡の動機もないという事情になり得ます。
こうした事件ごとの事情の数々を積み重ねて逮捕・勾留と言った身体拘束から解放してもらうための材料として主張していくためには、早期に弁護士に相談し、迅速に準備に取りかかる必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県蟹江市の自殺教唆事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県知多市に住むAさんは、愛知県知多市内を走行中の電車内で、いずれも県内に住む女子高校生ら3人(V1さん・V2さん・V3さん、いずれも18歳)のスカート内を撮影したとしてスマートフォンを差し向け、写真を撮影しました。
V1さんらは知人同士で並んで座り、Aさんは向かいの席に座っていましたが、盗撮に気付いたV1さんらがAさんを取り押さえたといいます。
Aさんは愛知県知多警察署の警察官により愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の容疑で逮捕されました。
(2020年11月13日に千葉日報に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【愛知県迷惑行為防止条例違反とは】
愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第1項2号は、卑わいな行為の禁止として、いわゆる盗撮行為を禁じています。
以下が 愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第1項2号の条文となります。
第2条の2 何人も、公共の場所又は公共の乗物(第3項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
2 衣服等で覆われている人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること。
なお、愛知県迷惑行為防止条例第2条の2「第3項に定めるもの」(場所)とは、「住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」です。
刑事事件例の盗撮事件が起こったのは、愛知県知多市内を走行中の電車内という「公共の乗り物」(愛知県迷惑行為防止条例第2条の2第1項2号)に該当します。
そして、Aさんは、スカート内を撮影したとしてスマートフォンを差し向け、写真を撮影しました。
このAさんの行為は、「衣服等で覆われている人の身体又は下着を」「撮影すること」に該当します。
よって、Aさんには、愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の罪が成立します。
【愛知県迷惑行為防止条例違反の罪と示談】
愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の罪が成立した場合、少しでも罪を軽くし、寛大な処分を求めるためには、被害者の方と示談をすることが重要です。
刑事事件例の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件の被害者の方は、いずれも女子高校生ら3人(V1さん・V2さん・V3さん、いずれも18歳)です。
この場合、被害者が全て未成年であるため、被害者本人と示談交渉をするのではなく、被害者の方それぞれの両親などの保護者と連絡を取り、示談交渉を開始していくことになると考えられます。
そして、今回の盗撮による愛知県迷惑行為防止条例違反事件のように、被害者と加害者が知り合いではない場合には、被害者の方の名前や連絡先が分かりません。
こうしたケースでは、刑事弁護士が警察と連絡を取り、弁護士限りで被害者の方の連絡先を教えてもらえないか交渉していくことになります。
また、被害者の方が未成年者の場合で、実際に交渉をするのが被害者の方の両親などの保護者である場合は、処罰感情がより強いことも予想されます。
当事者同士での交渉は、余計にこじれてしまう可能性もあるため、円滑に示談交渉を行うためには第三者かつ専門家である弁護士を間にはさむことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県知多市の愛知県迷惑行為防止条例違反(盗撮)事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
住居侵入・窃盗未遂事件の示談
住居侵入・窃盗未遂事件の示談
住居侵入・窃盗未遂事件の示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県東海市に住むAさんは、金目の物を盗もうと、深夜、同市内にあるVさんの住居に忍び込みました。
Aさんは、侵入したVさん宅内において、懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始しました。
しかし、寝ていたVさんが物音で起きてしまい、AさんはVさんに取り押さえられました。
Vさんは愛知県東海警察署に110番通報をし、Aさんは住居侵入罪・窃盗未遂罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
【住居侵入罪とは】
刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居…に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
住居侵入罪は、「人の住居」に正当な理由なく「侵入」した者に成立する犯罪です。
住居侵入罪の「侵入」とは、居住者の意思に反する立入りをいいます。
ここで、刑事事件例では、Vさんは窃盗目的での立入りを認めていなかったと考えられます。
よって、Aさんの立入りは、居住者であるVさんの意思(窃盗目的での立入りを認めないという意思)に反する立入りとして、住居侵入罪の「侵入」に該当すると考えられます。
また、Aさんが立ち入ったのはVさんの「住居」であり、Aさんの立入りには正当な理由はありません。
以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。
【窃盗罪とは】
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、「他人の財物」を「窃取」者に成立する犯罪です。
まず、窃盗の目的であるVさんの金品は窃盗罪の「他人の財物」に該当します。
次に、窃盗罪の「窃取」とは、他人が占有(事実的支配)する財物を、その占有(事実的支配)者の意思に反して自己の占有(事実的支配)に移転させる行為をいいます。
刑事事件例では、Aさんは懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始した段階でVさんに取り押さえられています。
そのため、Vさんの財物をAさんの占有(事実的支配)に移転させたとはいえず、窃盗罪の「窃取」の完遂には至っていません。
よって、Aさんには窃盗罪の既遂犯(窃盗罪)は成立しません。
そこで、Aさんには窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)が成立するかを検討します。
【窃盗未遂罪とは】
第243条
第235条…の罪の未遂は、罰する。
刑法243条は、窃盗罪(刑法235条)の未遂犯(窃盗未遂罪)を処罰することを規定しています。
刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減刑することができる。
窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)とは、窃盗罪の「実行に着手して」「これを遂げなかった」場合に成立します。
上記の窃盗罪の「実行に着手」する行為とは、窃盗罪の結果を発生させる(他人の財物の占有・事実的支配を侵害する)具体的危険性が高まる行為を行うことをいいます。
例えば、大審院判決昭和9年10月19日では、金品物色のためにタンスに近寄った時点で窃盗罪の「実行に着手」する行為があったと判示しています。
また、最高裁判所決定昭和40年3月9日では、電気店に侵入後、現金窃取のために煙草売り場の方に行きかけた時点で窃盗罪の「実行に着手」する行為があったと判示しています。
刑事事件例では、Aさんは懐中電灯でタンスを照らし、金品の物色を開始しています。
このAさんの行為は窃盗罪の結果を発生させる(Vさんの財物の占有・事実的支配を侵害する)具体的危険性が高まる行為であると考えられます。
よって、Aさんは窃盗罪の「実行に着手」する行為を行ったといえると考えられます。
そして、結局、AさんはVさんから金品などの財産を盗むことができていないので、窃盗罪の窃取行為「を遂げなかった」といえます。
以上より、Aさんには窃盗罪の未遂犯(窃盗未遂罪)が成立すると考えられます。
【住居侵入・窃盗未遂事件の刑事弁護活動】
住居侵入・窃盗未遂事件は被害者の方が存在する犯罪です。
住居侵入・窃盗未遂事件では必ずしも実損(住居侵入事件でいえばドアの損壊や、窃盗未遂事件でいえば盗品の被害など)が生じていない場合も考えられますが、精神的苦痛に対する損害賠償なども考えられますから、被害弁償を行い示談を締結することが重要です。
また、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方と示談する際には、刑事弁護士を経由して行うことが重要です。
これは、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方の処罰感情によっては、被疑者の方(やそのご家族)が直接出向いたり連絡を取ったりすることによって、かえって処罰感情を逆撫でる結果となる可能性もあるからです。
他にも、被疑者の方(やそのご家族)が直接出向いたり連絡を取ったりすることのデメリットとしては、法律に関する知識が不十分であるため、適切な示談書を作成することができない可能性があることも挙げられます。
さらには、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方との交渉態度次第では、脅迫罪や強要罪などの別の犯罪が成立してしまう危険性もあります。
そこで、法律の専門家であり、第三者的な地位を有する刑事弁護士を通すことにより、住居侵入・窃盗未遂事件の被害者の方との冷静かつ適切な示談交渉を行うことができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
住居侵入・窃盗未遂事件で示談を考えている場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
暴力行為等処罰に関する法律違反事件を弁護士に相談
暴力行為等処罰に関する法律違反事件を弁護士に相談
暴力行為等処罰に関する法律違反事件を弁護士に相談したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、元交際相手のVさん(女性・20歳・愛知県豊明市在住)に、「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」などと、暴力団の構成員を装って脅迫しました。
恐怖を感じたVさんが通報したことにより、Aさんは愛知県愛知警察署の警察官により暴力行為等処罰に関する法律違反の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は、まさかAさんが逮捕されるようなことをするとは夢にも思わず、逮捕の知らせを聞いてどうすればよいのか分からず困ってしまいました。
そこでAさんの家族は、ひとまず愛知県の刑事事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(2020年11月5日に神戸新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【暴力行為等処罰に関する法律違反とは】
暴力行為等処罰に関する法律は、集団的暴力・脅迫・器物損壊や、銃砲刀剣類を用いた傷害、常習的な傷害・暴行・脅迫・器物損壊などについて、刑法の規定よりも重く処罰するために定められた法律です。
この暴力行為等処罰に関する法律は、暴力団及びその構成員による暴行・脅迫行為等を取り締まるための法律であると考えられています。
以下では、刑事事件例のAさんの行為に適用されたと考えられる暴力行為等処罰に関する法律第1条の条文を検討していきます。
暴力行為等処罰に関する法律第1条
団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法第208条(注:暴行罪)、第222条(注:脅迫罪)又は第261条(注:器物損壊罪)の罪を犯したる者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す。
(注書きは追記したものです。)
まず、Aさんの「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」という発言は、刑法第222条の脅迫罪に該当すると思われます。
そこで、刑法第222条の条文を見ていきます。
刑法第222条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
刑法第222条第2項
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
刑法第222条の脅迫罪は、一般人であれば畏怖するのに十分な害悪の告知がなされた場合に成立します。
刑事事件例のAさんは、Vさんに対して「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」と発言しているところ、通常人であれば自分や家族の生命、身体などに危害が加えられてしまうと畏怖すると考えられます。
よって、Aさんには脅迫罪が成立すると考えれます。
次に、(上記のようにAさんの行為が刑法第222条の脅迫罪に該当するとしても、)暴力行為等処罰に関する法律第1条の集団的脅迫が成立するためには、刑法第222条の脅迫行為が「団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して」なされる必要があります。
前述した通り、暴力行為等処罰に関する法律は、暴力団及びその構成員による暴行・脅迫行為等を取り締まるための法律と考えられています。
そのため、暴力行為等処罰に関する法律第1条の「団体若は多衆の威力を示し」とは、例えば、暴力団の構成員が所属している暴力団の威力を示すことをいいます。
また、暴力行為等処罰に関する法律第1条の「団体若は多衆を仮装して威力を示し」とは、例えば、暴力団の構成員であると装って威力を示すことをいいます。
刑事事件例のAさんは、「ヤクザ使ってお前の家族つぶすぞ、お前の夢つぶすぞ」と発言し、反社会的勢力を偽装して威力を示しています。
そのため、「団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して」脅迫行為がなされたといえると考えられます。
以上より、Aさんには暴力行為等処罰に関する法律違反の罪が成立すると考えられます。
【暴力行為等処罰に関する法律違反の刑罰】
集団的脅迫による暴力行為等処罰に関する法律違反をした者には、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます(暴力行為等処罰に関する法律第1条)。
この刑は、刑法第222条の脅迫罪を犯した者に科せられる2年以下の懲役又は30万円以下の罰金よりも重い刑罰となっています。
このような重い刑罰が規定されている集団的脅迫による暴力行為等処罰に関する法律違反で起訴された場合に、執行猶予付き判決を得たり刑罰を軽くしたりするには、被害者の方への真摯な謝罪と被害弁償を含む示談が重要です。
示談交渉では、被害者の方の気持ちに十分に配慮した上で加害者の方の真摯な謝罪の気持ちを示談交渉結果に反映させる必要があるため、刑事弁護士には刑事事件の専門的知識と豊富な経験が必要とされます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、数少ない刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
暴力的処罰行為に関する法律違反事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。