Archive for the ‘刑事事件’ Category

愛知県名古屋市中区の名誉毀損事件で逮捕

2021-04-02

愛知県名古屋市中区の名誉毀損事件で逮捕

愛知県名古屋市中区名誉毀損事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、ツイッター上において、愛知県名古屋市中区を拠点として活動するアイドルグループのメンバーであるVさん(愛知県名古屋市中区在住)があたかも覚醒剤中毒であるかのような書き込みを投稿しました。
その後の愛知県中警察署の警察官の捜査の結果、Aさんは名誉毀損罪の容疑で逮捕されました。
名誉毀損罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市にある刑事弁護士が在籍する法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【名誉毀損罪とは】

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者」には、「その事実の有無にかかわらず」、名誉毀損罪が成立します(刑法230条1項)。
名誉毀損罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金です。

名誉毀損罪における「公然と」とは、表現(摘示)された事実を不特定または多数人が認識しうる状態をいいます。
具体的に、名誉毀損罪における「不特定」とは、相手方が限定されていないということを意味します。
そして、名誉毀損罪における「多数人」とは、相手方が特定されているがその数が多数であることを意味します。

刑事事件例において、Aさんは不特定または多数の人たちが閲覧することができるツイッターアカウントにおいて、Vさんに関する書き込みを投稿しています。
よって、Aさんのツイッターアカウントにおける書き込みは名誉毀損罪における「公然と」なされたものであるといえると考えられます。

また、名誉毀損罪における「事実を適示」する行為とは、人の社会的評価を害するに足りる具体的な事実を告げることをいいます。
そして、名誉毀損罪における「事実」の内容としては、真実であると虚偽であるとを問わないと考えられています。

刑事事件例においてAさんが行ったVさんはあたかも覚醒剤中毒であるかのような書き込みは、Vさんの社会的評価を害するに足りる具体的な事実であったと考えられます。
よって、Aさんの行為は、名誉毀損罪における「事実を摘示」する行為に該当すると考えられます。

さらに、名誉毀損罪の条文においては、人の名誉を毀損「した」と書かれていますが、被害者の外部的名誉が「具体的に」侵害されたという事情は必要ないと考えられています。
よって、たとえVさんの名誉が具体的に侵害されたとは判明していないとしても、Aさんの書き込みによってVさんの名誉が毀損される危険性があったといえるのであれば、Aさんが名誉毀損罪における「公然と事実を摘示」する行為を行った時点で、Aさんには名誉毀損罪における「毀損」行為があったといえることになります。

以上より、Aさんには名誉毀損罪が成立すると考えられます。

【名誉毀損罪の刑事弁護活動】

Aさんは、現在名誉毀損罪の容疑で逮捕されていますが、今後検察官がAさんに逃亡するおそれや罪証を隠滅するおそれがあると判断した場合には、裁判官に対してAさんの勾留を請求する可能性があります。
この勾留は最大20日間(勾留の期間が延長された場合)にも及ぶため、長期間学校や仕事に行くことができなくなります。

そのため、刑事弁護士としては、Aさんが名誉毀損罪の容疑にかかる勾留をなされないよう、検察官や裁判官に働きかけていくことになります。
例えば、Aさんが、名誉毀損罪の被害者であるVさんの住所を知らないという事情や、Aさんが名誉毀損罪の犯行に及んだスマートフォンはもちろん、その他ツイッターアカウントにアクセスできる電子機械(パソコン等)を使用しないことを誓ったことなどを検察官や裁判官に主張していくことができると考えられます。

また、名誉毀損罪は親告罪ですから、被害者の方との示談交渉や謝罪といった活動も重要となります。
こういった活動に早期に着手することで、釈放を求める活動にもプラスに働きますし、事件終息への一歩となりますから、早めの弁護士への相談・依頼が効果的なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県名古屋市中区名誉毀損事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

死体損壊事件・死体遺棄事件で逮捕

2021-03-30

死体損壊事件・死体遺棄事件で逮捕

死体損壊事件死体遺棄事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県豊田市に住むAさんは、同居している母親のVさんが亡くなっていることに気付き、愛知県豊田市内の山奥にVさんの遺体を運び、油のようなものを使い、燃やしました。
その後、Vさんの遺体を発見した愛知県警豊田警察署の警察官の捜査により、Aさんは死体損壊罪死体遺棄罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの父親は、愛知県豊田市に事務所をかまえ、刑事事件に強い法律事務所への相談を検討しています。
(フィクションです。)

【死体損壊罪・死体遺棄罪とは】

死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄した者には、死体損壊罪・死体遺棄罪が成立します(刑法190条)。
法律に定められた刑(法定刑)は3年以下の懲役です。

死体損壊罪における「損壊」とは、物理的に破損・破壊することを指します。
また、死体損壊罪における「遺棄」とは、死体等を移動させた上で放置することを指します。
しかし、慣習上葬祭の義務がある者が死体遺棄罪を犯す場合には、死体等を移動させずに単に放置することも、死体遺棄罪における「遺棄」に含まれると考えられています。

刑事事件例においては、Aさんは、亡くなった母親であるVさんの遺体(死体損壊罪における「死体」に該当します)を、愛知県豊田市内の山奥に運んでいます。
ここに、死体遺棄罪における「遺棄」行為があったと考えられます。

また、Aさんは、Vさんの遺体を油のようなものを使い、燃やしています。
油のようなもので燃やしてしまえば、Vさんの遺体が焼損してしまい、原状の状態にあるとはいえません。
ここに、死体損壊罪における「損壊」行為があったと考えられます。

以上より、Aさんには、死体遺棄罪死体損壊罪が成立すると考えられます。

死体遺棄罪罪死体損壊罪は、全体を一罪(刑法190条の死体損壊・遺棄罪)として処断されることとなります(包括一罪といいます)。

【死体損壊罪・死体遺棄罪の刑事弁護活動】

上述した通り、死体損壊罪及び死体遺棄罪の法定刑は、3年以下の懲役です。

ここで、執行猶予は、3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときに付けることができるものです(再度の執行猶予を除きます)。

したがって、死体損壊罪死体遺棄罪を犯した場合、法律の要件としては、執行猶予付きの判決を獲得できる可能性があります。
執行猶予を付けることができれば、刑務所に行かずに、一般的な社会生活を送ることができます。
実際にあった死体損壊罪死体遺棄罪で起訴された刑事事件例においても、執行猶予付き判決を獲得している裁判例が存在します。

執行猶予というものは、当該刑事事件に存在する様々な具体的な事情を考慮して付けられるものです。
例えば、計画性のある犯行であるのか、特別な道具や技術を用いた特殊な犯行なのか、悪質な犯行態様・動機であるのか、被害結果が甚大であるのかといった犯情や、捜査機関に対して協力的な態度を示しているのか、反省を深めているのか、実刑となった場合に被る不利益が大きいのか、再犯防止対策が取られているのかといった一般的な事情が考慮されることになります。
そのため、刑事事件に強い弁護士により、執行猶予獲得に向けて有利な事情を主張してもらったり、そのための環境を整えるサポートをしてもらうことが重要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊田市死体損壊罪死体遺棄罪で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県瀬戸市の器物損壊事件で逮捕

2021-03-26

愛知県瀬戸市の器物損壊事件で逮捕

愛知県瀬戸市器物損壊事件逮捕された場合について、弁護士法人法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県瀬戸市内の飲食店において、持ち帰りで注文した料理に髪の毛が混入していることに気付き、「こんな飯食えるか」と怒鳴りながら、出入り口の内側についていたガラス扉を蹴って壊しました。
器物損壊の被害を受けた飲食店は、愛知県警瀬戸警察署の警察官に通報をしました。
その後、愛知県瀬戸警察署の警察官による任意の取調べを受けた後、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県に事務所を置き、刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(フィクションです。)

【器物損壊罪とは】

他人の物を損壊し、又は傷害した者には、器物損壊罪が成立します(刑法261条)。
器物損壊罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料です。

器物損壊罪における「損壊」とは、物の効用を害する行為を指します。
具体的には、物理的に物を破壊することは器物損壊罪における「損壊」に含まれることになります。
刑事事件例において、Aさんが出入り口のガラス扉を蹴って壊す行為はガラス扉の効用を害する行為であると考えられます。
よって、Aさんの行為は器物損壊罪における「損壊」に該当することになります。

ところで、Aさんが壊したのは、被害を受けた飲食店の出入り口の内側についていたガラス扉です。
刑法には、「他人の建造物を損壊した者」には、建造物損壊罪が成立すると規定する条文(刑法260条)がありますが、建造物から取り外し可能な窓ガラスや襖、障子などを損壊した場合には、器物損壊罪が成立すると考えられています(ただし、今回のガラス扉が建造物にとって重要なものであると判断された場合には建造物損壊罪が成立する可能性もあります。)。

【器物損壊罪と親告罪】

器物損壊罪器物損壊事件の被害者等の告訴がなければ公訴(刑事訴訟)を提起することができない親告罪であると規定されています(刑法264条)。
これは、器物損壊事件においては、当事者(器物損壊事件の被疑者と被害者等)の間での解決を計るべきであると考えられているからです。

そのため、刑事弁護士としては、器物損壊事件の被害者等との間で告訴を取り消すことを約束させる示談を締結し、検察官がAさんを器物損壊罪で刑事裁判にかける(起訴する)ことがなくなるようにすることができると考えられます。

【器物損壊罪の量刑】

Aさんが告訴されて器物損壊罪で起訴された場合、上述の通りAさんは3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処される可能性があります。

しかし、刑務所に収容される懲役刑と、罰金を納付する必要があるものの一般の社会生活を送ることができる罰金刑では、器物損壊罪を犯したAさんが被る不利益は大きく異なるのは明らかです。

ここで、実際に起こった器物損壊罪の刑事事件例を見てみると、本件器物損壊事件の他に前科がない場合や、たとえ本件器物損壊事件の他に前科があったとしても前科の刑が終了してから長期間が経過した場合などは、罰金が科される傾向にあります。
これに対して、本件器物損壊事件の他に前科がある上に前科の刑が終了してから間もなく器物損壊罪にあたる犯行が行われた場合などには、懲役刑が科される傾向にあります。

先述のように器物損壊罪は親告罪であるため、起訴前に被害弁償や示談締結を目指すことはもちろん重要なことではありますが、たとえ起訴後であっても、器物損壊事件の被害者への被害弁償や示談などをすることで、罰金刑で事件を終了させる可能性を高めることができます。
ですから、やはり器物損壊事件では早期に被害者対応をしていくことが重要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
器物損壊罪の容疑で逮捕された場合においても、示談を締結して不起訴を獲得するなど実績を多数を挙げています。
愛知県瀬戸市器物損壊事件逮捕された場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市守山区の準強制性交等事件で逮捕

2021-03-23

愛知県名古屋市守山区の準強制性交等事件で逮捕

愛知県名古屋市守山区準強制性交等事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県名古屋市守山区に住むAさんは、SNS上においていわゆるパパ活の相手を募集していた17歳の少女(Vさん)と通じました。
そして、愛知県名古屋市守山区にある居酒屋において、Vさんに睡眠作用のある薬物を入れた酒を飲ませた後、意識を失ったVさんを愛知県名古屋市守山区にあるホテルに連れ出して性交をしました。
その後、Vさんが愛知県警守山警察署の警察官に事情を説明し、Aさんは準強制性交等罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市にある性犯罪の刑事事件に強い法律事務所への相談を検討しています。
(フィクションです。)

【準強制性交等罪とは】

13歳以上の者に対し、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者には、準強制性交等罪が成立します。
法律に定められた刑は、5年以上の有期懲役です。

準強制性交等罪は、人の心神喪失や抗拒不能といった被害者が抵抗することができない状態を利用して行われる性交等を処罰するものです。

準強制性交等罪における「心神喪失」とは、失神や睡眠、泥酔などの理由により、被害者自身が準強制性交等罪の性交等をされていることに気が付いていない状態のことをいいます。
また、準強制性交等罪における「抗拒不能」とは、手足の束縛や、酩酊などの理由により、被害者が準強制性交等罪の性交等をされていることに気付いてはいるが、それに対して抵抗することが著しく困難な状態のことをいいます。

刑事事件例において、Aさんは、Vさんに睡眠作用のある薬物を入れた酒を飲ませ、意識を失わせた後に、性交をしています。
Vさんが睡眠作用のある薬物により睡眠状態にある場合、Vさんは自身が準強制性交等罪の性交等をされていると認識することができません。
従って、Vさんは準強制性交等罪における「心神喪失」状態にあったと考えることができます。
よって、Aさんには準強制性交等罪が成立すると考えられます。

【準強制性交等罪と勾留】

上述の通り、Aさんには準強制性交等罪が成立することが考えられるところ、検察官や裁判官が、Aさんに逃亡するおそれや罪証隠滅のおそれがあると考えた場合、Aさんは逮捕に引き続き、最大20日間にも及ぶ身体拘束(勾留)をされるおそれがあります。
このような長期に渡る勾留がなされると、学校や会社へと行くことができなくなり、退学や失業を強いられるおそれも考えられます。

ケースのように、被害者とSNS上において知り合ったという場合には、刑事弁護士による刑事弁護活動として、準強制性交等罪の被害者と通じた原因となったSNSのアカウントやアプリを削除することを約束したり、そもそも準強制性交等罪の被害者の名前や住所などの身元情報を知らないことを検察官や裁判官に主張したりすることができると考えられます。
これにより、Aさんには罪証隠滅のおそれがなく、従って勾留もする必要がないと検察官や裁判官に働きかけることができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
準強制性交等罪のような性犯罪事件を多数取り扱った実績を持つ刑事弁護士も在籍しています。
愛知県名古屋市守山区準強制性交等罪逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

傷害致死事件と保釈

2021-03-19

傷害致死事件と保釈

傷害致死事件保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県名古屋市中村区内のマンションにおいて、Vさんと同棲をしていました。
ある日、AさんとVさんは些細なことから喧嘩となり、AさんはVさんに風呂場でシャワーの熱湯を浴びせるなどして全身にやけどを負わせました。
AさんはVさんに怪我をさせるつもりで熱湯を浴びせましたが、Vさんを殺害するつもりはありませんでした。
しかし、Vさんはこのやけどを原因として死亡するに至りました。
その後、Aさんは傷害致死罪の容疑で愛知県中村警察署に逮捕され、今後起訴されるだろうと伝えられました。
(2021年1月4日にMBSNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害致死罪とは】

身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する(刑法205条)

傷害致死罪は、刑法学上では「結果的加重犯」であるといわれています。
この傷害致死罪を含む「結果的加重犯」とは、ある犯罪を犯した際に、犯人が認識していた犯罪以上の重い結果が生じてしまった場合に、その重い結果についても責任を負わせることを規定した犯罪のことをいいます。

傷害致死罪についていえば、傷害致死罪暴行罪と傷害罪の結果的加重犯であると考えられています。
すなわち、犯人が暴行罪・傷害罪に該当する行為を行った結果、犯人が認識していた暴行罪・傷害罪以上の重い結果(被害者の方の死亡)が生じてしまった場合、その重い結果(被害者の方の死亡)についても「傷害致死罪」として責任を負うということになります。

刑事事件例では、Aさんは、Vさんに怪我をさせるつもりで熱湯を浴びせており、殺害するつもりはありませんでした。
このとき、傷害罪の故意(認識・認容)はあったが、殺人罪の故意(認識・認容)はなかったといいます。

しかし、このAさんの行為によりVさんはやけどにより死亡しています。

この場合、Aさんが傷害罪に該当する行為を行った結果、Aさんが認識していた暴行罪・傷害罪以上の重い結果(被害者の方の死亡)が生じてしまった場合に該当し、その重い結果(被害者の方の死亡)についても「傷害致死罪」として責任を負うことになります。

以上より、Aさんは傷害致死罪の罪責を負うことになります。

【傷害致死事件の刑事弁護活動】

傷害致死事件の刑事弁護活動のひとつとして、保釈を求める活動が挙げられます。
保釈は、検察官による起訴がされた後、被告人の段階における身柄解放活動です。
今回のAさんは起訴されるだろうということを伝えられているため、起訴後の保釈を求める活動も見据えて弁護活動をすることが考えられます。

保釈に関する条文を引用します。

保釈の請求があったときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない(刑事訴訟法89条柱書・権利保釈)。
① 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき

裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる(刑事訴訟法90条・裁量保釈)

傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役です。
そのため、傷害罪を犯した場合、刑法89条に規定された被告人の権利としての保釈(権利保釈)は認められないことになります。
そこで、弁護士としては、刑法90条に規定された裁判所の裁量による保釈(裁量保釈)が認められるよう保釈請求書等で求めていくことになります。

保釈が認められた場合、住居制限などが加えられる可能性はあるものの、少なくとも判決が言い渡されるまでの間は通常の社会生活を送ることができるようになります(刑事訴訟法343条)。

保釈を求めるためには、保釈に十分な環境を作ってその環境を適切に主張していく必要があります。
専門家である弁護士のサポートを受けることで、環境づくりやその主張に効果的な活動をする事が期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害致死事件保釈についてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)で逮捕

2021-03-16

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)で逮捕

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県豊田市に住むAさんは、夜間、同市内にあるV神社の社務所に侵入し、現金約10万円(全て硬貨)を所持していたバッグに盗み入れました。
しかし、社務所から出ていくときに巡回中の警備員に見つかり、その場で確保され、警察に通報されました。
その後、Aさんは、愛知県豊田警察署の警察官により、建造物侵入・窃盗罪の容疑(賽銭泥棒)逮捕されました。
(2021年1月3日に東海テレビに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【建造物侵入罪とは】

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する(刑法130条)

建造物侵入罪は、「人の看守する邸宅」を客体とする犯罪です。
建造物侵入罪の「人の看守する邸宅」とは、「人の住居」と「人の看守する」「艦船」を除いた建造物をいいます。
刑事事件例のV神社の社務所は、もちろん「人の住居」と「人の看守する」「艦船」ではないため、建造物侵入罪の「人の看守する邸宅」に該当します。

また、建造物侵入罪の「侵入」とは、管理権者の意思に反して建造物に立ち入ることをいいます。
管理権者の意思とは誰を立ち入らせるかという自由な決定のことを意味します。
例えば、管理権者がある者を建物内に「入れたくない」と考えていたにも関わらず、その意思に反して建造物内に立ち入った場合、その立入行為は建造物侵入罪の「侵入」に該当することになります。

刑事事件例でいえば、V神社の管理権者に「賽銭泥棒をする目的がある者」を立ち入らせる意思があったとは考えられません。
よって、Aさんの立入りは建造物侵入罪の「侵入」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには、建造物侵入罪が成立すると考えられます。

【窃盗罪とは】

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(刑法235条)

窃盗罪の「窃取」とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己の意思に反して自己の占有に移転させる行為をいいます。
窃盗罪の「占有」という用語は事実上の支配と理解することができます。
このように窃盗罪が所有ではなく占有を保護するのは、現に財産が占有されている状態を尊重するためです。

また、この窃盗罪に該当する「窃取」行為が完了した時期については、財物の大小、搬出の容易性、窃取行為の態様などを考慮して判断されます。

刑事事件例では、現金約10万円(全て硬貨)を無断で所持していたバッグに移し入れています。
この現金は全て硬貨であったとはいえ、持ち運びは比較的容易であったといえます。
そして、Aさんはこの現金をリュックに移しており、ここに占有の侵害・移転があったといえます。
よって、Aさんの行為は窃盗罪の「窃取」(刑法235条)に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには賽銭泥棒窃盗罪が成立すると考えられます。

【建造物侵入・窃盗事件の刑事弁護活動】

建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒事件)の刑事弁護活動の代表例としては示談交渉が挙げられます。
示談では被害者の方の処罰感情を十分考慮しつつ、被害者の方への正式な謝罪と被害の弁償を行います。
示談交渉の結果次第では、「加害者を許す」「処分は検察官に委ねる」といった宥恕文言の入った示談書を締結することもできると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物侵入・窃盗事件(賽銭泥棒)逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

器物損壊罪

2021-02-18

器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、世界遺産に登録されている寺社の山門の壁に油性ペンで落書きをしたとして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。これを聞いたAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~器物損壊罪~

刑法第261条の条文は、「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者」について器物損壊罪が成立するとしています。
ここでいう「前3条」とは、公用文書等毀棄罪(刑法第258条)、私用文書等毀棄罪(刑法第259条)、建造物損壊及び同致死傷罪(刑法第260条)のことをいいます。
そうすると、器物損壊罪が想定する「他人の物」とは、公用文書等、私用文書等、建造物等以外の物であるといえます。

上の事案では、寺社の山門の壁が目的物となっています。
ここで、寺社は建物であることからその山門の壁については「建造物等」であり、器物損壊罪における「他人の物」にあたらないのではないかが問題になります。

建造物等損壊罪における「建造物」とは、屋根があり、壁や柱で支えられ、土地に定着し、その内部に人の出入りが可能な家屋や建築物をいいます。
そして、建築物そのものではなく、ドアや壁など建築物に付随する物が「建造物」に当たるかどうかは、その物と建築物がどの程度接合しているのかやその物が建造物においてどの程度重要であるかなどを総合して判断されます。
過去の裁判例において「建造物」に当たると判断された物の例としては、天井版や屋根瓦、住居玄関ドアなどがあります。
他方で、「建造物」に当たらないと判断された物の例としては、ガラス障子や雨戸、竹垣や畳などがあります。
上の事案の寺社の山門の壁については、寺社という建造物の一部としてではなく、別個独立した物であると判断されたことから「建造物」ではないとされたものであると考えられます。
したがって、建造物損壊罪の「建造物」ではなく、器物損壊罪における「他人の物」にあたると考えられるのです。

器物損壊罪における「損壊」とは、財物自体の形状を変更したり滅尽させたりする典型的な破壊行為のみならず、事実上・感情上その物を本来の用途に従って使用できなくして本来の効用を失わせることをいいます。
典型的な破壊行為としては、例えば、他人の壺を割るという行為が考えられますが、これが「損壊」に含まれることに疑いはありません。

他方で、上の事案のような壁に落書きをする行為は、壁を破壊したわけではないので典型的な破壊行為とはいえません。
しかしながら、過去の裁判例においては、公園の公衆トイレにスプレーで落書きしたという事案について、落書きをしただけでは公衆トイレの効用を喪失させるとまではいえないものの、「建物の外観・美観を著しく汚損し、そのままの状態で一般の利用に供することを困難にするとともに、再塗装を要するなど原状回復に相当の困難を生じさせた」として器物損壊罪の成立を認めた裁判例もあります。
この裁判例に従うと、寺社の山門の壁に油性ペンで落書きをした場合、その壁の外観を著しく汚損することになりますし、油性ペンという簡単には消せないペンで落書きをしたことは原状回復に相当の困難を生じさせたとして、「損壊」に当たると考えられます。

そうすると、Aさんには器物損壊罪が成立する可能性があります。
この場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられる可能性があります。

~文化財保護法~

「損壊」の対象が、単に「他人の物」にとどまらず「特別に保護されているもの」に当たる場合、文化財保護法違反となります。
「特別に保護されているもの」には、たとえば有形・無形文化財や民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物や国宝などが含まれます。
上の事案の寺社は世界遺産に登録されているとのことで、「特別に保護されているもの」に当たる可能性があります。
そうすると、一般法である器物損壊罪ではなく、より刑の重い器物損壊罪の特別法である文化財保護法違反に切り替えて捜査が進められる可能性があります。
文化財保護法違反となった場合には、5年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金に処せられることがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門の法律事務所です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

書類送検 

2021-02-16

書類送検について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

会社員のAさんは、SNS上で知り合ったVさん(17歳)に頼んで、Vさんの全裸の写真画像を撮ってもらい、それを自身のスマートフォンに送信してもらって楽しんでいました。そうしたところ、ある日、Vさんのスマートフォンをチェックした母親が、Vさんが見知らぬ男に裸の写真画像などを送っていたっことを知りました。Vさんの母親はVさんとともに警察へ相談に行きました。後日、捜査の結果、Aさんは児童ポルノ(製造罪)の被疑者として調べを受けることになり、事件は名古屋地方検察庁へ書類送検されました。
(フィクションです)

~児童ポルノ罪の製造罪~

児童ポルノ罪の製造罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「法律」という)の7条3項,4項,5項,7項に規定されています。Aさんの行為は,法律7条4項の製造罪に該当しそうです。罰則は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。

法律7条4項

(略)児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。

~書類送検~

書類送検とは在宅事件(身柄を拘束されていない事件)が検察庁へ送検されたことを意味しています。
書類送検の根拠は刑事訴訟法246条に求めることができます。

刑事訴訟法
第二百四十六条(司法警察員から検察官への事件の送致)

司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りではない。

司法警察員は、当該事件の捜査を終え、事件関係の書類を整えた上で書類を検察官へ送致します。したがって、書類送検の時期は「司法警察員が捜査を終えた後」といことになります。いつ捜査を終わるかは、事件の内容、難易度、捜査機関側の都合などによって異なりますから一概に「いつ」になるかは分かりません。気になる方は、弁護人を通じてか、あるいは直接尋ねてみてもいいでしょう。

書類送検された後の流れは以下のとおりです。

① 書類送検

② 担当検察官が決まる

③ 担当検察官から電話OR文書で出頭要請を受ける

④ 出頭&取調べを受ける

⑤ 刑事処分

書類送検された(①)後、2~3日で担当検察官が決まります。担当検察官が決まると、担当検察官(又は補助の検察事務官)から電話OR文書で検察庁へ出頭するよう要請を受けます。要請を受けるタイミングは決まっておらず、検察官の判断に委ねられます。検察官は在宅事件と同時に身柄事件も同時に処理しており、身柄事件の方が時間的制約があるため、どうしても在宅事件よりも身柄事件の方の処理を先行しがちです。したがって、検察官が身柄事件の処理に追われるなどして時間を取られていると、出頭要請は遅れる可能性があります。①から数か月程度経って出頭要請を受けるということも少なくありません。出頭後は、検察官の取調べを受け、捜査を終えた段階で刑事処分が決まります(⑤)。正式起訴された場合は、後日、裁判所から起訴状謄本などの書類が送達されてきます。略式起訴される場合は、取調べ時に略式裁判を受けるかどうかの同意を求められます。不起訴となった場合は、検察官から通知する制度はありませんが、請求すれば不起訴にした旨の文書を発行してくれます。

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共同正犯と錯誤

2021-02-04

共同正犯と錯誤について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

AさんはBさんから、Vさん宅に立ち入って盗みをすることを持ちかけられこれを承諾しました。そして、Aさんは犯行日当日、BさんがVさん宅に立ち入って盗みをする間、警察などが来ないかどうか外で見張りをしていました。ところが、後日、警察にAさんとBさんによる犯行であることが発覚し、Aさんは住居侵入、窃盗罪、Bさんは住居侵入、強盗罪で通常逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~共同正犯とは~

2以上共同して犯罪を実行した場合を「共同正犯」といいます。

刑法60条
 2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

正犯あるいは正犯者とは、犯罪(基本的構成要件)に該当する行為(実行行為)を行う者のことをいいます。刑法60条は、意思の連絡(共謀)の下に複数の者が関与した事案において、自己の犯罪を犯したと評価し得る重要な関与者を正犯とし、他人(Bさん)の実行行為及び結果につき、共同して行えば全て帰責される(刑事責任を負わされる)とう「一部行為の全部責任の原則」を認める規定です。

~共同正犯の成立要件~

それでは、共同正犯が成立するためにはいかなる要件が必要なのでしょうか?言い換えれば、他人が行った行為及びそれによって作出された結果を仲間内である共犯者にも帰責させるための要件とはいかなるものなのでしょうか?
共同正犯が成立するためには、主観的要件としての「共同実行の意思(意思の連絡=共謀)」、客観的要件としての「共同実行の事実」が必要です。

共同実行の意思とは、共同して実行行為をしようという意思のことをいいます。共同加工の意思ともいわれます。共同実行の意思は、2人以上の行為者全員が相互に持たなければなりません。したがって、甲がVに暴行を加えている間、甲の知らない間に乙がVの財布を盗んだという場合、窃盗罪(あるいは暴行罪)の共同正犯は成立しません。
共同実行の事実とは、共謀した行為者が実行行為を分担することであり、共同加功とか行為の分担ともいわれています。

~共犯正犯の錯誤とは~

ところで、本件では、Aさんは窃盗罪、Bさんは強盗罪と異なる罪で逮捕されています。
これは、Aさんは窃盗をする意思があった、Bさんは強盗をする意思があったという共犯者の認識の違いが原因です。
このように、共犯者(Aさん)が認識していた事実の内容(窃盗罪)と、正犯者(実行行為者)の実行(強盗)との間に食い違いがある場合を「共犯の錯誤」と呼んでいます。

では、「共犯の錯誤」があった場合、実務ではどのように処理、解決されているのでしょうか?
この点、判例は、共同行為者相互間の認識の不一致が同一構成要件内にあるとき、共同正犯の故意は阻却されないとしています。
他方、共同行為者間の認識の不一致が異なる構成要件にまたがるときは、原則として共同正犯の故意は阻却され、ただ、それぞれの構成要件が重なり合うときのみ、その重なりあう限度で共同正犯が認められるとしています。

本件の場合、後者の「共同行為者間の認識の不一致が異なる構成要件にまたがるとき」に当たります。構成要件とは、ここではとりあえず「罪」と理解してください。そして、Aさんは窃盗罪の認識、Bさんは強盗罪の認識であることから両者の認識に不一致が生じています。したがって、強盗罪の共同正犯の故意は阻却されますから、強盗罪の共同正犯は成立しません。次に、窃盗罪と強盗罪の違いは、その手段として暴行、脅迫を用いるか用いないかの違いだけで、後は同じです。つまり、両者は窃盗罪の範囲で重なり合っているといえます。したがって、共同正犯は窃盗罪の範囲でのみ成立することになります。

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現住建造物等放火で逮捕

2021-01-26

現住建造物等放火罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します.

会社員Aさん(35歳)は、亡父から相続した一軒家(築60年)に妻と二人で暮らしていました。ある日、お金に困っていたAさんは、自宅の築年数が古いことから、自分の家に放火して火災保険金を騙し取ることを思いつき、アパートを借りて、しばらくの間は、そのアパートで生活することにしました。そして、引っ越しを終えて荷物を運び出した後に、和室の畳に灯油をまき、火のついたタバコをその近くに放置して、しばらくすると灯油に引火して火災が発生するように仕掛けをして家を出ました。幸いなことに、火災が発生した直後に、近所の住民が火災に気付いて消火したため、畳一枚を焼損するにとどまったのですが、Aさんは非現住建造物等放火罪で逮捕されてしまいました。Aさんはその後の起訴されましたが保釈による釈放を希望しています。
(フィクションです)

~非現住建造物等放火罪~

放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物等を焼損した場合には、非現住建造物等放火罪が成立します。
非現住建造物等放火罪は、その客体を他人所有と自己所有とに分け、自己所有に係る非現住建造物等への放火については「公共の危険」が生じなかった場合には罰しない旨が規定されています(第2項)。
そうすると、上の事案において、Aさん自宅の周囲に人がおらず、他に建物などもない場合であれば、「公共の危険」がないとして、非現住建造物等放火罪が成立しないようにも思えます。

もっとも、刑法第115条は、非現住建造物等放火罪における物が自己所有に係るものであっても、差押えを受けたり、賃貸されたり、保険に付されたりしている場合には、他人の物を焼損した者の例によると規定します。
そうすると、たとえAさん所有の自宅であっても、これが保険に付されている以上、他人所有の非現住建造物を焼損したことになり、「公共の危険」が生じずとも、Aさんには、他人所有の非現住建造物等放火罪が成立する可能性があるのです。
他人所有の非現住建造物等放火罪の罰則は「2年以上の有期懲役」で、自己所有の非現住建造物等放火罪の罰則は「6月以上7年以下の懲役」です。

~保釈による身柄解放~

放火罪は重大な犯罪であるため、捜査機関に発覚すれば逮捕および勾留の可能性はかなり高いと言えます。
そして、もし勾留中に起訴されると、被疑者勾留が被告人勾留へと切り替わり、最低でも2か月は身体拘束が伸びてしまいます。

そうした事態に陥った際、身柄解放を実現する有力な手段として保釈の請求が考えられます。
保釈とは、裁判所に保釈金を納付することで、一時的に被告人を釈放する手続を指します。
保釈の最大の強みは、起訴前に釈放を実現できなかった事件において釈放を実現できる可能性がある点です。
保釈金は、逃亡を防止するための担保金の役割を果たします。
そして、罪が重くなればなるほど逃亡するおそれが大きいと判断されますから、罪が重たくなればなるほど保釈金も高くなる傾向にあります。

保釈されるためには、その前段階として保釈請求が許可される必要があります。
保釈請求に当たっては、法律の専門家である弁護士の視点が重要となることは否定できません。
ですので、保釈を目指すのであれば、保釈請求を含めて弁護士に事件を依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

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